デスクトップパソコンのスティック型が普及しない理由

最終更新日 2023年09月07日

スティック型は下火に

デスクトップパソコンのスティック型が、初めて発売された当初は、大きな注目を集め、好調な売れ行きを見せましたが、今では下火となり普及していません。(2017年8月1日時点)

ここでは、スティック型の仕様に注目して普及しない理由を探りますが、スティック型の仕様は、スティック型が発売された当初の仕様とします。以下は、その主な仕様です。

CPU マイクロアーキテクチャ Silvermont
開発コードネーム Bay Trail-T
ブランド Atom
メインメモリー 2GB
ストレージ eMMC 32GB

以下の仕様のように仕様向上したスティック型が発売されましたが、かなり価格が上昇し、明らかにコストパフォーマンスが低く、普及するとは思えないので、ここでは除外します。

CPU マイクロアーキテクチャ Skylake
開発コードネーム Skylake-Y
ブランド Core M
メインメモリー 4GB
ストレージ eMMC 64GB

前者の仕様、もしくは同等の仕様のスティック型の価格は1〜2万円、後者の仕様、もしくは同等の仕様のスティック型の価格は4〜5万円です。(2017年8月1日時点)

性能が低い

スティック型が普及しない最大の理由は、性能が低いからだと思われます。

スティック型は、内部スペースが狭く冷却性能が低いので、発熱量が大きい CPU を搭載できず、発熱量が最小レベルの CPU を搭載します。

CPU は、性能が高くなるほど発熱量が大きくなるので、スティック型は性能が最低レベルの CPU を搭載します。

CPU の性能は、技術進歩により随分と底上げされましたが、性能が最低レベルの CPU では、ネットサーフィン等の負荷が小さい作業でも性能不足と感じる人は多いと思われます。

性能不足を感じない人が多数派にならなければ、スティック型の普及への道は険しいです。スティック型に搭載される性能が最低レベルの CPU でも、性能に満足する人は結構いますが、多数派とは思えません。

性能が十分と判断する人が多数派にならないと、スティック型が普及することはありません。

メインメモリー容量、ストレージ容量が小さい

スティック型は、メインメモリーの容量が 2GB と小さく、ストレージ容量も 32GB と小さいです。

ストレージに関しては、メモリーカード、外付けストレージ、クラウドストレージ等を使えば、ストレージの容量不足を補えますが、メインメモリーの容量不足は補えません。

パソコンを快適に使うには、メインメモリーの容量が不足しないことが必須です。必要なメインメモリー容量は人によって異なりますが、少なくとも 4GB は欲しいところです。

スティック型のメインメモリーの容量は 2GB であり、これでは多くの人にとって足りなくなるメインメモリーの容量です。メインメモリーの容量の小ささも、スティック型の普及を妨げる要因になっていると思われます。

無線 LAN の性能が低い

無線 LAN の通信速度、遠距離への強さ、障害物への強さは、基本的には無線 LAN の規格で決まりますが、無線 LAN の規格が同じでも無線 LAN のハードウェア性能次第で変わってきます。

スティック型の無線 LAN を利用すると、無線 LAN の性能の低さを感じます。通信速度が遅い、通信が安定せず不満を感じる人は多いと思われます。

外付け無線 LAN 子機を使えば、無線 LAN の性能が向上しますので、もし無線 LAN に不満を感じても解消することはできますが、そこまでしなければ無線 LAN で快適に通信できないスティック型の魅力は半減です。

外部インターフェースが少ない

スティック型は、外部インターフェースが少ないです。外付け液晶ディスプレイとの接続用に HDMI 出力端子が1つ、周辺機器との接続用に USB 端子が1つか2つです。

外付け液晶ディスプレイは1台のみで十分であり、周辺機器との接続は Bluetooth や無線 LAN を活用するなら、外部インターフェースの少なさは問題になりませんが、外部インターフェースの少なさに不満を感じる人は結構多いと思われます。

外付け液晶ディスプレイを2台用意してデュアルディスプレイにする使い方は普及しており、周辺機器の売れている商品を見ると、USB 接続で使う周辺機器がよく売れています。

USB 端子を映像出力端子に変換するディスプレイアダプターを使えば、デュアルディスプレイにすることができます。USB ハブを使えば、USB 端子を増やせます。

しかし、ここまでしてスティック型を使うよりは、十分な外部インターフェースがあるパソコンを使う方が良いと思ってきます。

コストパフォーマンスで考えれば価格が安くない

スティック型の価格は、モデルによって異なりますが、価格が安いモデルだと約1万円です。価格だけを見ると安いですが、コストパフォーマンスを考慮すると、妥当な価格です。

スティック型を使うには、外付け液晶ディスプレイ、外付けキーボード、マウスが必要であり、これらも買うのであれば、価格が安いノートパソコン等、別のパソコンも選択候補に入れていいと思えてきます。

外付け無線 LAN 子機、ディスプレイアダプター、USB ハブは必須ではありませんが、あると便利であり、使い方によっては必要になってきます。これらも買うのであれば、スティック型ではなく別のパソコンを選びたい気持ちが、さらに強くなってきます。

例えば、ノートパソコンであれば、本体に液晶ディスプレイとキーボードがあり、使いやすい、持ち運びしやすい、収納しやすい、バッテリー動作するので電源コンセントがない環境で使える等のメリットがあります。

また、たいていのノートパソコンは、スティック型よりも無線 LAN の性能が高く、映像出力端子がありますのでデュアルディスプレイ可能であり、スティック型よりも USB 端子が多いです。

このようにスティック型以外のパソコンを見てみると、スティック型よりも価格が高くても、それだけの価値があることがわかります。

将来スティック型が普及する可能性あり

以上、スティック型が普及しない理由を探ってきましたが、用途次第ではおすすめできるパソコンであり、今後のスティック型の進歩次第では、普及する可能性があるパソコンです。

技術進歩によりスティック型の性能が向上したら、スティック型が普及する可能性があります。

マイクロアーキテクチャ Skylake、開発コードネーム Skylake-U、ブランド Core i7 くらいの性能を持つ CPU を搭載、メインメモリー容量は 8GB、ストレージは SSD 256GB、無線 LAN の性能向上、デイジーチェーン対応の周辺機器が普及しデイジーチェーン対応の外部インターフェース搭載が実現すれば、スティック型を選ぶ人が多くなり、普及への道が見えてきます。

ただし、あまりにもコストパフォーマンスが低いと売れませんので、仮に上記が実現しても、価格が高すぎるとあまり売れず普及への道は険しいままです


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