CPUの温度

最終更新日 2023年09月07日

CPUの温度とは

基礎

CPUの温度とは、CPUの温かさを示す値です。CPUの性能が高いほど温度が高くなる傾向があります。

CPUが熱くなり温度が高くなる理由

CPU内部には電子回路があります。CPUを動作させると電子回路に電流が流れます。電子回路に抵抗があり電流を流すとジュール熱が発生するため、CPUが熱くなり温度が高くなります。学校の理科の実験で銅線等に電流を流し抵抗による熱の発生を確認した経験があると思われますが、その現象と同様です。CPU以外のPCパーツにも電子回路がありますが、これらもジュール熱が発生し温度が高くなります。

熱暴走

熱暴走とはCPUの温度が上がりすぎてエラーが発生する現象です。CPUは温度が上がるほど電子回路の抵抗が増え電流や電圧が変動します。CPUは電圧の高低で0か1を判断しており、温度が上がりすぎると電流や電圧の変動も大きすぎになり0か1を正しく判断できなくなります。そうなるとCPUが熱暴走しパソコンが突然シャットダウンします。

CPUの温度を上げる方法

CPUの温度を上げる方法に、OCCTを使用してCPUに高い負荷をかける方法があります。OCCTとは、システムの安定性の確認や、システムにストレステストを行うためのツールです。

CPUの測定温度

Tcase、Tcase MAX

インテルのCPUにTcase、Tcase MAXがあります。Tcaseとはヒート・スプレッダーの測定温度です。Tcase Maxとはヒート・スプレッダーの測定最大温度です。

CPUの温度を確認できる様々なソフトウェアがあり、厳密にはTcaseではありませんがTcaseに近い温度です。CPUに高い負荷をかけソフトウェアにて温度を確認し、Tcase Maxを超えていなければ冷却性能が十分と判断できます。

Tjunction、Tjunction Max

インテルのCPUにTjunction、Tjunction Maxがあります。TjunctionとはCPUのコアの温度です。Tjunction Maxとはサーマルスロットリングが機能するまでに上がるコアの最大温度です。サーマル・スロットリングとはCPUの温度が上昇し異常に達する前に、CPUが発揮する性能を落としてCPUの発熱を小さくし温度上昇を抑える機能です。両者に関して以下の式が成り立ちます。

Tjunction=Tjunction Max-DTS

DTSとはデジタル温度センサーです。測定したコアの温度ではありません。CPUのコアが何度上昇したらTjunction Maxに達するのか示します。

CPUの適正温度

Tcase MAXより低い温度

CPUの温度がTcase MAXより低い温度であれば適正温度です。Tcase MAXは製品によって違いますが、70度程度が多いです。一般的にはアイドル時に50度程度、高負荷時に70度程度であれば適正温度です。

Tcase MAXと同程度の温度で長期間使用し続けてもCPUはあまり劣化しませんが、CPUの温度が高いとマザーボード上のCPU周辺部の温度も高くなり、結果としてマザーボードや周辺のPCパーツの温度も上がり劣化が早まり寿命が縮みます。冷却性能を追い求めるとキリがないですが、Tcase MAXより低い温度になるように冷却すると効果があります。

BIOS、ソフトウェアが表示するCPUの温度

コア内蔵サーマルダイオードが測定箇所の温度

BIOS設定画面が表示するCPUの温度は、CPUのコア内蔵のサーマルダイオードが測定した温度です。一般的にはCPUの温度を確認できるソフトウェアが表示する温度も同様です。

DTSを利用し計算した温度

DTS(Digital Thermal Sensor)とは、CPU のコアが何度上がったらサーマルスロットリングを作動させるのか、その温度の値を示します。例えば10度上がったら作動するときの出力値が10です。サーマルスロットリングが作動する温度の基準値がCPUによって異なりますが、その基準値からDTSの出力値を引けばCPUのコアの温度がわかります。CPUの温度を確認できるソフトウェアによっては、このように計算しCPUのコアの温度を表示します。

温度の比較

サーマルダイオードはアナログ回路のためノイズの影響を受けやすく、製品によってサーマルダイオードの位置が異なるので、サーマルダイオードが測定した温度では異なる製品同士で正確な温度比較ができません。DTSはデジタル回路なのでノイズの影響を受けませんが、サーマルスロットリング作動温度の基準値が製品によって異なり、同じ製品でも個体差があります。DTSと基準値を利用し計算した温度でも異なる製品同士で正確な温度比較ができません。同様の理由かつTcase Maxがヒート・スプレッダーの測定最大温度なので、どちらもTcase MAXと正確な温度比較ができません。

CPUのトラブル

CPUが冷却不足で温度が高すぎるときの症状

CPUのパフォーマンスを落とし発熱を抑える機能が作動し、CPUが本来の性能を発揮できずパソコンの処理速度が遅くなります。それでも温度が高すぎる場合は、パソコンの電源が突然落ちたり突然再起動します。

CPUクーラー等に異常が見られず冷却性能の不足が原因とは考えづらい場合、CPUグリスに異常が起きている可能性があります。CPUクーラーを外してCPUグリスを塗り直し直ったのであればCPUグリスが原因です。

CPUの故障

故障率

CPUは熱に弱いので温度が高いほど故障率が高くなります。一般的にはCPUの温度を10度下げると故障率が半減します。できるだけCPUの温度を下げるために冷却性能を上げたくなるところですが、CPUの故障率が低いので神経質になる必要はありません。例えば温度が高いと感じる70度程度でも故障するのが稀なほど故障率が低いです。

焼損

昔はCPUの温度が高すぎると焼損する場合がありましたが、今ではありません。昔と違って今ではCPUは温度が上がり続けるとクロック周波数を下げて発熱を小さくし、それでも温度が下がらない場合はCPUが間欠動作するようなスロットリング状態にします。スロットリング状態になっても温度が下がらない場合、CPUが自動的に動作停止します。

焼き鳥

昔にAMDに開発コードネームがThunderbird(サンダーバード)の製品がありました。その製品で焼けて破損する故障が多発し、Thunderbirdにちなんで焼き鳥という呼び方が誕生しました。


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CPUの耐久性



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