クールビズの冷房28度設定に根拠はある?

最終更新日 2023年09月07日

クールビズの冷房28度設定に根拠はあるのか

たいていのオフィスにはエアコンがあり暑い夏場でも冷房を入れて快適な環境で仕事できる人が多いと思いますが、中にはエアコンがあるのに暑くて仕事がはかどらない人もいると思います。

定時になったらエアコン使用禁止等、厳しい決まりがある場合はもちろんですが、エアコンを冷房28度に設定しなければならない決まりがある場合、不満に思っている人は少なくないと思います。

ちなみに、エアコンの設定にて冷房28度にしても、室内の温度が28度になるとは限りませんので、ここでは特に断りがない限り冷房28度に設定することは、冷房で室内の温度を28度にすることを意味するとします。

ところで冷房28度設定は何を根拠にして決められたのか疑問です。多くの人からアンケートをとって、28度までなら十分快適という人が多かったのか等、いろいろ推測できますが、 クールビズの冷房28度、当時の環境省課長「なんとなく決めた」 科学的根拠なし によると、環境省がクールビズ導入当時に担当課長として関わっていた盛山正仁法務副大臣が、2017年5月11日に首相官邸で開かれた副大臣会議で以下のとおり発言したそうです。
科学的知見をもって28度に決めたのではない。何となく28度という目安でスタートし、それが独り歩きしたのが正直なところだ。働きやすさの観点から検討しては
ハフポスト日本版が2017年5月11日に環境省に聞いた話によると、以下の説明を受けたそうです。
労働安全衛生法の事業所衛生規則で定められている事業所の室温の上限が28度だったので、目安として設定した。クールビズの導入時に環境省として科学的知見があったのかは定かではない
以上によると、冷房28度設定に科学的根拠はない可能性があるようですが、 環境相「クールビズ、室温28度には根拠ある」  :日本経済新聞 によると、当時の山本公一環境相は2017年5月12日の閣議後の記者会見にて、28度設定には根拠がある旨を以下のとおり説明したそうです。
山本環境相は設定温度について、クールビズを始めた当時のオフィスの室温が平均26度で、ネクタイの有無で体感温度が2度変わるとの研究結果を基にしていると説明。労働安全衛生法などに努力義務として明記してあるとも語った。
冷房28度設定に根拠はあるようです。また、 オフィスの温度 「28度設定」の根拠は50年前の研究 (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット) によると、1966年の厚生科学研究「ビルディングの環境衛生基準に関する研究」(小林陽太郎)が根拠になっているそうです。

山本公一環境相の説明の中に出てきたネクタイの有無に関する研究とは違うもののようですが、「ビルディングの環境衛生基準に関する研究」の中で根拠とされ引用された研究は戦前から60年前後にかけてのものだそうです。この引用された研究に許容限度の上限として28度という数字が登場するそうです。また、健康的かつ衛生的な状態だとは言えないという法律としての上限であり、決して推奨する値ではない書いてあるそうです。

「ビルディングの環境衛生基準に関する研究」を読んだことないのであくまでも推測ですが、28度は健康的かつ衛生的な状態か否かを隔てる境界だと思います。

許容限度の下限もあるはずですが仮に20度とします。20度も健康的かつ衛生的な状態か否かを隔てる境界だと考えれば、同研究では20度と28度の中間の温度24度くらいを推奨しているのではないかと思います。

仮に同研究にて24度を推奨しているとしてもクールビズの目的は節電でしょうから、24度ではなく28度を採用することは納得できないことではありません。

しかし、冷房28度だと多くの人が暑いと感じると思いますが、節電のために暑いと我慢してまで仕事するものなのか疑問です。個人的には冷房26〜27度設定が最も快適と感じます。

冷房28度だと暑いと感じる人が多数派と思いきや、 「エアコンを28度に」は間違い? 7割以上がクールビズを勘違い――三菱電機ビルテクノ調査 - ITmedia NEWS によると、調査機関ジャストシステムが2017年6月30日〜7月16日に、空調の設定温度を変更できるオフィス勤務の20〜60代男女1000人に対してネット上で実施した調査では、職場のエアコン設定温度を28度にしている人の内約51.8%が「職場を暑いと感じる」と回答したそうです。

この記事の文脈から判断すると、エアコンの設定にて28度を設定にしている人を対象にしていますので、中には室内の温度が28度になっていない人もいると思います。

室内の温度が28度よりも低くなっている人もいるでしょうが、もし室内の温度が28度よりも高くなっている人の方が多くいるのに「職場を暑いと感じる」と回答した割合が約51.8%だとすると、本当に室内の温度が28度の場合に限ると暑いと感じる人は少数派なのかもしれません。

仮にそうだとしても、ちょうど良いと感じる、寒いと感じる温度に関する調査結果次第では、室内の温度を28度にすることが最も多くの人を満足させる結果になるとは限りませんが、室内温度28度を推奨することは絶対に改めるべきとは言えないと思います。

また、快適と感じるかどうかは温度だけではなく湿度も重要ですので、しっかりと湿度も管理すれば室内温度28度でも明らかに多数派と言えるほど多くの人が快適と感じるようになるかもしれません。

冷房28度って実際どうなの? 夏に向けてエアコンの疑問をダイキンに聞いた (1) 「28度」という数字が独り歩きしている | マイナビニュース によると、一般的に快適な湿度は40%〜60%と言われおり、室内温度28度でもこの範囲の湿度であれば快適と感じる人が多いと思われるそうです。

しかし、エアコンを冷房運転しても湿度が下がるとは限らず、その場合に別のエアコンで除湿運転するか除湿機を併用するとしても節電にならず逆に消費電力が上昇してしまう可能性があると思います。

仮に節電効果は失われないとしてもエアコンの除湿運転や除湿機を導入できない場合もあると思いますので、そのような場合は例えば湿度が60%を超えてしまうようであれば室内温度が28度よりも低くなるように設定する、このように温度と湿度を組み合わせて何度に設定するか決める運用方法が必要なのではないかと思います。


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