Windowsの記憶域スペース

最終更新日 2023年11月15日

Windowsの記憶域スペースとは

基礎

Windowsの記憶域スペースとは、物理ドライブの障害からデータを保護する技術です。ソフトウェアRAIDに似た技術です。記憶域スペースの利用方法によってはソフトウェアRAIDのようにならない、すなわち物理ドライブの障害からデータを保護できません。

記憶域スペースの利用例

記憶域スペースを利用する例です。3つ以上の物理ドライブをグループにまとめて記憶域プールを作ります。この記憶域プールの容量を使用し、記憶域スペースを作成します。RAID 5のようにデータを保存するので、1つの物理ドライブに障害が発生してもデータを保護できます。容量が足りなくなったら、記憶域プールに物理ドライブを追加します。

記憶域スペースの記憶域プール

記憶域プールを複数作成できる

記憶域プールを複数作成できます。

記憶域プールに複数の記憶域スペースを作成できる

1つの記憶域プールに複数の記憶域スペースを作成できます。

複数の記憶域プールにまたがる記憶域スペースを作成できない

複数の記憶域プールがある場合、複数の記憶域プールにまたがる記憶域スペースを作成することはできません。

記憶域プールと物理ドライブ

記憶域プールに追加できる物理ドライブの自由度が高い

記憶域プールに追加する物理ドライブは、容量が異なっていても混在できます。内蔵の物理ドライブと外付けの物理ドライブの混在もできます。HDDとSSDの混在もできます。

記憶域プールではリムーバブルドライブを使用できない

物理ドライブでもリムーバブルドライブに該当する場合、記憶域プールでは使用できません。

記憶域プールではパーティションを利用できない

記憶域プールに物理ドライブを使用すると、物理ドライブ全体の記憶領域が記憶域スペースになります。物理ドライブをパーティション分割し、一部のパーティションを記憶域プールに追加することはできません。

記憶域プールに追加できる物理ドライブの数に上限なし

記憶域プールに追加できる物理ドライブの数に上限がありません。

ボリュームの種類によっては記憶域プールに一定数以上の物理ドライブが必要

記憶域スペースにボリュームを作成しますが、ボリュームの種類によっては記憶域プールに一定数以上の物理ドライブを追加する必要があります。

記憶域プールにある物理ドライブを起動ドライブにできない

記憶域プールにある物理ドライブを起動ドライブにできません。

記憶域スペースの容量

記憶域スペースの容量を実際の容量より大きく設定可能

記憶域スペースの容量は、実際の容量よりも大きく設定できます。例えば容量が1TBの物理ドライブが2つあると、実際の容量が2TBですが、記憶域スペースの容量を2TBよりも大きい10TB等に設定できます。もちろん2TBまで使用すると容量不足になるので、実際の容量を増やすために物理ドライブの追加が必要です。

記憶域スペースとボリューム

ボリュームとは

ボリュームとは、物理ドライブの記憶領域の管理単位です。ここではデータの記憶に使用できる状態になった記憶域スペースと認識しておけばよいです。

ボリュームの種類

記憶域スペースで作成できるボリュームの種類には、シンプル、双方向ミラー、3方向ミラー、パリティーがあります。

シンプル

シンプルとは、複数の物理ドライブにまたがる1つのボリュームです。

双方向ミラー

双方向ミラーとは、同時に2つの物理ドライブにデータを書き込むボリュームです。記憶域プールに2つ以上の物理ドライブが必要です。物理ドライブが3つ以上の場合、3つ以上の中から2つに対しデータを書き込みます。どの2つに書き込むかはWindowsが管理しており変動します。1つの物理ドライブに障害が発生してもデータを保護できます。障害が発生した物理ドライブは交換すればよいです。

双方向ミラーがRAID 1と似ていますが、RAID 1と異なります。例えばRAID 1では同じ容量の物理ドライブを使用しますが、双方向ミラーでは異なる容量の物理ドライブでもよいです。

3方向ミラー

3方向ミラーとは、同時に3つの物理ドライブにデータを書き込むボリュームです。記憶域プールに5つ以上の物理ドライブが必要です。

双方向ミラーと比べるとアクセス速度が遅くなりにくいメリットがあります。物理ドライブ2つで双方向ミラー、物理ドライブ5つで3方向ミラーとします。双方向ミラーでは、同時に2つの物理ドライブにデータを書き込むため、他のアクセスも発生すると、どちらかのアクセスが終わるまで待機する時間が生じ、アクセス速度が遅くなります。3方向ミラーでは、物理ドライブ5つの中から同時に3つの物理ドライブにデータを書き込むため、他のアクセスが発生しても、アクセス対象の物理ドライブが重複せずアクセス速度が遅くならない場合が出てきます。3方向ミラーでもアクセス速度が遅くなる場合がありますが、全体的に見れば双方向ミラーより遅くなりにくいです。

パリティー

パリティーとは、書き込むデータからパリティーを生成し、データとパリティーを3つ以上の物理ドライブに分散して同時に書き込むボリュームです。記憶域プールに3つ以上の物理ドライブが必要です。書き込むパリティーとは、障害が発生した物理ドライブのデータを復元するときに使用するデータです。

双方向ミラーや3方向ミラーと比べると容量を効率よく使用できるメリットがあります。パリティーを生成する処理があるため、ランダムアクセス速度が遅くなるデメリットがあります。

ボリュームがストライピング可能なら自動的に機能する

作成したボリュームがストライピング可能の場合、自動的にストライピングとなります。ストライピングとは、複数の物理ドライブに分散してデータを書き込み、データ読み書き速度を向上させる技術です。例えば双方向ミラーかつ物理ドライブが3つ以上の場合、ストライピングとなります。

どの物理ドライブに書き込むかはWindowsが管理

ボリュームに書き込みむデータを、どの物理ドライブに書き込むかはWindowsが管理します。複数の物理ドライブに分散しデータを書き込む場合、分散の仕方がRAIDと異なります。

例えば4つの物理ドライブA,B,C,DかつRAID 1かつRAID 0の場合、A,BとC,Dに分散してデータを書き込みます。双方向ミラーの場合、A,BとC,Dのように分散しません。どの2つに対し同時にデータを書き込むのか変動します。

記憶域スペースとWindows

記憶域スペース対応はWindows 8から

記憶域スペースはWindows 8から対応した技術です。そのため、記憶域スペースに使用している物理ドライブを取り外し、Windows 8より前のWindows 7等に接続しても認識しません。Windows 8以降であれば認識しますが、ボリュームの種類によってはデータを読み込めません。例えば双方向ミラーかつ物理ドライブ3つ以上であり、その中から1つの物理ドライブを接続した場合です。

記憶域スペースとダイナミックディスク

記憶域スペースとダイナミックディスクが異なるもの

記憶域スペースがダイナミックディスクと似ていますが、両者が異なります。Windows 8からダイナミックディスクが非推奨となり、その代わりに登場したのが記憶域スペースです。

記憶域スペースはダイナミックディスクよりも柔軟

記憶域スペースはダイナミックディスクよりも柔軟に運用できます。

例えばダイナミックディスクのミラーボリュームに注目します。物理ドライブ2つ使用しミラーボリュームを作成します。ミラーボリュームの容量を物理ドライブの容量より大きく設定できません。物理ドライブの容量が不足したら、新たに物理ドライブを用意しミラーボリュームを作成し直す必要があります。

記憶域スペースの双方向ミラーに注目します。記憶域プールに物理ドライブ2つ追加します。記憶域プールから記憶域スペースを作成し、ボリュームの種類を双方向ミラーとします。双方向ミラーの容量を物理ドライブの容量より大きく設定できます。物理ドライブの容量が不足したら、記憶域プールに物理ドライブを追加します。記憶域スペースを作成し直す必要がありません。

記憶域スペースとメンテナンス

エラーチェックやデフラグを自動で実行

必要に応じて物理ドライブに対しエラーチェックやデフラグを実行する必要があります。記憶域スペースでは必要なときに自動で実行します。手動での実行は不要です。

エラーチェックとは、HDDの破損等をチェックし、破損部分があれば破損部分を使用できないようにする機能です。デフラグとは、HDDの断片化を解消する機能です。

出典

ASCII.jp:Drive Extenderの再来? Windows 8の新機能「記憶域プール」 (1/2)(2012/08/09更新記事)
ASCII.jp:Drive Extenderの再来? Windows 8の新機能「記憶域プール」 (2/2)(2012/08/09更新記事)
複数のHDDを効率良く運用できる「記憶域プール」 | 日経クロステック(xTECH)(2014/11/21公開記事)
複数のHDDを効率良く運用できる「記憶域プール」(2ページ目) | 日経クロステック(xTECH)(2014/11/21公開記事)
記憶域スペースの概要 | Microsoft Learn(2023/03/27公開記事)


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