メインメモリーのオーバークロック
最終更新日
2023年09月07日
メインメモリーのオーバークロックとは
基礎
メインメモリーのオーバークロックとは、性能を高めるためにメーカーが保証している値よりも高いクロック周波数で動作させることです。他の呼び方には、オーバークロッキング、クロックアップがあります。故障と保証
メインメモリーをオーバークロックすると、メインメモリーに限らずマザーボード等も故障するリスクがあります。故障しても基本的にユーザーの自己責任となり保証があっても効きません。例外的にオーバークロックによる故障でも保証が効く場合があります。メインメモリーのスタブ抵抗
オーバーシュートやアンダーシュートを抑える
メインメモリーのスタブ抵抗とは、オーバーシュートやアンダーシュートを抑えるための抵抗です。メインメモリーでは信号の電圧がHighのとき0、Lowのとき1と判別しますが、オーバーシュートは電圧がHighの既定値を上回る現象、アンダーシュートはLowの既定値を下回る現象です。オーバーシュートやアンダーシュートが大きすぎるとエラーや故障の原因になるため、スタブ抵抗を設けて抑えます。スタブ抵抗をなくしオーバークロックに強くする
メインメモリーには様々なモデルがあり、モデルによってはアドレス/コマンド用のスタブ抵抗がありません。オーバークロックに強いメインメモリーだとアドレス/コマンド用のスタブ抵抗がないモデルが多いです。アドレス/コマンド用のスタブ抵抗があると信号のスキューが大きくなり、オーバークロック時に信号の電圧がHighまたはLowに達する前に1周期が終わり正常に動作しなくなるリスクが大きくなるためです。一方でアドレス/コマンド用のスタブ抵抗がないと、オーバーシュートやアンダーシュートが大きすぎると生じるエラーや故障のリスクが大きくなります。オーバークロックメモリーとは
基礎
オーバークロックメモリーとは、JEDECが定めている規格に限らず定めていない規格にも対応するメインメモリーです。例えば2009年においては、DDR3 SDRAMではDDR3-800(PC3-6400)からDDR3-1600(PC3-12800)まではJEDECが定めた規格なので、DDR3-1866(PC3-14900)等、JEDECが定めていない規格にも対応の場合はオーバークロックメモリーです。
JEDECが追加して規格を定める場合があり、例えば2010年にDDR3-1866(PC3-14900)、DDR3-2133(PC3-17000)もJEDECが定めました。
標準電圧(定格電圧)でオーバークロック可能な製品
メインメモリーをオーバークロックするには、電圧を調整し標準電圧(定格電圧)より電圧を高くします。そうするとメインメモリーにかかる負荷が大きくなり、動作が不安定になる、故障率が高まる、寿命が縮むリスクがあります。標準電圧(定格電圧)のままオーバークロックできるオーバークロックメモリーがあり、これならリスクがありません。オーバークロック方法
オーバークロックメモリーは装着するだけではオーバークロックにならず、マザーボードのBIOS画面での設定作業が必要です。メインメモリーの電圧やクロック周波数等の設定が必要です。NVIDIAのEPP(Enhanced Performance Profiles)やIntelのXMP(eXtreme Memory Profile)に対応するオーバークロックメモリーは、オーバークロック時のタイミングや電圧等の情報がプロファイルとしてオーバークロックメモリーの基板上に記録されいます。EPPやXMPに対応のマザーボードのBIOS設定でEPPやXMPを有効にすると、プロファイルを選択するだけで容易にオーバークロックできます(2009/12/28時点)。
AMDのBEMP(Black Edition Memory Profiles)を利用しオーバークロックする方法もあります。BEMPを利用する場合、インターネットを利用しAMDのデータベースにアクセスしオーバークロックの設定情報を取得します。マザーボードのBIOS画面ではなく、Windows上でソフトウェアのAMD OverDriveを利用し設定を行います(2009/12/28時点)。
設定不要で自動的にオーバークロック可能な製品
オーバークロックメモリーには設定不要で自動的にオーバークロック可能な製品があります。マザーボードに装着し起動すると自動的にオーバークロックで動作します。SPD(Serial Presence Detect)にオーバークロックの設定情報を保存しておき、起動時にその情報を最初に読み込むように設計しておくことで自動的にオーバークロックで動作します。通常は最初に読み込まないように設計しておきます。読みんだオーバークロックの設定情報でオーバークロック動作可能なのかまでは自動的に検証しないので、正常に起動しない場合があります。メモリーコントローラーによってはオーバークロックの設定情報を最初に読み込まない場合があり、その場合は設定作業が必要です。
オーバークロック設定
CPUをオーバークロックせずにメインメモリーをオーバークロック
マザーボードやBIOSのバージョンによるが、CPUをオーバークロックせずにメインメモリーをオーバークロックできます。メインメモリーは、メモリーバスクロックを基準に動作します。ベースクロックにメモリークロック比率を掛けたものがメモリーバスクロックです。例えばメモリークロック比率が1:4(ベースクロック:メモリーバスクロック)、ベースクロックが200MHzの場合、メモリーバスクロックが800MHzです。
DDRメモリーではメモリーバスクロックの立ち上がりと立ち下がりの両タイミングでデータを転送するので、実質的な動作クロックがメモリーバスクロックの2倍です。例えばメモリーバスクロックが800MHzの場合、DDR3-1600の実質的な動作クロックが1,600MHzです。
ベースクロックを変えずにメモリーバスクロックのみ上げるのが可能であれば、CPUをオーバークロックせずにメインメモリーをオーバークロックできます。メモリークロック比率が固定ではなく変更できるマザーボードの場合、できる可能性があります。ただし、メモリークロック比率が何種類か用意されているマザーボードであっても、オーバークロックに当てはまる動作クロックまで上げられるとは限りません。別の言い方だと、メモリークロック比率を変更可能なマザーボードであっても、CPUをオーバークロックせずにメインメモリーをオーバークロックできるマザーボードとは限りません。
電圧を上げる
メインメモリーの電子回路に多数のトランジスターがあります。各トランジスターがスイッチング動作(ON/OFF)しデータの記憶等を行います。電圧を上げるとスイッチング動作を速くできるので、電圧を上げるほど動作クロックを高くできますが、電圧を上げすぎると正常に動作しません。壊れる場合もあります。DDR3では-0.4Vから+1.975Vが定格範囲であり、この範囲外だと壊れる場合があります。+1.975Vを超えても壊れず正常に動作する場合がありますが、寿命が大幅に縮む恐れがあり推奨しません。1.5Vの±0.075Vが動作が保証されている範囲であり、この範囲内でも正常に動作しなければ何らかの不具合か相性問題です。
オーバークロックのために電圧を上げる場合、1.575Vから1.975Vまでが推奨です。電圧を上げてみたところ正常に動作しなければ下げます。BIOS画面等で設定した電圧と実際の電圧に誤差が生じる場合があります。誤差が生じたとしても確認不能です。設定では1.975Vを超えていなくても実際には超えて壊れる場合があります。
出典
・オーバークロック - 意味・説明・解説 : ASCII.jpデジタル用語辞典(2010/04/19更新記事)
・オーバークロック(over clock)の意味 - goo国語辞書
・信頼性の高いメモリーとそうでないメモリーの見分け方(2ページ目) | 日経クロステック(xTECH)(2007/01/22公開記事)
・オーバークロック(over clock)の意味 - goo国語辞書
・信頼性の高いメモリーとそうでないメモリーの見分け方(2ページ目) | 日経クロステック(xTECH)(2007/01/22公開記事)
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