インテルCPUのチックタック
最終更新日
2023年09月07日
インテルCPUのチックタックとは
基礎
インテルのチックタック戦略 にて、チックとタックに関する解説を見てみます(この記事の公開年月日は不明)。「チック」ではプロセス・テクノロジーを刷新チックの解説を言い換えると、チックとはプロセスルールを微細化することです。プロセスルールとは、回路の配線の幅です。微細化とは、回路の配線の幅を小さくすることです。
インテルは、すべての「チック」サイクルで、ムーアの法則に従って期待されるメリットをユーザーに提供する高度化した製造プロセス・テクノロジーを導入します。
「タック」では新しいマイクロアーキテクチャーを導入
インテルは、すべての「タック」サイクルで、プロセッサー・マイクロアーキテクチャーに次世代の大きなイノベーションをもたらす製造プロセス・テクノロジーを導入します。インテル マイクロアーキテクチャーの刷新では、電力効率とパフォーマンスの向上とともに、ハードウェアによるビデオ・トランスコーディング、暗号化/復号化、およびその他の統合機能などの機能性と密度の向上を目指しています。
タックの解説を言い換えると、マイクロアーキテクチャーを新しいものにすることです。マイクロアーキテクチャーとは、CPUが命令を実行し処理するための内部的な構造です。簡易に言えばCPUのハードウェア設計です。
インテルではチックタックな開発サイクルを繰り返し、CPUを開発してきました。マイクロアーキテクチャーを新しいものにする、プロセスルールを微細化する、マイクロアーキテクチャーを新しいものにする、プロセスルールを微細化する、以上のように繰り返してきました。
チックタックの終焉
Process、Architecture、Optimization
インテルではチックタックを続けてきましたが、プロセスルールの微細化が技術的に難しくなり、マイクロアーキテクチャーの改良を開発サイクルに加えました。これを最適化、英語ではOptimizationと呼びます。従来のチックをProcess、従来のタックをArchitectureと呼びます。開発サイクルがチックタックからProcess、Architecture、Optimizationになりました。チックタックタック
Optimizationの後はProcessになる予定でしたが、プロセスルールの微細化が技術的に難しい状況が続き、Optimizationの後、またOptimizationが続くようになりました。Optimizationの後、Architectureが続く場合もありました。OptimizationなのかArchitectureなのか、すなわちマイクロアーキテクチャーの改良なのか刷新なのか曖昧な場合もありました。そこでプロセスルールの微細化をチックとし、マイクロアーキテクチャーの改良に刷新も含めてマイクロアーキテクチャーの改良をタックとし、チックタックタックと呼ぶ場合があります。用語ではタックが2回ですが、タックが2回とは限りません。プロセスルールの微細化の後、マイクロアーキテクチャーの改良が不定な回数ある開発サイクルという意味です。
チックタックタックの流れ一覧
下記は、各マイクロアーキテクチャーを新しい順に並べ、チックに該当するかタックに該当するかまとめた表です。Nehalemより古いマイクロアーキテクチャーは未掲載です。発売年 | マイクロアーキテクチャ | プロセスルール | チック/タック |
---|---|---|---|
2021年 | Golden Cove | Intel 7 | タック |
2021年 | Cypress Cove | 14nm++++ | タック |
2021年 | Comet Lake Refresh | 14nm+++ | タック |
2020年 | Willow Cove | 10nm SuperFin | タック |
2019年 | Sunny Cove | 10nm | チック |
2019年 | Comet Lake | 14nm+++ | タック |
2019年 | Cascade Lake | 14nm++ | タック |
2018年 | Palm Cove | 10nm | チック |
2018年 | Amber Lake | 14nm+ | タック |
2018年 | Whiskey Lake | 14nm++ | タック |
2018年 | Coffee Lake Refresh | 14nm++ | タック |
2017年 | Coffee Lake | 14nm++ | タック |
2017年 | Kaby Lake Refresh | 14nm+ | タック |
2016年 | Kaby Lake | 14nm+ | タック |
2015年 | Skylake | 14nm | タック |
2014年 | Broadwell | 14nm | チック |
2013年 | Haswell | 22nm | タック |
2012年 | Ivy Bridge | 22nm | チック |
2011年 | Sandy Bridge | 32nm | タック |
2010年 | Westmere | 32nm | チック |
2008年 | Nehalem | 45nm | タック |
Skylakeまではチックタックでしたが、Kaby LakeではOptimizationになりチックタックが終焉しました。ArchitectureとOptimizationをまとめてタックとしていますが、タックが続いてきたとわかります。
Palm CoveとSunny Coveをチックとしましたが、厳密にはPalm Coveが10nm、Sunny Coveが10nm+なのでSunny Coveはタックです。Palm Coveの製品はCore i3-8121Uのみだったせいか、インテルではPalm CoveはなかったようにしてSunny Coveも10nmとしています。これに合わせてSunny Coveを10nmとしているのでチックです。
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