Windowsのエクスペリエンスインデックスとは

最終更新日 2023年09月07日

エクスペリエンスインデックスとはパソコンの性能を評価する機能

Windows のエクスペリエンスインデックスとは、パソコンの性能を評価する機能です。Windows Vista から搭載され始めた機能です。

CPU、メインメモリー、GPU、ストレージそれぞれの性能を評価し、サブスコアと呼ばれる数値で表します。パソコンの性能を総合的に評価し、基本スコアと呼ばれる数値で表します。基本スコアが高いパソコンほど性能が高いパソコンです。

以下は、あるパソコンのエクスペリエンスインデックスによる性能評価の結果です。

エクスペリエンスインデックス
エクスペリエンスインデックス

プロセッサは CPU、メモリ(RAM)はメインメモリーのことです。プライマリハードディスクは、パソコンで利用する OS がインストールされているストレージのことです。ストレージがハードディスクではなく SSD であってもプライマリハードディスクと表示されます。

グラフィックスとゲーム用グラフィックスは、どれも GPU のことでしょうが、分かれている理由は Windows Aero と 3D ゲーム等では求められる GPU の性能に違いがあり、それぞれ専用の GPU 性能評価方法があるので分かれていると思われます。

基本スコアは、最も低いサブスコアと同じになります。どの PC パーツがボトルネックとなっているのかは、各サブスコアから判断することができます。

最もサブスコアが低い PC パーツの性能をアップさせれば、パソコンの総合的な性能もアップさせることができます。例えば、プロセッサのサブスコアが最も低いなら CPU がボトルネックとなっていますので、CPU を交換して性能アップさせればプロセッサのサブスコアも基本スコアも向上します。

エクスペリエンスインデックスの基本スコアから何がわかるのか

基本スコアの違いで、どのような用途に使えるようになるのか Microsoft 社は示していますが、Windows 7 にて提示されている内容は以下の通りです。

基本スコア
1.0または2.0
・オフィスアプリケーションの利用等のビジネス用途、インターネットやメールの利用等の日常用途にパソコンを使うなら十分な性能がある
・Aero と呼ばれる Windows の表示方法をパソコンで利用したり、動画や画像や音楽コンテンツに関して高度な機能を利用するマルチメディア用途にパソコンを使う場合は、性能が不足している
基本スコア
3.0
・Aero の利用や、Windows 7 の多くの機能を利用するのに十分な性能があるが、Windows 7 の拡張機能の一部については性能が不足し、その機能を完全には利用できない場合がある
・例えば、Windows 7 のテーマを 1280×1024 の解像度で表示できるが、複数モニターでのテーマの実行がうまくいかない場合がある
・デジタルテレビの動画コンテンツは再生できるが、高精細テレビ(HDTV)の動画コンテンツを適切に再生できない場合がある
基本スコア
4.0または5.0
・Windows 7 の新機能を実行できるのに十分な性能がある
・複数のプログラムの同時実行に対応できる性能がある
基本スコアが
6.0または7.0
・オンラインゲームや 3D ゲーム、HDTV 動画コンテンツの録画や再生など、グラフィックスの描画処理で高い負荷がかかる用途にパソコンを使う場合でも十分な性能がある

エクスペリエンスインデックスのサブスコアはどれくらいあれば良いのか

どれくらいのサブスコアがあればパソコンの性能が十分なのかを用途ごとに Microsoft 社は示しており、その目安は以下の通りです。

オフィスの生産性 ・ワード等のオフィスアプリケーション、ウェブブラウザ、電子メールの利用など、パソコンを主にビジネス用途に使うなら、CPU とメインメモリーのサブスコアが高いことが重要です。グラフィックスに関しては 2.0 以上のサブスコアで十分です。
ゲームと
グラフィックを
多用するプログラム
・動画編集や 3D ゲーム等、高いグラフィックス性能を必要とする用途にパソコンを使うなら、メインメモリー、グラフィックスでのサブスコアが高いことが重要になります。ストレージでは、通常 3.0 以上のサブスコアで十分です。
Media Center
エクスペリエンス
HDTV 動画コンテンツの録画など、動画や画像や音楽コンテンツを扱うマルチメディア用途にパソコンを使う場合は、CPU、ストレージ、グラフィックスでのサブスコアが高いことが重要になります。メモリや 3D グラフィックスのカテゴリでは、通常 3.0 以上のサブスコアで十分です。

エクスペリエンスインデックス以外のベンチマークも参考にする

エクスペリエンスインデックスに限らず、CPU や GPU 等の性能を評価するベンチマークは、あらゆる人にとって正確に公平に性能を評価することは難しいので、エクスペリエンスインデックス以外のベンチマークも参考にしなければなりません。

エクスペリエンスインデックスの基本スコアやサブスコアだけを見ては間違った判断をしてしまうことがありますので、ベンチマークを専門としているところが開発したベンチマークも参考にする方が良いです。

エクスペリエンスインデックスは Windows 8.1 からなくなった

Microsoft 社がエクスペリエンスインデックスを開発した目的はわかりませんが、ユーザーが持っているパソコンはどのような用途なら十分な性能があると言えるのか、性能が不足している場合どの PC パーツを性能をアップさせれば良いのか判断できるように開発したと思われます。

もしパソコンメーカーが販売するパソコンの商品情報にエクスペリエンスインデックスの基本スコアやサブスコアを掲載すれば、ユーザーは自分の用途に合わせて適切な性能を持つパソコンを選べますが、そのようなことも実現させるために Microsoft 社はエクスペリエンスインデックスを開発したのかもしれません。

エクスペリエンスインデックスは Windows 8.1 からなくなりましたが、性能評価はベンチマークを専門にしているところにまかせれば良いと Microsoft 社は判断したのではないかと推測します。OS の主要な機能と比べたら小さいでしょうが、開発コストを削るためとも考えられます。

何にせよ Microsoft 社がエクスペリエンスインデックスの開発を進めたとしても、参考になるベンチマークの一つになり続けるだけです。

エクスペリエンスインデックスがユーザーのパソコン選びや PC パーツ選びに多大な影響力を持つほどにはならなかったので、Microsoft 社が自社の OS で性能評価をやる必要は特にないと判断したのではないかと推測しますが、もし合っているとしたらやむを得ない判断だったと思います。


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