仮想メモリー

最終更新日 2023年09月07日

仮想メモリーとは

基礎

仮想メモリーとは、外部記憶装置の一部をメインメモリーとして使用する機能です。仮想記憶と呼ぶ場合もあります。実際にはメインメモリーではないが、仮想的なメインメモリーを外部記憶装置に作成するので仮想メモリーと呼びます。

仮想メモリーはメインメモリーの容量が不足すると、メインメモリーが保持するデータを仮想メモリーにファイルとして保存します。メインメモリーが保持するデータの中で、利用頻度が低いデータを仮想メモリーに退避し、メインメモリーの容量不足を補います。これらの処理をOSが自動的に行うので、ユーザーが手動で行う必要がありません。

仮想メモリーがある理由

仮想メモリーは、OSが提供する機能です。メインメモリーだけでは容量が不足する場合があるので、仮想メモリーを提供します。仮想メモリーのおかげで、OSやアプリケーションが利用可能なメモリーの容量が、メインメモリーの容量を超えられます。

仮想メモリーに使用する外部記憶装置

従来はHDDの一部を使用する場合が多かったですが、今ではSSDが多いです(2021/12/06時点)。SSDはHDDよりもアクセス速度が速いので、仮想メモリー利用時におけるパソコンの動作速度低下を抑えられます。HDDだと非常に遅くなりますが、SSDだと改善します。

仮想メモリーによる速度低下

仮想メモリーは、メインメモリーよりもアクセス速度が遅いストレージを使用します。OSやアプリケーションが仮想メモリーにあるデータを利用しようとすると、メインメモリーが保持するデータと入れ替える必要があるので、処理速度が遅くなりコンピューターが重くなります。

メインメモリー容量が十分でも仮想メモリー使用

メインメモリーの容量が十分あり不足しない場合でも、仮想メモリーを使用する場合があります。仮想メモリーの使用が前提のアプリケーションが存在するためです。仮に存在しない状態でも、長時間アクセスがないデータを仮想メモリーに移すので、仮想メモリーを使用します。メインメモリー容量が十分あるのに、しばらく操作していなかったアプリケーションを操作すると重い場合がありますが、これが原因です。

仮想メモリーを使用しない

メインメモリーの容量が十分ある場合、仮想メモリーを使用しない選択肢があります。仮想メモリー未使用だとパフォーマンスが向上するなら未使用がよいです。仮想メモリー未使用だと特定のアプリケーションが起動しない等のトラブルが発生するなら使用がよいです。例えばアプリケーションによってはメインメモリーの容量が十分あっても仮想メモリーが必須の場合があり、仮想メモリー未使用だと起動しなかったり異常終了する等のトラブルが発生します。

方式

セグメント方式

セグメント方式とは、メインメモリーが保持するデータを調整して流動サイズに分割し、分割したデータを仮想メモリーに保存する方式です。メインメモリーの容量を効率よく使用できますが、処理が複雑で負荷が高いです。

ページング方式

ページング方式とは、メインメモリーが保持するデータを調整せず固定サイズに分割し、分割したデータを仮想メモリーに保存する方式です。分割データをページと呼びます。メインメモリーの容量を効率よく使用できないが、処理が単純で負荷が小さいです。

データ移動の用語

スワッピング

スワッピングとは、メインメモリーと仮想メモリーが互いにデータを交換するようにデータを移す処理です。スワップと呼ぶ場合もあります。

スワップイン

スワップインとは、仮想メモリーに保存したデータをメインメモリーに移すことです。ロールインと呼ぶ場合もあります。

スワップアウト

スワップアウトとは、メインメモリーが保持するデータを仮想メモリーに移すことです。ロールアウトと呼ぶ場合もあります。

ページング

ページングとは、ページング方式を採用している場合、メインメモリーと仮想メモリーが互いにデータを交換するようにデータを移す処理です。

ページイン

ページインとは、ページング方式を採用している場合、仮想メモリーに保存したデータをメインメモリーに移すことです。

ページアウト

ページアウトとは、ページング方式を採用している場合、メインメモリーが保持するデータを仮想メモリーに移すことです。

仮想メモリーのファイル

スワップファイル

スワップファイルとは、仮想メモリー用に外部記憶装置に作成するファイルです。スワッピングファイルと呼ぶ場合もあります。

ページファイル

ページファイルとは、ページング方式を採用している場合、仮想メモリー用に外部記憶装置に作成するファイルです。ページングファイルと呼ぶ場合もあります。

仮想メモリーの容量

適正容量

仮想メモリーの容量が小さすぎてはよくありませんが、大きすぎもよくありません。外部記憶装置の容量を無駄に使用します。以下が仮想メモリーの適正容量を求める計算式です。

(仮想メモリーを含む最大使用容量 − メインメモリーの容量) × 2 = 仮想メモリーの適正容量

例えば、仮想メモリーを含む最大使用容量が5GB、メインメモリーの容量が4GBの場合、以下が仮想メモリーの適正容量です。

(5GB − 4GB) × 2 = 2GB

仮想メモリーを含む最大使用容量がメインメモリーの容量より少ない場合、仮想メモリーの適正容量が1GBです。

コラム

すべてのドライブのページングファイルのサイズを自動的に管理する

Windowsで「すべてのドライブのページングファイルのサイズを自動的に管理する」オンとオフどちらがよいか、パソコンが搭載するストレージの構成や使い方によって決まります。オフの方がよい場合でも、「各ドライブのページングファイルのサイズ」の設定によってはオンの方がよくなってくる場合もあります。基本的にアクセス速度が速い外部記憶装置にページングファイルを作成し、あれば複数の外部記憶装置に分散してページングファイルを作成するのがよいです。このように設定しても結局はオンの方がよい場合もあります。とにかく実際に試してみないとわかりません。


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