電源ユニットの規格

最終更新日 2023年09月07日

電源ユニットの規格

規格上の仕様、実装の仕様

以下では電源ユニットの規格について記載していますが、それぞれの特徴は規格が規定している仕様上の話です。電源ユニットが対応の規格にて規定している仕様と実際に実装している仕様は、異なることがあります。

バージョン

規格が規定している仕様は、バージョンアップに伴い変更される場合があります。バージョンアップすると仕様に追加される項目もあれば削除される項目もあります。追加や削除された項目には、満たすのが必須の項目もあればオプション扱い(満たさなくてもよい)の項目もあります。必須項目であっても全ての電源ユニットが満たすとは限らず、一部の項目が規格外の電源ユニットもあります。

例えば、バージョンアップにより某コネクターが追加されてもオプション扱いであれば、そのバージョンに対応していても某コネクターを実装しているとは限りません。オプション扱いではなく必須であっても、その某コネクターに関しては規格外であり実装していない場合もあります。

ATX

ATXとは

電源ユニットの主流の規格でしたが、後継となるATX 12Vへと移行しました。ATX 12Vを略してATXと呼ぶこともあり、ATX対応であればATX 12V対応の可能性が高いです。

ATとATXの違い

ATと比べると主にメインコネクター、系統、電源スイッチが違います。ATのメインコネクターは6ピン×2、ATXは20ピン×1です。ATの系統は+5V、+12V、-5V、-12V、ATXは+3.3V、+5V、+12V、-5V、-12V、+5VSBです。ATの電源スイッチは手動で行いますが、ATXは自動で行います。

ATマザーボード

ATX電源ユニットをATマザーボードに使用できます。メインコネクター20ピンをメインコネクター6ピン×2へ変換するアダプターが必要です。マザーボードから自動で電源オン・オフできませんので、手動で行う電源スイッチも必要です。

サイズ

規格で幅が150mm、奥行きが140mm、高さが86mmと決まっています。奥行きで180mm、230mmも決まっていると見聞きしますが、正確にはEPS 12Vで決まっています。ATXでは140mmのみです。サイズが規格外の製品もあります。例えば、幅が160mm、奥行きが200mm、高さが86mmの製品、幅が175mm、奥行きが201mm、高さが119mmの製品等があります。

ATX 12V

ATX 12Vとは

電源ユニットの主流の規格です。ATXと大きく違う点は、ATX 12Vコネクター(CPU補助電源4ピン)がある点です。ATX 12Vを略してATXと呼ぶこともあります。

Pentium 4対応電源ユニット

ATX 12V対応電源ユニットを、Pentium 4対応電源ユニットと呼ぶ場合がありました。ATX 12Vで追加されたATX 12Vコネクターは、従来のCPUと比べて消費電力が高いPentium 4向けに登場したためです。

Athlon対応電源ユニット

ATX 12V対応電源ユニットを、Athlon対応電源ユニットと呼ぶ場合がありました。厳密には間違いです。Athlonシリーズ(Athlon、Athlon XP、Athlon MP)は、Pentium 4と違ってATX 12Vコネクターを必要とするわけではありません。

Athlonシリーズは消費電力が大きいので電流変動も大きく、それでも安定して動作するように電力供給可能な電源ユニットを、Athlon対応電源ユニットと呼びます。

Haswell対応電源ユニット

Haswell対応電源ユニットとは、規格のATX 12Vバージョン2.4に対応する電源ユニットです。HaswellとはインテルCPUのマイクロアーキテクチャーです。HaswellのCPUでは低消費電力状態(C6,C7ステート)に移行したときに、CPUへ電力を供給するATX 12Vコネクターの最小電流が0.05A以下の必要があります。その条件を満たすのがATX 12Vバージョン2.4です。これより古いバージョンでは0.5A以下でした。

古いバージョン対応でも、0.05A以下であればHaswell対応可能です。ATX 12Vバージョン2.31等に対応の電源ユニットの中にもHaswell対応電源ユニットがあります。

ATX 12VO

ATX 12VOとは

ATX 12VOとは、+3.3V、+5V、+12V、-12V、+5VSBを+12Vのみにした規格です。12VOは12V Onlyの略です。+12V以外の電圧の電力は、マザーボードが+12Vの電力から変換し生成します。

EPS 12V

EPS 12Vとは

電源ユニットの主流の規格です。ATX 12Vと大きく違う点は、EPS 12Vコネクター(CPU補助電源8ピン)がある点です。ATX 12Vと比べると他にも様々な違いがあります。EPS 12Vを略してEPSと呼ぶこともあります。SSI EPS 12Vと呼ぶ場合もあります。SSIはServer System Infrastructureの略です。

EPS 12V準拠

ATX 12Vに加えてEPS 12V準拠と仕様等に記載の場合があります。その意味がメーカーによって違います。EPS 12V準拠だけ確認では不十分であり、詳細な仕様の確認が必要です。

例えば、メインコネクター24ピンとEPS 12Vコネクター(CPU補助コネクター8ピン)の実装、本体サイズが幅150×奥行き140/180/230×高さ86mmを満たしている場合、EPS 12V準拠としているメーカーがあります。EPS 12Vコネクター(CPU補助コネクター8ピン)の実装があれば、EPS 12V準拠としているメーカーもあります。

EPS 12Vのみ対応

EPS 12Vではメインコネクターが24ピンであり、20ピンと4ピンに分離不可能です。EPS 12Vのみ対応電源ユニットをATXマザーボードで使用するには、メインコネクター24ピンをメインコネクター20ピンに変換するアダプターが必要になる場合があります。マザーボード側も24ピンであれば不要です。EPS 12Vに限らずATX 12Vにも対応だと、20ピンと4ピンに分離可能なので変換アダプターが不要です。

サイズ

規格で幅が150mm、奥行きが140/180/230mm、高さが86mmと決まっています。電源ユニットの容量が450Wより小さい場合は奥行きが140mm、450W以上から750W以下の場合は180mm、800Wより大きい場合は230mmです。規格では800Wより大きい場合は230mmですが、誤記であり正しくは750Wより大きい場合は230mmの可能性があります。サイズが規格通りではない製品が多いです。

Flex ATX

Flex ATXとは

電源ユニット本体サイズが小さいです。幅が81.5mm、奥行きが150mm、高さが40.5mmです。デスクトップパソコンの省スペース型等、小型パソコン向けです。

SFX

SFXとは

電源ユニット本体サイズが小さいです。SFX対応電源ユニットは、Micro ATX用電源ユニットと呼ぶこともあります。デスクトップパソコンのタワー型の中でサイズが小さい方のマイクロタワーやミニタワー、キューブ型等、小型パソコン向けです。

サイズ

SFXでは複数のサイズを規定しています。

SFX(A) 幅100mm、奥行き125mm、高さ50mm
SFX(B) 幅100mm、奥行き125mm、高さ63.5mm(80.6mm)(※)
SFX(C) 幅125mm、奥行き100mm、高さ63.5mm(80.6mm)(※)
SFX(D) 幅100mm、奥行き125mm、高さ63.5mm

(※)(B)と(C)はファン用のスペースが本体下部にあり、高さにファンの厚み17.1mmを足し実質80.6mmです。

ATX対応PCケース

変換ブラケットを使用すると、SFX対応電源ユニットをATX対応PCケースに取り付け可能です。電源ユニットによっては変換ブラケットが付属しています。Mini-ITX対応PCケース等、内部スペースが狭いPCケースにて他のPCパーツとの物理的干渉を防ぐためにSFX対応電源ユニットを搭載したい場合に役立ちます。

SFX対応電源ユニットは小型PCケース向けです。内部スペースが広いPCケースにSFX対応電源ユニットを搭載すると、ケーブルの長さが足りない場合があります。その場合は延長ケーブルを使用すると解決できます。

SFX 12V

SFX 12Vとは

SFXと違う点は、ATX 12Vコネクター(CPU補助電源4ピン)がある点です。SFX 12Vを略してSFXと呼ぶこともあります。商品情報等にSFX 12VではなくSFXと表記されていても、ATX 12Vコネクターがないとは限りません。

SFX-L

SFX-Lとは

SFXよりもサイズが大きいファンを搭載できるように、SFXよりも奥行きが長いです。SFXのサイズは幅が125mm、奥行きが100mmです。12cmファンを搭載できず8cmmファン等を使用します。SFX-LはSFXよりも奥行きが30mm長いです。12cmファンを搭載可能であり冷却性能と静音性を向上できます。

WTX

大電力が必要であり安定した電源供給が求められるサーバーやワークステーション向けの規格です。普及せず廃れました。EPS 12Vもサーバーやワークステーション向けの規格として登場し、この規格が普及しました。

WTXとEPS 12Vどちらにもメインコネクター24ピンがありますが、結線が違います。他にも様々な違いがあり、両者に互換性がありません。

その他

規格 特徴
PS3 ATXと比べて奥行きを短くした規格です。幅が150mm、奥行きが100mm、高さが86mmです。ATXだと奥行きが長すぎて物理的干渉しやすいPCケース向けです。
NLX フォームファクタのNLX向けです。電源ユニット本体サイズが小さく、小型パソコン向けです。
TFX 12V 電源ユニット本体サイズが小さいです。幅が85mm、奥行きが175mm、高さが64mmです。デスクトップパソコンの省スペース型等、小型パソコン向けです。TFX 12Vを略してTFXと呼ぶこともあります。
CFX 12V フォームファクターのBTX向けです。電源ユニット本体の形状が直方体ではなくL字型です。幅が101.6+48.4mm、奥行きが96mm、高さが86mmです。CFX 12Vを略してCFXと呼ぶこともあります。
LFX 12V フォームファクターのBTX向けです。幅が62mm、奥行きが210mm、高さが72mmです。LFX 12Vを略してLFXと呼ぶこともあります。

独自仕様

電源ユニットは何らかの規格に対応しているとは限らず、独自仕様の場合があります。デスクトップパソコンの省スペース型等、内部スペースが狭いパソコンでは、独自仕様とし小型化や特殊形状化した電源ユニットの場合が多いです。

各規格の規定サイズに当てはまらない場合、独自仕様の可能性があります。独自仕様だが交換したい場合、パソコンメーカーに修理を依頼する、交換用電源ユニットを取り寄せる方法があります。

独自仕様の電源ユニットは、本体サイズや本体形状に限らずコネクターも独自仕様の場合があります。コネクターの形状は何らかの規格の形状と同じだが、結線が独自仕様の場合があります。この場合は元々組み合わせて使用していたマザーボード以外に接続すると短絡(ショート)し故障する恐れがあります。

PCケース

電源ユニット本体のサイズ、ネジ穴の位置が規格で決まっていますので、原則的には対応規格が合えば電源ユニットをPCケースに取り付け可能です。電源ユニットによってはサイズが規格外であり、その場合は物理的に干渉し取り付けできない場合があります。例えば、奥行きが規格外で長いと、光学ドライブ等と物理的に干渉する場合があります。

電源ユニットによってはファンガードの金具が飛び出ており、それを除くとサイズが規格通りだが、それを含めると規格外のサイズであり物理的に干渉する場合があります。PCケースによっては取り付けできてもファン用の穴の位置が合わず、ファンを塞ぐことになります。その場合は、冷却不足で故障する恐れがあるので使用しない方がよいです。


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