異なる仕様のメインメモリーが混在した場合の動作 - メインメモリー

最終更新日 2023年09月07日

基本的に正常動作するが、正常動作しない場合もある

複数のメインメモリーを搭載するために、同じ製品となるメインメモリーをそろえるなら、全て仕様は同じになります。他の製品となるメインメモリーと組み合わせるなら、仕様が異なる場合が出てきます。

異なる仕様のメインメモリーが混在した場合でも、基本的に正常動作します。しかし、一部の仕様に関しては、異なる仕様のメインメモリーが混在すると、正常動作しません。

主なメインメモリー仕様について、混在すると正常動作するかしないかは、以下の通りです。

規格

メインメモリーの規格は、メモリー規格、モジュール規格(チップ規格)に分けられます。

メモリー規格は互換性がなく、マザーボードは1つのメモリー規格に対応していますので、異なるメモリー規格のメインメモリーが混在するように搭載する事はできません。

多くのマザーボードは、複数のモジュール規格(チップ規格)に対応していますので、異なるモジュール規格(チップ規格)のメインメモリーが混在するように搭載する事ができます。

そのように搭載した場合、正常動作しますが、動作クロック周波数が低い(データ転送速度が遅い)方のモジュール規格(チップ規格)に合わせられて動作します。

例えば、モジュール規格(チップ規格)PC2-5300(DDR2-667)のメインメモリーと、PC2-6400(DDR2-800)のメインメモリーが混在しても正常動作しますが、PC2-5300(DDR2-667)に合わせられて動作します。

容量

マザーボードでは、対応しているメインメモリー1枚の最大容量を超えなければ、様々な容量のメインメモリーを搭載できますので、異なる容量のメインメモリーが混在するように搭載する事ができます。

そのように搭載した場合、正常動作します。例えば、容量 1GB のメインメモリーと容量 2GB のメインメモリーが混在しても、正常動作します。

CAS レイテンシとメモリータイミング

マザーボードでは、様々な CAS レイテンシとメモリータイミングのメインメモリーを搭載できますので、異なる CAS レイテンシとメモリータイミングのメインメモリーが混在するように搭載する事ができます。

そのように搭載した場合、正常動作しますが、CAS レイテンシとメモリータイミングが遅い方に合わせられて動作します。

例えば、CAS レイテンシ CL=5, メモリータイミング 5-5-5-15(tCAS-tRCD-tRP-tRAS)のメインメモリーと、CL=3, 3-3-3-8 のメインメモリーが混在しても正常動作しますが、CL=5, 5-5-5-15 の方に合わせられて動作します。

ECC

マザーボードには、ECC 対応マザーボードと ECC 非対応マザーボードがあります。

ECC 対応マザーボードでは、BIOS 設定で ECC 機能を無効にできるなら、ECC 対応メインメモリーと ECC 非対応メインメモリーが混在しても、正常動作する可能性が高いですが、マザーボードによっては正常動作しません。また、正常動作しても ECC 機能は有効にはなりません。

もし ECC 機能を無効にできないなら、ECC 非対応メインメモリーは使えませんので、ECC 対応メインメモリーと ECC 非対応メインメモリーが混在したら正常動作しません。

ECC 対応マザーボード ・ECC 非対応メインメモリーも使えるなら、混在しても正常動作する可能性が高い
・ECC 非対応メインメモリーは使えないなら、混在したら正常動作しない

ECC 非対応マザーボードでは、ECC 対応メインメモリーも使えるなら、ECC 対応メインメモリーと ECC 非対応メインメモリーが混在しても、正常動作する可能性が高いですが、マザーボードによっては正常動作しません。もちろん正常動作しても、ECC 機能は有効にはなりません。

もし ECC 対応メインメモリーは使えないなら、ECC 対応メインメモリーと ECC 非対応メインメモリーが混在したら正常動作しません。

ECC 非対応マザーボード ・ECC 対応メインメモリーも使えるなら、混在しても正常動作する可能性が高い
・ECC 対応メインメモリーは使えないなら、混在したら正常動作しない

レジスタードバッファ

レジスタードバッファ搭載メインメモリーを Registered(レジスタード)メインメモリー、レジスタードバッファ非搭載メインメモリーを Unbuffered(アンバッファード)メインメモリーと呼びます。

マザーボードには、Registered のみ対応マザーボード、Unbuffered のみ対応マザーボード、Registered と Unbuffered 両者対応マザーボードがあります。

Registered のみ対応マザーボードは Unbuffered メインメモリーは使えず、Unbuffered のみ対応マザーボードは Registered メインメモリーは使えませんので、どちらも Registered メインメモリーと Unbuffered メインメモリーが混在したら正常動作しません。

Registered と Unbuffered 両者対応マザーボードは、Registered メインメモリーと Unbuffered メインメモリーどちらも使えますが、混在したら正常動作しません。

同じ製品のメインメモリーをそろえて使用するのが無難

規格 ・メモリー規格は互換性がないため、混在するよう搭載できない
・モジュール規格(チップ規格)が混在しても正常動作する(※)
(※)動作クロック周波数が低い(データ転送速度が遅い)方に合わせられて動作
容量 ・容量が混在しても正常動作する
CAS レイテンシ
メモリータイミング
・CAS レイテンシとメモリータイミングが混在しても正常動作する(※)
(※)CAS レイテンシとメモリータイミングが遅い方に合わせられて動作
ECC ・ECC 対応と ECC 非対応が混在しても正常動作する可能性が高い(※)
・ECC 対応、または ECC 非対応が使えないマザーボードなら混在したら正常動作しない
(※)ECC 機能は無効で動作
レジスタードバッファ ・Registered と Unbuffered が混在したら正常動作しない

正常動作する条件であっても、相性問題、すなわち原因の特定が困難のため、異なる仕様のメインメモリーが混在したら正常動作しない場合があります。

例えば、モジュール規格(チップ規格)が混在したら正常動作しなかったが、他の製品となるメインメモリーで試したら正常動作する場合があり、その場合は仕様には表れてこない違いが影響し正常動作しなかった可能性があります。

つまり、同じ仕様のメインメモリーであっても、製品が異なるなら仕様には表れてこない違いによって、非常に低いですが正常動作しない可能性が出てきます。

そのため、複数のメインメモリーを搭載するなら、なるべく同じ製品のメインメモリーをそろえて使用した方が良いです。


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