CPUクーラーの選び方

最終更新日 2021年12月12日

リテール、サードパーティー

違い

リテールクーラーとは、CPUメーカーが開発し製造したCPUクーラーです。純正クーラーと呼ぶ場合もあります。CPUに標準付属しますが、CPUによっては標準付属しません。サードパーティーのCPUクーラーとは、CPUメーカーとは違うメーカーが開発し製造したCPUクーラーです。社外品クーラーと呼ぶ場合もあります。

サードパーティーはリテールよりも劣ると使用する意味がありません。リテールと差別化を図るためにコストをかけるので価格が高いですが、冷却性能と静音性に優れます。価格、冷却性能、静音性は製品によって違いが大きく、価格が安い製品だと数千円程度ですが、価格が高い製品だと1万円を超えます。価格が高いほど冷却性能や静音性に優れる傾向があります。

リテールは価格競争で不利にならないように低コスト重視です。冷却性能や静音性が劣りますが、使用に支障をきたすほどではありません。静音性を高めるにはサイズを大きくする必要があり、特に内部スペースが狭いパソコンに入り切らず搭載できなくなる可能性が高まります。リテールは搭載できないリスクを小さくするため、サイズが小さめです。サイズが小さく騒音レベルが高いですが、静音性よりも冷却性能を重視しているサードパーティーと比較すると、リテールの方が静音性に優れる場合があります。

サードパーティ
(社外品)
・コストをかけ冷却性能と静音性が高い
リテール
(純正)
・低コスト重視で冷却性能と静音性が低い

用途

ゲーム、動画・画像編集等、負荷が大きい作業に使用すると、CPUへの負荷が大きく温度が上昇します。温度が上昇しすぎると発熱を抑えるために処理速度が落ちます。温度が高くなるほど劣化が進み、寿命が短くなり故障率が高くなります。CPU周囲の温度も高くなり、マザーボードの劣化を早めます。CPUクーラーはCPUを冷やそうと冷却用ファンの回転数が上がり、騒音レベルが高くなります。

以上の問題が出てくるので、負荷が大きい作業にCPUを使用する場合、冷却性能と静音性が高いサードパーティーを使用するとよいです。特に高性能CPUは発熱が大きくリテールでは冷却性能が不足する可能性が高まるのでサードパーティーがよいです。負荷が小さい作業に使用する場合、リテールクーラーで十分です。

種類

ロープロファイルCPUクーラー

内部スペースが狭いPCケースだと、サイズが大きいCPUクーラーが入らない場合があります。CPUクーラーの高さが問題になりやすく、高さを抑えて薄型にしたCPUクーラーをロープロファイルCPUクーラーと呼びます。薄型CPUクーラーと呼ぶ場合もあります。

高さの問題が解消しても、幅と奥行きが問題になる場合があります。高さを抑えるため冷却性能が不利なので、冷却性能を向上させるために幅と奥行きが広がるようにヒートシンクのサイズを大きくし、口径が大きいファンを搭載する製品が見られますが、このような製品は他のPCパーツと物理的干渉する可能性が高いです。

ツインタワー型CPUクーラー

ツインタワー型CPUクーラーとは、サイドフロー型かつ2つのヒートシンクそれぞれがタワーのような構造のCPUクーラーです。ヒートシンクが一つであれば、シングルタワー型CPUクーラーです。

ツインタワー型はシングルタワー型と比べると、大まかに見ればヒートシンクの表面積が2倍であり冷却性能が高くなります。ファン2つによりさらに冷却性能が高まり、発熱が大きい高性能CPUに向いています。ファンの回転数を落としても高い冷却性能を維持できるので、静音性を高めることもできます。

対応ソケット

CPUソケットの種類

CPUはマザーボードのCPUソケットに装着します。CPUソケットには多数の種類が存在し、種類によって形状等が違います。CPUソケットの形状の違いがCPUクーラーの装着部分に影響しますので、取り付けるCPUソケットに対応するCPUクーラーを選びます。一般的に複数のCPUソケットに対応するので、比較的新しいCPUクーラーなら比較的新しいCPUソケットに幅広く対応します。

CPUクーラー発売後に新たに登場したCPUソケットにも取り付け可能の場合がありますが、不可能の場合もあります。新しく登場するCPUソケットは、古いCPUソケットと比べて形状があまり変わらない場合が多いので対応の可能性が高いです。CPUクーラーのメーカーが、自社サイトにて新たに登場したCPUソケットの対応について公開している場合があるので、調べてみるとよいです。

LGA 1366

インテルのLGA 1366はLGA 775と比べて大きく変わり、それに伴いLGA 1366対応CPUクーラーも大きく変わりました。原則的にはLGA 775対応CPUクーラーをLGA 1366に使用できません。マザーボードによってはCPUソケットがLGA 1366でも、LGA 775対応CPUクーラーも取り付け可能です。LGA 1366ではクリップ(留め具)も変わっており必要ですが、CPUクーラーのメーカーによってはLGA 775対応CPUクーラーをLGA 1366でも使用可能にするクリップ(留め具)を発売しています。

LGA 115x

インテルのLGA 115xに該当するCPUソケットを古い順に並べると、LGA 1156、LGA 1155、LGA 1150、LGA 1151ですが、CPUクーラー取り付け穴の位置が同じです。例えばLGA 1156登場当時、このCPUソケットに対応の製品は他のLGA 115xに対応可能です。LGA 115x対応製品は、LGA 115x以外にも対応の場合があります。

エアフロー

トップフロー型、サイドフロー型

CPUクーラーにはCPUから吸熱するヒートシンクがあり、そのヒートシンクに対してファンで上から空気を吹き付けて冷却するのが トップフロー型です。ヒートシンクに対してファンで横から空気を吹き付けて冷却するのがサイドフロー型です。以下は、それぞれのメリット、デメリットです。

トップフロー型

メリット ・CPU周辺(マザーボードやメインメモリー等)も冷却可能
・高さがなく小型PCケースにも適する
・軽いので取り付け方法が簡単な製品が多い
・製品数が多く価格が安い製品も多い
デメリット ・幅と奥行きがありマザーボード上の部品やメインメモリー等と干渉する可能性が高い

サイドフロー型

メリット ・冷却性能が高い製品が多い
・幅と奥行きがなくマザーボード上の部品やメインメモリー等と干渉する可能性が低い
デメリット ・高さがあり小型PCケースには適さない
・重いので取り付け方法が面倒な製品が多い
・製品数が少なく価格が安い製品も少ない

CPU周辺の冷却

トップフロー型はCPU周辺を冷却可能ですが、高さが抑えられファンのサイズが大きめの製品に限られます。多くの製品ではCPU周辺にあまり風が当たりません。リテールクーラーは高さがありファンのサイズが小さめなので、CPU周辺をあまり冷却できません。高さが抑えられファンのサイズが大きめに該当する製品でも設計によってはCPU周辺を冷却できませんので、CPU周辺も冷却するように設計された製品を選ぶと確実です。

CPUクーラーメーカーの話

CPUクーラーの某メーカーの人に聞いた話によると、トップフロー型とサイドフロー型それぞれの冷却性能を比較するために、できるだけヒートシンク等を同じにして製造し検証してみたところ、トップフロー型の方が冷却性能が高いそうです。高いと言っても大きな差がなく、トップフロー型かサイドフロー型の違い以外がほぼ同じ条件であれば、冷却性能もほぼ同じ結論になったそうです。サイドフロー型の方が冷却性能が高いと見聞きするが、その理由はサイドフロー型の方がヒートシンクやファンが大きい等の有利な条件がある製品が多いためと考えているそうです。

この検証結果があるので主にトップフロー型を開発し製造していますが、トップフロー型の方がCPU周辺の部品を冷却できる、高さを抑えられ物理的干渉が発生しにくい、以上の理由もあるそうです。サイドフロー型だとヒートシンクやファンの大型化、ファンの複数搭載をしやすいので、冷却性能重視の製品にはサイドフロー型を採用する場合があるそうです。冷却性能を重視しサイズが大きいサイドフロー型でも取り付けられる場合、サイドフロー型を推奨するそうです。

サイズ

冷却効果を高めるためには CPU から吸熱するヒートシンクを大きくする必要があり、冷却効果と静音性を高めるためにはファンも大きくする必要があるため、冷却効果や静音性が高い CPU クーラーほどサイズが大きい傾向があります。

CPU クーラーのサイズは、幅と奥行き、高さで表されますが、幅と奥行きを見てマザーボード上の部品やメインメモリー等と干渉してしまわないか確認して選ぶ必要があります。高さも見て、PC ケース内部に納まるかどうかも確認して選ぶ必要があります。

トップフロー型 ・幅と奥行きがある製品が多い
サイドフロー型 ・高さがある製品が多い

大型化が可能になった理由

昔と違って今ではCPUクーラーの大型化が可能になり、タワー型に該当するPCケースでも搭載できない場合が多いほど巨大な製品があります。その理由はヒートパイプにあります。CPUクーラーの冷却性能を高くする方法に、ヒートシンクのサイズを大きくする方法があります。そうしてもCPUの熱がヒートシンク全体に伝わらないと冷却性能が向上しません。そこで使用し始めたのが熱を効率的に移動させるヒートパイプです。ヒートシンクのサイズを大きくしても全体に熱が伝わり冷却性能が向上します。

ヒートシンクの大型化に伴いファンも大型化しました。サイズが大きいヒートシンク全体に風を当てるのも冷却性能を高めるのに効果的であり、サイズが大きいファンも組み合わせると冷却性能が向上します。同じ回転数で比較するとファンのサイズを大きくすると風量が大きくなるので、サイズが大きいファンを使用し回転数を落とすと静音性も向上します。冷却性能や静音性を重視した製品は、ヒートパイプを使用し大型ヒートシンクと大型ファンを搭載するためサイズが大きいです。

高さは16cm(160mm)以下が選択の目安

PCケースがタワーの場合、CPUクーラーの高さが16cm(160mm)以下なら側面パネルに物理的干渉せずに搭載できる可能性が高いです。同じタワーでも製品によって幅が違うので可能とは限りません。PCケースに搭載可能な高さはどのくらいなのか選ぶ前に調査が必要です。16cm(160mm)超えでも搭載可能であれば選んでも問題ありません。高さが問題にならなくても、マザーボード、メインメモリー、拡張カード等と物理的に干渉する可能性があるので高さ以外にも注意が必要です。

小型PCケース

Micro ATX対応の省スペース(スリム)やMini-ITX対応のキューブ等の小型PCケースでは、タワー向けの大型CPUクーラーだと物理的干渉し搭載できない場合が多いです。特に高さが厳しいので、高さがあるサイドフロー型だと搭載できない場合が多いです。幅と奥行きも厳しいので選ぶのが難しいです。自作パソコン関連の書籍、雑誌、ウェブメディア等を参考にすると簡単です。例えば自分が使用するPCケースと同じ自作例が掲載されており、そこで採用されているCPUクーラーを選ぶと確実に搭載できます。

個体差

CPUクーラーには個体差があり、同じ製品でもサイズが違う場合があります。サイズに個体差があっても数ミリ程度の違いです。ギリギリ搭載できるサイズではなく、少し余裕(1センチ程度)を持たせて選ぶとよいです。サイズ以外にもベースプレートの精度、ヒートパイプの精度等に個体差が見られますが誤差レベルです。CPUの温度が大きく変わるほど冷却性能に違いが出ません。

ファン

口径、回転数

CPUクーラーはファンの口径が大きく回転数が高いほど冷却性能が高いです。冷却に重要なファンの風量が大きくなるためです。厳密にはファンの口径や回転数だけで決まりませんが、冷却性能を比較するときに参考にできます。

風量

風量とは、ファンが送れる空気の最大量です。単位がCFMです。CFMとはCubic Feet per Minuteの略で、1分間あたりに送れる空気量です。立方フィートから立法メートルに換算する場合、1CFM≒0.0283立方メートル/minuteを使用します。冷却性能を重視する場合、風量が大きい製品を選びます。

個数

冷却性能を重視する場合、口径や回転数に限らずファンが複数ある製品を選ぶ方法があります。例えば口径が140mmのファン1個よりも口径が120mmのファン2個の方が冷却性能が高いです。ただし、サイズが大きくなるので物理的干渉に注意が必要です。トップフロー型にもファンを2個搭載する製品がありますが、特にサイドフロー型に多いです。販売時では1個でもユーザーが増設して2個にできる製品もあります。ファンが2個のことをデュアルファンと呼びます。

ファンが増えると騒音が大きくなるデメリットがあります。ファンが1個の場合と比べると、回転数を下げて同じ風量を実現できるので、冷却性能が同程度になるように1個の場合よりも回転数が下がるように設定すると静音性が向上する場合があります。

高性能CPUに使用する場合120mm以上

口径は120mmが主流です。一般的に120mmあれば高性能CPUに対応できます。それでも冷却性能が不足する場合、140mmを選びます。150mmが最大級ですが、極一部の製品にしか見られず選択肢が限られます。できるだけ口径が大きいファンを選ぶ場合、140mmが選択の目安です。

冷却性能が十分でも静音性を考慮し120mmが選択の目安

冷却性能が十分であれば120mm以下でも選べますが、内部スペースが狭いPCケース向けです。冷却性能が十分すぎる口径であっても静音性が高くなるので選ぶとよいです。マザーボードはCPUの温度を監視し、ファンの回転数を制御します。温度の状況を見て冷却性能が十分であれば回転数を抑え、マザーボードによっては止める場合もあります。口径が大きいほど回転数が上がりません。同じ風量で比較すると口径が大きいほど回転数を抑えられるためです。ファンの騒音は回転数が上がるほど大きくなります。口径が大きいほど回転数を抑えられ騒音が小さくなるので静音性が高くなります。

交換

CPUクーラーはファンを交換可能な製品が多いです。購入後にファンを交換したい場合、交換可能な製品を選ぶとよいです。口径が大きくなる、回転数が上がる、どちらか一方でも満たすように交換すると冷却性能を向上できます。口径が大きくなるとサイズが合わなくなりますが、例えば120mmと取り付け穴が同じ140mmのファンがあります。口径を変換するアダプターを使用する方法もあります。

高速回転化よりも大口径化の方が冷却性能が向上します。例えば口径を120mmから140mmへ交換する場合と同程度の冷却性能向上効果を出すには、回転数を1.5倍以上に上げる必要があります。回転数が上がるとモーターに負荷がかかり発熱が大きくなるので故障率が上がり、騒音が大きくなるデメリットもあります。これらのデメリットも考慮すると高速回転化よりも大口径化の方がよいです。

ファンレス

エアフロー

ファンレスCPUクーラーはファンを搭載していません。ファンレスであれば風を当てる必要がなさそうですが、ファンレスに該当する製品の多くはエアフローが必要です。エアフローの風が当たることを前提に設計されています。ファンレスCPUクーラーはヒートシンクが大きい傾向が見られますが、ヒートシンクに風を当てないと冷却性能が大きく落ちるためです。

エアフローなしでパソコン全体をファンレスにする場合、エアフローなしに対応する製品を選びます。エアフローが必要な製品は、エアフローがなくてもCPUが十分冷える場合があります。パソコン内部に熱がこもり他のPCパーツの温度が異常に高くなる、これが起きなければエアフローがなくてもよいです。

騒音

騒音値の測定条件

CPUクーラーの仕様に騒音値が記載されている場合があります。騒音値の測定条件が統一されていないので、騒音の比較には参考にできません。比較する製品によっては騒音値が小さい方が騒音が大きいと感じる場合があります。将来において統一された場合は参考にできますが、今のところ統一される気配すらありません(2021/12/15時点)。

騒音値と実際の騒音の乖離

仕様に記載の騒音値から予想した騒音よりも、実際の騒音が大きく感じる場合があります。騒音の測定環境が一般的な使用環境と異なるためです。例えば反射音が大きいと正確に測定できないため、測定環境では反射音が抑えられています。騒音値が小さくてもあまり期待しない方がよいです。

ファン

CPUクーラーから発生する騒音の大半が、ファンが回転すると発生する風切り音と振動音です。ファンの回転数が低いほど静音性に優れます。ファンのサイズが大きいと風量が大きくなり、回転数を下げると落ちる風量をカバーできるので、サイズが大きいほど回転数を低くできます。

静音性重視の場合、サイズが大きく回転数が低いファンを搭載する製品を選ぶとよいです。ただし、ファンのサイズが大きいほど物理的干渉が発生しやすいので、搭載可能なスペースがあるのか注意が必要です。

厳密には回転数のみで静音性が決まらないので、あくまでも一つの目安です。ファンの羽根の形状等、様々な要素によって静音性が決まります。同じ回転数でも静音性に違いが見られたり、比較対象によっては回転数が高い方が静音性に優れている場合もあります。静音性について知りたい場合、レビューや口コミが掲載されているウェブサイトやパソコン雑誌等も参考にするとよいです。

ヒートシンク

金属の種類

ヒートシンクの金属は、熱伝導率の高さを重視するなら金属の中で熱伝導率が最も高い銀が一番です。しかし、銀だとコストが大幅に上昇しCPUクーラーの価格も大幅に上昇します。熱伝導率の高さとコストとのバランスを重視するなら銅がよく、さらにコスト重視ならアルミニウムがよいです。

CPUクーラーの冷却性能はヒートシンクの金属の種類のみで決まるものではないので、あくまでも選択の目安です。冷却性能を重視する場合は銀がよいですが、比較対象によっては銅を採用する製品の方が冷却性能が高い場合があります。

ベースプレート

精度

CPUクーラーのベースプレートの精度が高いほどCPUとの密着度が高まり熱が伝わりやすいので精度が重要です。ベースプレートとCPUの間に隙間があってもCPUグリスを使用し隙間を埋められますが、CPUグリスの熱伝導率は金属と比べてかなり低いです。ベースプレートの精度が高いほど、CPUグリスを経由せずに熱が伝わる面積を広くできます。

ベースプレートの精度が高い製品を選ぶとよいですが、仕様等に記載されておらず精度の比較ができません。精度を謳う製品が見られますが、精度を謳わない製品よりも精度が高いのか不明です。ベースプレートの精度が重要ですが、CPUクーラー選びで確認不要です。

ヒートパイプ

ヒートパイプとは

ヒートパイプとは熱を効率的に移動させる部品です。CPUクーラーのヒートシンクの表面積を大きくし空気との接触面積を増やせば冷却性能を高くできますが、ヒートシンクには熱の移動のしにくさを示す熱抵抗が大きい問題があります。そこでヒートパイプを使用して熱を効率的に移動させます。ヒートパイプには放熱効果がほとんどなく、ヒートシンクが放熱を行います。

熱を移動させる仕組み

ヒートパイプ内部には作動液と呼ぶ液体があります。内部の壁面は毛細管構造になっています。ヒートパイプには様々な形状があります。細い棒状を例に説明すると、片方の端は加熱部、もう片方の端は冷却部です。加熱部で熱を受け取り加熱された作動液が蒸発し、冷却部へ移動します。冷却部に到達した作動液の蒸気が熱を逃し冷えて凝縮し液体に戻ります。液体に戻った作動液は、毛細管現象により加熱部へ移動します。以上の流れが繰り返し発生し、熱を加熱部から冷却部へ移動させます。

重要な温度差

ヒートパイプは加熱部と冷却部の温度差が大きいほど熱輸送能力が高くなります。加熱部がCPU側にありますが、温度差を大きくするためにCPUの温度を高くするわけにはいきません。ヒートシンク側にある冷却部の温度を低くするとよいです。そのためにファンがヒートシンクへ十分な風量を与え、PCケース内部のエアフローをしっかりと作り熱の排気が重要です。

破裂

ヒートパイプは高温になると破裂します。破裂する温度は製品によって違いますが、一般的には約200度で破裂します。パソコンのCPUクーラーでは約200度に達しませんので破裂の心配がありません。

寿命

CPUクーラーを選ぶときにヒートパイプの寿命を知ることはできないので確認が不要です。多くのヒートパイプは寿命が半永久的です。完全密封され内部で金属と作動液が化学反応しないように設計されています。ヒートパイプによっては完全密封されておらず、作動液が液体のときは漏れないが気体だと漏れ、寿命が短いものだと1〜2年程度です。完全密封されているが、内部で金属と作動液が化学反応して劣化が進み、熱を移動させる効率が落ちるものもあります。

劣化し寿命に達すると熱を伝える効率が落ちます。CPUクーラーが採用するヒートパイプが寿命の短いものだと、数年程度で冷却性能が低下します。冷却性能が不足するほど落ちた場合、CPUクーラーの買い替えが必要です。ヒートパイプのみ交換は不可能ではないが困難です。

ヒートパイプを使用する理由

CPUクーラーがヒートパイプを使用する理由は、ヒートシンクを大きくし隅々に熱を伝えるためです。ヒートシンクが大きいほど冷却性能が高いですが、一定以上の大きさになると冷却性能があまり向上しません。ヒートシンクに熱が伝わりやすい金属を使用しますが、伝わりやすさには限度があり、一定以上の大きさになると金属ですら熱の伝わりやすさが足りません。そこで熱を移動させるためのヒートパイプを組み合わせると、ヒートシンクが大きくても隅々に熱を伝えられます。ヒートシンクが大きい製品にヒートパイプがあるが、小さい製品にはない傾向が見られますが、ヒートシンクが小さいほどヒートパイプの必要性が低くなるためです。

接触型、非接触型

接触型はヒートパイプがCPUに接触し、非接触型は接触しません。接触型だとベースプレートを薄くでき小型化とコスト削減のメリットがありますが、大きなメリットではありません。接触型だとヒートシンクを経由せずに熱を受け取れるため、熱を伝える効率が上がるメリットがありますが、非効率になるデメリットもあります。

CPUと接触する面は加工精度が重要であり、精度が低いと隙間が多くなり熱を伝える効率が落ちます。接触型だと加工精度を高めるのが技術的に難しくなります。接触型だとCPUと接触するヒートパイプ部分が薄い構造になりますが、熱が伝わる効率が落ちます。他にも様々なデメリットがあり、様々な要因が影響して熱を伝える効率が上がるとは限りません。

接触型を採用した製品が登場し、続々と同様な製品が登場しましたが、接触型の方が冷却性能に有利なのか疑問視され始め、非接触型の方が冷却性能に有利の場合がある研究結果が出て、接触型の製品と非接触型の製品が混在している状況です。冷却性能重視でも非接触型の製品がありますが、接触型よりも冷却性能が高いので採用した可能性があります。

CPUクーラーの某メーカーの人に聞いた話によると、接触型と非接触型どちらを採用するのか決めるために、この違い以外はほとんど同じ仕様の製品を製造し、冷却性能を測定し高い方を採用しているそうです。他社についてはわかりませんが、自社製品に関しては接触型と非接触型どちらがよいのか気にせずに選び大丈夫とのことです。

熱輸送能力

ヒートパイプの熱輸送能力は、管に採用する金属の種類、管の太さ、作動液の種類等によって違います。CPUクーラーの仕様等からわかりませんので確認が不要です。仮にわかるとしても重要なのはCPUクーラーの冷却性能です。

長さ

ヒートパイプの長さには限度があります。作動液が加熱部で熱を受け取り蒸発して気体になり冷却部へ移動しますが、ヒートパイプが長すぎると冷却部に到達するまでに液体に戻ってしまい熱が効率的に移動できません。限度の長さはヒートパイプによって違いますが、CPUクーラーが採用するようなヒートパイプであれば数十センチは問題なく機能します。CPUクーラーではそこまで長くなりません。

太さ

ヒートパイプは太いほど作動液の量を増やせる等のメリットがあり熱輸送能力が上がります。CPUクーラーで見られる太さの違い程度では熱輸送能力にあまり違いが出ず、熱輸送能力が太さのみで決まらないので、太さの確認が不要です。

形状

ヒートパイプを曲げたり潰したりすると熱輸送能力が落ちます。曲げない潰さないが最もよいです。どのCPUクーラーにも曲がりや潰れが見られますが、ベースプレートやヒートシンク等と合わせてCPUクーラーを設計する必要があるためやむを得ません。曲がりや潰れが少ない製品を選ぶとよいですが、CPUクーラーの冷却性能はヒートパイプの形状のみによって決まるものではありませんので確認が不要です。

本数

ヒートパイプの本数が多いほど熱輸送能力が増えるので、CPUクーラーの冷却性能が高いです。CPUクーラーの冷却性能はヒートパイプの本数のみで決まるものではないので、本数の確認が不要です。

設置方向

ヒートパイプは重力の影響を受けるので、設置方向により熱輸送能力が違う場合があります。その場合、冷却部が加熱部より高い位置だと熱輸送能力が高くなります。加熱部が上、冷却部が下になるように垂直方向にすると、冷却部で液体になった作動液が重力の影響で加熱部へ最も移動しにくくなります。それでも加熱部が下、冷却部が上の場合と比べて熱輸送能力が約半分に落ちる程度です。熱輸送能力が半分になってもCPUクーラーの冷却性能が半分にはなりません。CPUクーラーの冷却性能は様々な要因によって決まるためです。熱輸送能力が半分になったとしても、CPUクーラーの冷却性能があまり変わらない場合が多いです。ヒートパイプによっては設置方向によらず熱輸送能力がほぼ同じ場合があります。

採用するヒートパイプの設置方向が重力に逆らう方向でも問題なく、CPUクーラー設置方向の推奨がない製品が多いです。ヒートパイプの熱輸送能力が高くなるようにCPUクーラーの設置方向が推奨されている場合、取扱説明書(マニュアル)に推奨設置方向について記載されています。

水平推奨理由

ヒートパイプが水平になるように設置方向を推奨する製品が多いです。一般的にマザーボードを縦に設置し、CPUクーラーも縦に設置するためです。ベースプレートとヒートシンクが水平になるため、推奨されるヒートパイプ設置方向が水平になるように設計されます。

推奨設置方向なしの理由

CPUクーラーの某メーカーの人の話によると、自社製品では設置方向による冷却性能の違いがないか検証し、誤差レベルの違い程度であれば推奨設置方向なしとしているそうです。違いが出れば推奨設置方向を決めるが、それでもCPUの温度に最大数度の違い出る程度であり、推奨されていない設置方向でもあまり気にする必要がないそうです。

取り付け方法

特徴

以下は、各取り付け方法の特徴です。

バックプレート式 ・マザーボード背面部品と干渉する場合あり
・マザーボードの裏側にプレートを入れCPUクーラーとプレートでマザーボードを挟むように固定する
・マザーボードの裏側で取り付け作業が発生する
・しっかり固定できるので重いCPUクーラーに適する
・重量があってもマザーボードが歪みにくい
・密着力が強いので熱がよく伝わる
プッシュピン式 ・ピンを押し込み固定する
・取り付けが簡単
・取り付け時にピンが破損しやすい
・重量があるとマザーボードが歪みやすい
・インテルのCPUが採用
クリップレバー式 ・クリップレバーを閉じ固定する
・取り付けが簡単
・重量があるとマザーボードが歪みやすい
・AMDのCPUが採用

CPUクーラーはインテルとAMDどちらのCPUでも使用可能な製品が多いため、プッシュピン式とクリップレバー式の両者に対応する製品が多いです。マザーボードが歪みやすいデメリットに注意が必要ですが、リテールクーラー等の軽量なCPUクーラーであれば歪みません。プッシュピン式にはバックプレート式に変換するアダプターがあります。

重量があるCPUクーラーだとネジでしっかりと固定するバックプレート式が見られますが、取り付けが面倒なため簡単に取り付けたい場合は推奨できません。密着力が強いのでCPUクーラーとCPUの間の隙間が小さくなり、熱が伝わりやすいので冷却に有利ですが、プッシュピン式等と比べてCPUの温度に大きな差が生じるほど冷却性能に差が出ません。

マザーボード背面部品との干渉

バックプレート式だと、マザーボード背面にあるヒートシンク、コンデンサー等の部品と物理的に干渉し取り付け不可の場合があります。Mini-ITX等、サイズが小さい規格だと基板の面積が狭いので背面に部品が多い傾向があり、取り付けられない場合が多いです。

背面に大きなヒートシンクがあれば事前に取り付け可能か判断しやすいですが、小さなコンデンサー等だと判断が困難です。取り付けできなかった場合に交換できるように交換保証に加入しておく方法があります。確実に取り付け可能の組み合わせを購入したい場合、CPUクーラーとマザーボードの組み合わせ例が掲載されている書籍、ウェブメディア等を参考にする方法があります。

バックプレート式のワッシャー

バックプレート式CPUクーラーをマザーボードに取り付けるときに、付属するワッシャーの使用が重要です。マザーボードの配線を破損させないためです。マザーボードによりますがネジの穴近くにも配線があります。ワッシャーがあってもネジを回す作業を慎重に行います。ネジを締めすぎるとワッシャーがネジと一緒に回り傷が付く等して、マザーボードの配線を破損させてしまう恐れがあるためです。バックプレート式にはこのように破損する可能性がありますが、ワッシャーを使用し丁寧に作業すれば大丈夫です。

コネクター

3ピンと4ピンの違い

CPUクーラーにはマザーボードとの接続に使用するコネクターがあります。コネクターには3ピンと4ピンがあります。4ピンはPWM対応ですが、3ピンは非対応です。マザーボードにPWMが普及しており、CPUクーラーはPWM対応できるように4ピンが普及しているので、実質的に選択肢が4ピンのみです。

互換性

CPUクーラーが3ピン(4ピン)でもマザーボードの4ピン(3ピン)に接続し使用可能ですが、PWMの利用ができません。CPUクーラー側が3ピン、マザーボード側が4ピンの場合、マザーボード側がDC制御に非対応だと回転数の制御ができません。DC制御に対応の場合、BIOS(UEFI)にてPWM制御からDC制御へ切り替える必要があります。

PWM

PWMとはPulse Width Modulationの略であり、マザーボードがCPUの温度を監視してファンの回転数を制御する機能です。PWMなしでも回転数を制御可能ですが、PWMの方が回転数を幅広く細かく制御可能です。CPUの温度が低いときはファンの回転数を下げます。CPUの温度が高いときはファンの回転数を上げます。

冷却効果の選び方

仕様から冷却効果の大きさの判断が難しい

CPUクーラーを選ぶなら、CPUクーラーと共に使用するCPUを十分に冷やせる製品を選ぶ必要があります。十分に冷やせないとCPUにかかる負荷が自動的に小さくなり温度上昇を抑えます。そうなってしまうと、CPUが本来の性能を発揮できません。そのため、十分な冷却効果を持つCPUクーラーを選びたいですが、CPUクーラーの仕様から冷却効果がどのくらいあるか判断が難しく、実際に使用してみないとわかりません。

対応TDP

CPUクーラーの仕様に対応TDPがあれば、選択の目安にはなります。TDPはCPUの設計上想定される最大放熱量を表すため、CPUクーラーと共に使用するCPUのTDPよりも大きいTDPにCPUクーラーが対応していれば、十分な冷却効果を発揮すると期待できます。

CPUソケットから対応TDPを推測

TDPが大きいCPUが使用するCPUソケットに対応するCPUクーラーであれば、対応TDPが非公開でも推測できます。例えばLGA 2066を使用するCPUのTDPが100W以上なので、LGA 2066に対応するCPUクーラーであれば対応TDPが100W以上とわかります。しかし、大まかにしか推測できず、この例の場合だとTDPが165WのCPUを十分に冷却できるかわかりません。

ファンの口径から対応TDPを推測

CPUクーラーのファンの口径を基に、対応TDPが非公開でも推測する方法もあります。口径÷1.2=対応TDPが目安です。例えば口径が80mmなら80÷1.2≒67Wが対応TDPの目安です。120mmなら120÷1.2=100Wが対応TDPの目安です。あくまでも大まかな目安なので計算結果を参考にCPUとCPUクーラーを組み合わせても十分に冷却できるとは限りません。実際の対応TDPが計算結果を大きく超える場合もあります。

レビューを参考に冷却効果を判断する

CPUクーラーの仕様に対応TDPが未記載の場合、CPUクーラーのメーカー名と型番でインターネット上で検索し、実際にCPUクーラーを使用したレビューがないか探してみるとよいです。CPUクーラーのレビューサイトが数多く存在します。まずはレビューサイトを見て回り、そこから気に入ったCPUクーラーを選ぶのも選び方の一つです。


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