電源容量の目安の計算方法 - その他 PC パーツの選び方

最終更新日 2023年09月07日

重要な追記

昔に電源容量の目安を自動的に計算するページを公開していたが、後にページを削除し非公開にしたパソコン関連の某メーカーに削除した理由等を聞きました。今のところ聞いた内容の全てを公開できません。許可をもらえていないためです。許可があったとしても、そのままでは公開しにくいくらいの内容でした。特定のパソコンメーカー等への手厳しい批判を含むためです。

とりあえず言えることは、同じようなPCパーツ構成の完成品パソコンや、PC関連メディアが掲載している自作パソコンのPCパーツ構成例等を参考にするとよいことです。当サイト掲載の計算方法で出した結果や自動的に計算した結果でも絶対にダメというほどではありませんが、話を聞いた某メーカーによれば全く推奨できないそうです。

電源容量を計算する前に抑えておきたいこと

電源容量の計算に入る前に抑えておきたいことを書いておきたいと思います。

CPU の最大消費電力は TDP と関係あるのか

ここでは CPU の最大消費電力を TDP を参考に見積もっていますが、最大消費電力と TDP は関係ありません。実用上では CPU の最大消費電力は TDP を超えることはあまりありませんが、たまたまそうなっているだけです。

どれくらい正確に電源容量を見積もれば良いのか

ここでは、電源容量は平均消費電力の2倍となるように選ぶのを理想としていますが、各 PC パーツの最大消費電力を正確に見積もれたとしても、平均消費電力を正確に見積もるのは難しいです。仮に平均消費電力まで正確に見積もれたとしても、パソコンの用途が変われば平均消費電力も変わる可能性があります。

そのため、電源容量の見積もり精度を高くしようと真剣にやっても時間の無駄で無意味です。ここで紹介している電源容量の計算方法は、ざっくりとした計算方法であり、これで良いのかと思われるかもしれませんが十分です。

電源容量の計算なんかせずに同じような PC パーツ構成の完成品パソコン、自作パソコンの PC パーツ構成例等を参考にして電源容量を決めるのもありで、むしろこちらの方法がおすすめです。

推測となりますが、パソコンの自作のためや交換のために電源ユニットを選ぶ人の多くは、電源容量の計算をせずに選んでいると思います。この可能性が高いと言えるほど、電源容量の計算をする必要性は低いです。

・CPU の最大消費電力と TDP は無関係
・電源容量の計算はざっくりで良く計算しなくても良いくらい

電源容量の目安の決め方

たいていの電源ユニットは、容量、すなわち総出力ワット数の半分を出力している時(電源負荷率 50%)が最も変換効率が高くなります。変換効率が高いほど、無駄な消費電力と発熱量を抑えられ、部品の長寿命化と冷却ファンの回転数が減る事による騒音レベルの低下につながります。

特に 80PLUS ランクが高い電源ユニットは、以下を見るとクリアしなければならない変換効率は電源負荷率 50% 時が最も高いため、当てはまる可能性が高いです。

80 PLUS ランク 変換効率
(電源負荷率 20% / 50% / 100%)
80 PLUS スタンダード 80% / 80% / 80%
80 PLUS ブロンズ 82% / 85% / 82%
80 PLUS シルバー 85% / 88% / 85%
80 PLUS ゴールド 87% / 90% / 87%
80 PLUS プラチナ 90% / 92% / 89%
80 PLUS チタン 92% / 94% / 90%

80PLUS ランクが高い電源ユニットでも必ずしも当てはまる訳ではありませんが、たいていの電源ユニットは電源負荷率 50% 時に最も変換効率が高くなります。

最も変換効率が高くなるよう総出力ワット数が平均消費電力の2倍となるよう選ぶのが理想的ですが、平均消費電力を精確に見積もるのは難しいですし、優先すべきなのは最大消費電力が総出力ワット数を超えないようにする事ですので、最大消費電力が総出力ワット数の 70% 程度になるよう選ぶのが最適な選択肢の一つです。

最近の各 PC パーツの省電力機能が進歩しているため、このように選ぶと平均消費電力は総出力ワット数の半分以下となる可能性が高いですが、後に PC パーツの交換や増設による最大消費電力の増大、電源ユニットの経年劣化による総出力ワット数の低下を考慮し、最大消費電力が総出力ワット数の 70% 程度になるよう選ぶのが無難です。

言い換えると、最適な総出力ワット数は、最大消費電力を 0.7 で割れば導けますが、そのためには大まかで良いので最大消費電力を見積もる必要があります。

最大消費電力の見積もり方

以下は、主要な PC パーツごとの最大消費電力の見積もり方です。

CPU TDP の1.5倍
ハイスペック CPU の中で上位の性能を持つ CPU は、TDP の2倍
メインメモリー 5W×搭載数
マザーボード 50W
ストレージ 25W×搭載数(HDD)
15W×搭載数(SSD)
光学ドライブ 25W×搭載数
ビデオカード 仕様に記載されている、もしくは公称されている最大消費電力×搭載数
最大消費電力が不明の場合は、ハイスペック 300W、スタンダード 200W、エントリー 100W

最も重要になるのが最大消費電力が大きい CPU とビデオカードです。製品によって最大消費電力は大きく異なるため、製品の仕様等を見て最大消費電力を見積もる必要があります。他の PC パーツは最大消費電力が比較的小さいため、最大消費電力を大きい製品を基準にして見積もれば十分です。

CPU は最大消費電力ではなく TDP が各メーカーのウェブサイトにて公開されていますので、TDP を参考にして最大消費電力を見積もります。最大消費電力は基本的に TDP の1.5倍としておけば十分ですが、最大級の性能を有する CPU だと最大消費電力は TDP の1.5倍を超えてくる可能性がありますので、2倍にしておくのが無難です。

ビデオカードの消費電力は、ほとんどビデオチップの消費電力ですので、ビデオチップのメーカーのウェブサイトにて公開されている最大消費電力を参考にします。nVIDIA 社のウェブサイトでは消費電力が記載されていますが、これが最大消費電力となります。

AMD 社のウェブサイトでは最大消費電力が記載されていませんが、公称した最大消費電力が様々なウェブサイトに記載されていますので、それを参考にし最大消費電力を見積もります。ただし、一部の製品では最大消費電力を公称していません。

不明の場合は、ハイスペック 300W、スタンダード 200W、エントリー 100W と見積もると良いです。最大級の性能を有するビデオチップだと 500W 近くになりますが、このようなビデオチップは最大消費電力が非常に重要な情報になるため、公称されてない事はまずありません。

電源容量の目安の計算例

以下は、最大消費電力の見積もり例と、最適な総出力ワット数の計算例です。

CPU インテル社 Core i7 4790(TDP 84W)
メインメモリー 搭載数2
マザーボード 搭載数1
ストレージ HDD 搭載数1
光学ドライブ 搭載数1
ビデオカード 搭載数×1
nVIDIA GeForce GTX760(170W)
パソコン全体の最大消費電力
(84W×1.5)+5W×2+50W+25W×1+25W×1+170W×1=406W
最適な総出力ワット数
406÷0.7=580W
この例だと最大消費電力が 406W ですので、総出力ワット数が 450W や 500W でも十分と言えます。もし BTO カスタマイズに対応していて電源ユニットを変更できるなら、最適な総出力ワット数に近い 600W にしておくと良いです。

さらに総出力ワット数が大きい電源ユニットでも良いのですが、平均消費電力の割りに総出力ワット数が大きすぎると、変換効率が低くなり、無駄な消費電力と発熱量が大きくなります。そのため、選ぶとしても見積もった最大消費電力の2倍程度までにしておくと良いです。上記の例だと、406W×2=812W となり、総出力ワット数 800W が選択限度の目安となります。

パソコンに搭載するCPU、ビデオカードを変更し、最大消費電力の見積もり例と、最適な電源容量の計算例を記載します。

CPU インテル社 Core i7-4930K(TDP 130W)
メインメモリー 搭載数2
マザーボード 搭載数1
ストレージ SSD 搭載数1、HDD 搭載数1
光学ドライブ 搭載数1
ビデオカード 搭載数1
nVIDIA GeForce GTX 780Ti(250W)
パソコン全体の最大消費電力
(130W×1.5)+5W×2+50W+15W×1+25W×1+25W×1+250W×1=570W
最適な電源容量
570÷0.7≒814W
800Wであれば最適に近く、750Wでも消費電力は電源容量の76%になりますので悪くはありません。

仮に600Wでもギリギリに近いですが、消費電力は余裕を持って見積もっています。

各PCパーツは負荷に応じて消費電力が変わり、全てのPCパーツに高負荷がかかり見積もった消費電力で動作することがまずありませんので、600Wでも正常に動作する可能性が高いです。


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