12VHPWR補助電源コネクター

最終更新日 2023年09月07日

12VHPWR補助電源コネクターとは

基礎

ATX Version 3.0 Multi Rail Desktop Platform Power Supply Design Guideより一部引用します。
Two new Auxiliary Power Connectors were introduced to provide the full 600W on a single cable connector. The new 12VHPWR connector supports 600W on the 12V rail while the 48VHPWR provides 600W on the 48V rail. Four new sideband signal conductors permit simple signaling between the Add-in Card and power supply.
補足も加えて大雑把に言うと、12VHPWR補助電源コネクターとは、PCI Express拡張カードに12Vで最大600Wの電力を供給するコネクターです。12VHPWRは12V High Powerの略です。以降では12VHPWR補助電源コネクターを略し12VHPWRと書く場合があります。

12VHPWRを追加した規格

12VHPWRはPCI Express Card Electromechanical Specification Revision 5.0で追加です。これはPCI Express拡張カードの形状、コネクター、信号等について規定した内容をまとめた仕様書のリビジョン5.0です。電源ユニット側でも12VHPWRの追加が必要で、ATX Version 3.0、ATX12VO Version 2.0で追加です。

12VHPWRを追加した理由

PCI Express拡張カードに消費電力が大きい製品が増え、最大150Wの補助電源コネクター(8ピン)では足りないためです。複数の補助電源コネクター(8ピン)を使用する方法がありますが、PCI Express拡張カードの数が増えるほど対応が困難です。

サイドバンド信号

サイドバンド信号とは

12VHPWRにはサイドバンド信号が4つあります。電源ユニットとPCI Express拡張カードの間で通信するためにあります。2つは実装が必須、他の2つはオプション、すなわち実装が必須ではありません。下記はサイドバンド信号の名称です。

・SENSE0
・SENSE1
・CARD_PWR_STABLE
・CARD_CBL_PRES#

SENSE0、SENSE1は実装が必須、他はオプションです。

Sense0、Sense1

Sense0、Sense1は、電源ユニットの電源が入ったときの初期許容電力と、その後の最大許容電力をPCI Express拡張カードに伝えるために使用します。Sense0、Sense1をグラウンドに短絡するかオープンにするかで電力制限を伝えます。グラウンドに短絡をGnd、オープンをOpenとします。GndとOpenの組み合わせによって電力制限が異なります。

Sense0 Sense1 初期許容電力 最大許容電力
Gnd Gnd 375 600
Open Gnd 225 450
Gnd Open 150 300
Open Open 100 150

PCI Express拡張カードがSense0、Sense1を使用しない場合、電力制限がOpenとOpenの組み合わせと同じ必要があります。

CARD_PWR_STABLE

CARD_PWR_STABLEは、PCI Express拡張カードが12VHPWRの動作制限内の状態にあるか否かを電源ユニットに伝えます。例えば電圧が動作制限外になった場合、障害発生を検知し電源ユニットに伝えます。障害発生と知った電源ユニットが対処できるように実装すれば、PCI Express拡張カードを保護できます。

CARD_CBL_PRES#

CARD_CBL_PRES#とは

CARD_CBL_PRES#とは、PCI Express拡張カードが12VHPWRを接続していることを電源ユニットに伝えるために使用するサイドバンド信号です。PCI Express拡張カードが存在しており、かつPCI Express拡張カードにPower Budgeting Sense Detect Registersがあることを電源ユニットに伝えます。

このレジスターは、どのPCI Express拡張スロットにPCI Express拡張カードを接続しているか、どのPCI Express拡張カードに12VHPWRを接続しているか、システムが関連付けるために使用するものと思って下さい。関連付けした結果を基に、電源ユニットではSense0、Sense1を使用して、初期許容電力と最大許容電力をPCI Express拡張カードに伝えます。Sense0、Sense1を変更する場合、電源ユニットがスタンバイモードの必要があります。

CARD_CBL_PRES#の使用例

CARD_CBL_PRES#は、システムの電源管理のためにあります。例えばシステムの電源ユニットが最大600Wの電力を供給できるとします。12VHPWRを接続しているPCI Express拡張カードが複数ある場合、それぞれに対し同じ最大電力を供給するように電源を管理するとします。

システム起動時、12VHPWRを接続しているPCI Express拡張カードの数を調べます。その結果を基に、それぞれの12VHPWRのSense0、Sense1を決めます。電源ユニットをスタンバイモードにし、必要に応じてSense0、Sense1を変更します。スタンバイモードから起動時に下記のように伝えます。

1つのPCI Express拡張カードを接続の場合、それに対し最大許容電力が600Wと伝えます。2つのPCI Express拡張カードを接続の場合、それぞれに対し最大許容電力が300Wと伝えます。3つまたは4つのPCI Express拡張カードを接続の場合、それぞれに対し最大許容電力が150Wと伝えます。初期許容電力も伝えますが、ここでは説明において省略しています。

12VHPWR補助電源コネクターの変換

8ピン×4本→12VHPWR

電源ユニットに12VHPWRがなくても補助電源コネクター(8ピン)が4本あれば12VHPWRに変換できます。補助電源コネクター(8ピン)の最大電力が150Wであり4本で最大600Wになります。

変換ケーブルのSense0、Sense1

変換ケーブルに様々な製品があり、Sense0、Sense1の状態(Gnd、Open)が固定の製品もあれば、8ピンの接続本数によって状態が変化する製品もあります。例えばSense0、Sense1どちらもGndの製品があり、最大許容電力が600Wです。GndかOpenどちらになるか8ピンの接続本数によって決まる製品の場合、3本接続するとSense0はOpen、Sense1はGndになり450Wになる等、8ピンの接続本数に応じた適切な最大許容電力になります。


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