メモリーのHMC(Hybrid Memory Cube)

最終更新日 2024年03月02日

メモリーのHMC(Hybrid Memory Cube)とは

基礎

メモリーのHMCとはHybrid Memory Cubeの略で、積層したメモリー同士をTSVで接続し、最下層のメモリーとインターフェースチップをTSVで接続し、インターフェースチップを基板にバンプで接続し、プロセッサーを基板にバンプで接続し、プロセッサーとメモリー間で高速なデータ転送を実現する技術です。2011年にインテルとマイクロンが発表しました。

TSV

TSVとはThrough Silicon Viaの略で、チップに微細な穴を開けて電極を通し、チップ同士の接続や、チップと基板の接続を行う技術です。日本語の呼び方には、シリコン貫通電極があります。

バンプ

バンプとは、チップの電極部にメッキで形成した突起です。

HMCの構造例

    メモリー
    メモリー
    メモリー
プロセッサー   インターフェースチップ
基板

上図はHMCの構造例です。3個のメモリーを積層しています。

インターフェースチップ

メモリーと基板を接続すれば、インターフェースチップがなくてもよさそうです。しかし、TSVの接続ではバス幅が512ビットであり、このまま基板と接続して基板に配線しようとすると技術的に難しいため、インターフェースチップが必要です。インターフェースチップではバス幅を減らす変換を行います。

バス幅を減らし、高速なデータ転送速度を維持するためには、データ転送クロック周波数を高める必要があります。別の言い方だと、インターフェースチップではCPUとの間で高いデータ転送速度クロック周波数でデータを転送するため、消費電力と発熱が大きくなります。これはHMCのデメリットです。

HMCのメリット、デメリット

HMCのメリット

HMCには、データ転送速度が速い、メモリーの消費電力を抑えられる、以上のメリットがあります。

メモリーではバス幅が広いため、低いデータ転送クロック周波数でも高速なデータ転送速度を実現できます。メモリーではデータ転送クロック周波数が低いため、消費電力も低いです。

HMCのデメリット

HMCには、インターフェースチップの消費電力と発熱が大きい、インターフェースチップを経由するためレイテンシーが大きい、以上のデメリットがあります。

HMCとWide IO

Wide IOを改良したものがHMC

HMCはWide IOと似ています。Wide IOとは、プロセッサーの上面とメモリーの下面をTSVで接続する規格です。メモリーを複数積層する場合、メモリーの上面とメモリー下面もTSVで接続します。

Wide IOには、プロセッサーとメモリーの接続にもTSVを使用するためコストが高い、プロセッサーの熱がメモリーに伝わりやすく発熱が大きい高性能プロセッサーを使用できない、以上のデメリットがあります。HMCならプロセッサーとメモリーの接続にはTSVを使用しないためコストを抑えられます。HMCならプロセッサーとメモリーが接しないため、発熱が大きい高性能プロセッサーでも使用できます。

HMCではメモリーとインターフェースチップが接し、インターフェースチップの熱がメモリーに伝わりやすいため、発熱が大きい高性能インターフェースチップを使用できないデメリットがあります。そのため、HMCでもメモリーに影響を及ぼす熱の問題があります。

出典

ASCII.jp:いまさら聞けないIT用語集 超広帯域メモリー規格のHBM (2/3)(2018/03/19更新記事)


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