CPUのRISC(Reduced Instruction Set Computer)

最終更新日 2023年12月20日

基礎

CPUのRISCとはReduced Instruction Set Computerの略で、命令を単純な命令に絞り、命令の数を減らしたCPUの方式です。リスクと読みます。日本語では縮小命令セットコンピューターと呼びます。

従来のCPUの方式にCISCがあります。CISCとはComplex Instruction Set Computerの略で、複数の処理を一度に実行する命令を多数持つCPUの方式です。日本語では複合命令セットコンピューターと呼びます。CISCではソフトウェアが指定する命令が減りますが、CPUの構造が複雑になり性能向上がしにくいです。

そこで性能向上しやすくするためにRISCが登場しました。RISCではソフトウェアが指定する命令が増えますが、CPUの構造が単純になり性能向上しやすいです。

RISCとCISCに大きな違いなし

RISCとCISCどちらも技術進歩しています。RISCはCISCの特徴を取り入れ、CISCはRISCの特徴を取り入れており、両者の違いが小さくなっています。

RISCの特徴一覧

下記はRISC登場当初の特徴です。

・命令長が固定
・命令によらず処理時間が同じ
・演算はレジスター間のみ
・汎用レジスターが多い
・マイクロコードを使用しない
・パイプラインストール防止の仕組みがある

RISCの特徴はパイプラインのため

RISCの特徴はパイプラインのためと言っても過言ではありません。パイプラインとは、命令の特定の処理を専門に行うユニットを複数並べ、流れ作業のように各ユニットが専門の処理を行い終わったら次の命令の専門の処理を行い、各ユニットの待機時間をなくし性能を向上させることです。

命令の読込、命令の解読、命令の実行、命令の実行結果の書込、それぞれに専門ユニットが存在するとします。それぞれの処理に1クロックかかるとします。


1クロック目で命令1を読込ます。2クロック目で命令1を解読し、命令2を読込ます。3クロック目で命令1を実行し、命令2を解読し、命令3を読込ます。このように専門ユニットが分担し流れ作業のように次々に処理していくと、単位時間当たりに処理できる命令数が多くなります。

命令長が固定

パイプラインでは専門ユニットが一定の時間で処理を終えると効率的です。命令長が可変だと命令の解読に時間がかかるため、RISCでは命令長が固定です。

命令によらず処理時間が同じ

命令によって処理時間が異なると、パイプラインの流れ作業がスムーズに進みません。そのため、RISCでは命令によらず処理時間が同じです。

演算はレジスター間のみ

命令の実行で演算するときにレジスター以外、例えばメインメモリーも対象にすると、メインメモリーへのアクセスが遅いので命令の実行に時間がかかります。そのため、RISCでは演算はレジスター間のみに限っています。

汎用レジスターが多い

RISCでは汎用レジスターが多いですが、演算はレジスター間のみに限っているためです。汎用レジスターが少ないと足りなくなります。

マイクロコードを使用しない

マイクロコードとは、CPUの処理内容を記述したコードです。マイクロコードを使用しCPUを制御します。マイクロコードを使用して命令の解読を行うと時間がかかるため、RISCではマイクロコードを使用しません。RISCではワイヤードロジックを使用します。ワイヤードロジックとは、CPUを回路のみで制御する方式です。

パイプラインストール防止の仕組みがある

パイプラインストールとは、パイプラインが止まることです。RISCでは命令によらず処理時間が同じですが、同じではなく処理時間が長い命令も存在します。

例えば、メインメモリーからレジスターにデータをコピーするロード命令、レジスターからメインメモリーにデータをコピーするストア命令があります。ロード命令とストア命令は処理時間が長く、パイプラインで行うと遅くなってしまうため、パイプラインでは行いません。他にも処理時間が長い命令はパイプラインでは行わない仕組みがあり、パイプラインストールを防止します。

・RISC - 意味・説明・解説 : ASCII.jpデジタル用語辞典(2010/04/19更新記事)
・ASCII.jp：x86を高速化する切り札技術「命令変換」の仕組み (2/4)(2010/10/04更新記事)

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