CPUのグリス

最終更新日 2022年03月05日

CPUのグリスとは

基礎

CPUのグリスとは熱伝導材です。熱伝導率が高く、よく熱を伝えます。

役割

CPUにCPUクーラーをを装着し冷却しますが、両者の間にCPUグリスを入れて微小な隙間をなくし熱を伝えやすくします。CPUグリスを使用しないと微小な隙間に空気が入り、CPUグリスと比べて空気は熱伝導率が低いので熱が伝わりにくくなり冷却性能が落ちます。もしCPUグリス未使用だとCPUの温度が異常に高くなり、温度上昇を抑えるために性能が低下したり、システムが落ちる場合があります。

TIMとの違い

TIM(Thermal Interface Material)とグリスどちらもCPU等の発熱するものとヒートシンク等の間に挟み熱を効率よく伝える熱伝導材です。TIMには素材の違いで様々な種類があり、グリスはTIMの一種です。昔はCPUに使用するTIMをグリスと呼ぶ場合が多く、グリス以外のTIMが増えてきたのでTIMと呼ぶ場合が増えました。グリスをTIMと呼ぶのは問題ありませんが、グリス以外のTIMをグリスと呼ぶのは厳密には間違いです。グリス以外のTIMも含め全体をグリスと呼ぶ場合がありますが、それでも意味は通じます。

慣らし運転

CPUグリスには様々な製品があります。慣らし運転が必要な製品もあれば不要な製品もあります。必要な製品では仕様等に必要な旨の記載がありますが、一般的にはユーザーにとって重要ではない情報のため、必要な製品でも未記載の場合があります。慣らし運転に必要な時間が製品によって異なります。かなり幅があり、数時間で十分な製品もあれば数百時間必要な製品もあります。

長期保管

一般的にCPUグリス自体が注射器型の容器に入っています。開封し容器を取り出すと揮発して乾燥し固くなり劣化します。密閉袋に入れておけば劣化を抑えられ長期保管できます。

寿命

一般的にシリコングリスの寿命は10年程度です。シルバーグリス(銀グリス)やゲル状グリスはシリコングリスよりも寿命が長く、寿命の目安がありません。CPUグリスは使用時間が経過するほど乾燥し固くなります。CPUもヒートシンクも温度変化によって微小に変形し、それが固くなったCPUグリスに亀裂が発生する原因になり隙間ができます。そうなったら寿命です。

CPUグリスの成分

液体金属

CPUグリスには液体金属を使用する製品がありますが、ヒートシンクの金属の種類によっては組み合わせて使用できません。例えばアルミニウムを侵食する成分を含むため、銅製や銀製のヒートシンクに対しては使用できるがアルミニウム製ヒートシンクに対しては使用できない製品があります。

金属入りCPUグリスの導電性

ここでは金属入りCPUグリスの導電性の有無について記載します。明らかに導電性がある製品は除きます。例えば液体金属入りCPUグリスです。金属入りCPUグリスには、例えば銀入りCPUグリス(シルバーグリス)、銅入りCPUグリス(ブロンズグリス)があります。CPU以外で使用するグリスまで見ると、導電する目的のために使用する金属入りグリス、すなわち明らかに導電性がある金属入りグリスがあります。

金属入りCPUグリスには導電性がなくショートの恐れがない製品もあれば、導電性がありショートの恐れがある製品もあります。金属の種類や金属の混入量等の違いにより導電性が異なるためです。

導電性ありの場合、ショートしないようにマザーボードの電子回路等に付着しないように注意が必要です。付着しても必ずショートするとは限りません。グリスの付着場所、グリスによってつながった導通するもの同士の距離や断面積、グリスの温度、電圧、電流、直流か交流か、周波数の高さ等、条件次第ではショートする場合もあればショートしない場合もあります。

熱伝導率

熱伝導率とは

熱伝導率の単位がW/(m・K)です。面積1平方メートル、厚さ1mの物を用意します。面と反対側の面の間に1℃の温度差を維持します。この条件で1秒間あたりに伝わる熱量が熱伝導率です。CPUグリスの熱伝導率は、高い方で10程度、低い方で0.5程度です。空気の熱伝導率が0.0241なので、0.5程度でも十分役に立ちます。

標準付属CPUグリスの熱伝導率が低い

CPUやCPUクーラーに標準付属するCPUグリスの熱伝導率は、一般的には低く0.5W/(m・K)程度です。熱伝導率が高いCPUグリスには10W/(m・K)程度等の製品があります。熱伝導率が高いほど熱をよく伝えるので、CPUグリスは標準付属以外を使用すると冷却性能に有利です。

標準付属CPUグリスの熱伝導率でも十分

比較すると標準付属CPUグリスの熱伝導率が低いので不十分そうですが、実際には十分な熱伝導率です。CPUグリスの熱伝導率は、CPUの冷却性能を決める一要素に過ぎません。

例えば0.5W/(m・K)程度の標準付属CPUグリスと10W/(m・K)程度のCPUグリス、それぞれにおけるCPUの温度を比較すると、熱伝導率が高い方が温度が低くなりますが、一般的には差が5℃程度です。10℃程度の差が出る場合もあります。使用するCPUやCPU クーラー等、条件が異なると温度差も異なります。

熱伝導率が高いCPUグリスを使用するとよい用途

CPUの性能が高く発熱が大きいほど、CPUグリスの熱伝導率の高さによる冷却効果が大きいです。高性能CPUを使用し、ゲーム、動画・画像編集等、高い負荷がかかる場合、CPUの発熱が大きいので熱伝導率が高いCPUグリスを使用するとよいです。

デスクトップパソコン向けCPUと比べるとモバイルパソコン向けCPUの方が、CPUグリスの熱伝導率の高さによる効果が出やすいです。モバイルパソコン向けCPUはダイがむき出しで、ダイから直接ヒートシンクに熱が伝わるためです。モバイルパソコン向けCPUを搭載するノートパソコン等は内部スペースが狭い等の理由で冷却性能を高めるのが難しいので、少しでも冷却性能を上げるために熱伝導率が高いCPUグリスを使用するとよいです。

パッドタイプ

パッドタイプのTIM(Thermal Interface Material)には熱伝導率が10W/(m・K)を大きく超える製品があります。CPUグリスよりCPUが冷えそうですが、パッドタイプだとCPUとヒートシンクが全く接触しないので、かなり熱伝導率が高い必要があります。標準付属CPUグリスよりも高い冷却効果を出したい場合、50W/(m・K)程度が必要です。

CPUグリスの塗布

油分が分離

CPUグリスを容器に入れたままだと油分が分離する場合があります。新品でも製造から長期間経過だと分離している場合があります。分離した場合は混ぜて使用すればよいです。

塗るときに伸ばすか伸ばさないか

CPUグリスの塗り方には、ヘラを使用して広げる方法と、適量をCPUの中央に盛りCPUクーラーを装着し押し潰して広げる方法があります。前者が伸ばす塗り方、後者が伸ばさない塗り方です。伸ばすか伸ばさないか、一般的にはどちらでもよいです。どちらでも冷却性能に差が出ません。以下はどちらに決めるか基本的な考え方です。

CPUグリスが硬い場合、伸ばさないと隅々まで広がらない恐れがあるので、伸ばす塗り方がよいです。

CPUグリスを適量で出す自信がない場合、量が足りず隅々まで広がらない恐れがあるので、CPUグリスを伸ばす塗り方がよいです。一般的に適量は米粒2〜3粒分程度です。

CPUグリスを適量で出す自信も、CPUグリスを薄く均一に伸ばして塗る自信もない場合、CPUグリスを伸ばす塗り方がよいです。CPUグリスが適量ではない失敗はCPUの温度を測定しないとわかりづらく、CPUグリスを薄く均一に伸ばしていない失敗は、CPUグリスを塗ったときに目で見て気づきやすいためです。

CPUのグリスを適量で出す自信があるが、CPUグリスを薄く均一に伸ばして塗る自信がない場合、CPUグリスを伸ばさない塗り方がよいです。

CPUのグリスを適量で出す自信も、CPUグリスを薄く均一に伸ばして塗る自信もある場合、CPUグリスを伸ばす塗り方がよいです。

パソコンメーカーでは伸ばさない塗り方

一般的にパソコンメーカーはCPUグリスを伸ばさない塗り方を採用しています。伸ばす伸ばさないで冷却性能に差がなく、伸ばして塗る方が難易度が高く、パソコン製造時の効率の高さも考慮し、伸ばさない塗り方を採用しています。伸ばさない塗り方ではCPUグリスの量が少なすぎたり多すぎたりしないように注意が必要ですが、経験を積めば簡単です。

厚く塗る、薄く塗る

CPUグリスを厚く塗るのはよくないです。CPUグリスは空気より熱伝導率が高いですが、金属と比べれば低いので、厚く塗ると全体的に見て熱伝導率が低下します。気泡が入るほど薄く塗るのもよくないです。薄く塗るとCPUとCPUクーラーの間に隙間が発生し、熱伝導率が低い空気が存在するので熱が伝わりにくいです。薄すぎるよりは厚すぎる方がマシなので、しっかり塗るとよいです。

CPUグリスの量

CPUグリスは少なすぎても多すぎてもよくないです。適量がよいです。小指の爪程度に盛るのが適量の目安です。CPUクーラーを取り付けると少量はみ出る程度だと適量です。

少なすぎるとCPUとCPUクーラーが接触する面の全体に広がりません。多すぎは少なすぎよりマシですが、はみ出すCPUグリスの量が多いので拭き取りが大変です。全て綺麗に拭き取るのが困難の場合があります。はみ出したCPUグリスがCPUソケット内部に浸入する恐れがあり、浸入すると動作不良や故障する場合があります。

CPUグリスの塗り直し

乾燥した場合の塗り直し

一般的にCPUグリスは乾燥が進みます。乾燥してもCPUとCPUクーラーの間の隙間を埋めて維持する成分を含み、熱をよく伝え続けるので塗り直す必要がありません。一部のCPUグリスは乾燥すると隙間が発生し熱をよく伝えなくなるので塗り直しが必要です。一部のCPUグリスは乾燥が進みにくいです。10年や20年経過しても乾燥しないので、乾燥を理由とする塗り直しの必要性がありません。乾燥し隙間が発生してるか確認不可能です。CPUの温度が異常に上昇する場合、その可能性があり塗り直します。

ポンピング現象により流れ出た場合の塗り直し

CPUグリスのポンピング現象とは、CPUが高温と常温を繰り返しCPUグリスが流れ出る現象です。CPUもヒートシンクも金属であり温度変化によって微小に変形します。この変形がCPUグリスを押し出し流れ出ます。原則的にはCPUグリスはポンピング現象対策済みであり、あまり流れ出ません。例外的に一部のCPUグリスはポンピング現象に弱く、長期間経過するとCPUグリスがほとんどなくなるほどです。ポンピング現象により流れ出た場合、塗り直しが必要です。CPUの温度が異常に上昇する場合、流れ出た可能性があります。

CPUの温度が異常に上昇するようになった場合の塗り直し

CPUの温度が異常に上昇するようになった場合、様々な原因が考えられますが、CPUグリスに原因があり塗り直すと効果が出る場合があります。

中古パソコンの販売やパソコンの修理等を行っている業者の人に聞いた話によると、CPUの温度が異常に上昇するようになった古いパソコンにてグリスを塗り直したところ、CPUが適正温度で動作するようになった経験が過去に何度もあったそうです。大量のホコリが付着していた等、他に考えられる原因がなかったそうです。グリス以外に原因が見当たらなければ、直る可能性があるのでグリスの塗り直しをするそうです。

CPUグリスの除去

CPUグリスを塗り直すとき、CPUとヒートシンクに付着したCPUグリスの除去が必要です。一部を除きCPUグリスは乾燥して固くなるので簡単には除去できません。CPUグリスを溶かすものを使用するとよいです。CPUグリス除去専用のクリーナーを使用するのが最もよいです。専用クリーナーがない場合、有機溶剤の剥離剤、無水エタノール、灯油、灯油に近いライターオイル等を使用する方法もあります。


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