通信 - スマートフォンの選び方

最終更新日 2023年09月07日

通信の選び方

利用する通信サービスを使えるモデルを選ぶ

スマートフォンの通信に関しては、自分が利用する通信サービスで使えるモデルを選ぶ事が重要です。通信サービスを提供しているキャリアや MVNO には様々な通信事業者がありますが、ある通信事業者の通信サービスでは使えますが、別の通信事業者の通信サービスでは使えないモデルがあります。

通信事業者は複数の通信サービスを提供しているところが多く、同じ通信事業者の通信サービスであっても、ある通信サービスでは使えますが、別の通信サービスでは使えないモデルがあります。

利用する通信サービスを提供する通信事業者で購入する場合

各通信事業者はスマートフォンの販売も行っていますが、自分が利用する通信サービスを提供している通信事業者が販売するスマートフォンの中からモデルを選ぶなら、通信サービスが使えないモデルを選んでしまう事は基本的にありません。

ただし、通信事業者が複数の通信サービスを提供しており、通信サービスとモデルを別々に購入する場合、モデルが通信事業者が提供する全ての通信サービスに対応しているとは限らない事に注意が必要です。通信事業者が販売するモデルの仕様等には、対応している通信サービスについて記載されている場合が多いので、適切なモデルを選ぶのは難しくありません。

通信事業者以外のショップで購入する場合

通信事業者以外のショップでスマートフォンを購入する場合、自分が利用する通信サービスを提供する通信事業者が、ウェブサイトで動作確認済みモデルに関する情報の提供を行っていないか確認してみると良いです。そうすれば、自分が選ぼうとしているモデルが通信サービスを使えるかどうか分かります。

動作確認済みモデルではなくても、通信サービスで使われている通信規格に対応しているモデルなら、そのモデルは通信サービスで基本的に使えます。ただし、必ず使えるとは限らず、通信サービスで使われている周波数帯にも対応している必要があります。

モデルが通信サービスで使われている通信規格と周波数帯に対応していても、通信サービスで本来利用できる機能が一部利用できない、通信が不安定、通信ができない等のトラブルが発生する場合があります。

そのため、購入を検討しているモデル名と、利用する通信サービス名や通信事業者名等を用いて、インターネット上で検索し調査した方が良いです。

正常に使えるという情報が見つかれば安心して購入できますし、正常に使えないという情報が見つかれば事前にトラブルを回避できます。何も情報が見つからければ、実際に使ってみるまで正常に使えるかどうか分かりません。

対応通信サービスの選び方

仕様に対応通信サービスが記載されていれば

スマートフォンの通信に関する仕様の記載方法はモデルによって異なりますが、対応している通信サービスが記載されていれば、自分が利用する通信サービスに対応しているかどうか確認して選べます。

通信事業者が販売するスマートフォンの仕様には、自社の通信サービスに関する対応について記載されている場合が多いです。通信事業者以外のショップが販売するスマートフォンの仕様には、対応している通信規格が記載されている場合が多いです。

対応している通信サービスが記載されておらず、対応している通信規格が記載されているなら、利用する通信サービスで使われている通信規格に対応しているか確認して選ぶ事になります。

以下では、引き続き対応通信サービスの選び方について記載していますが、その後に対応通信規格の選び方について記載しています。

主な通信サービス

携帯電話やスマートフォン等のモバイル端末の通信サービスは、世代ごとに分かれています。2016年1月1日時点では、日本国内においては1Gと2Gの通信サービスは終了しており、3Gと4Gの通信サービスがユーザーに提供されています。

Gは Generation の頭文字であり、日本語では1Gは第1世代移動通信システム、2Gは第2世代移動通信システム、3Gは第3世代移動通信システム、4Gは第4世代移動通信システムと呼ばれます。

各キャリアが提供している通信サービスには名称が付けられており、名称から世代が分かる通信サービスもあれば分からない通信サービスもあります。以下は、3Gと4Gに当てはまる主な通信サービスです。

3G

通信事業者 通信サービス
NTTドコモ FOMA
KDDI(au) CDMA2000 1X、CDMA 1X(※1)、au 3G(※2)
CDMA 1X WIN、au 3G(※2)
ボーダフォン ボーダフォングローバルスタンダード、ボーダフォン3G(※3)
ソフトバンク SoftBank 3G(※3)
(※1)しばらくは CDMA2000 1X と呼ばれたが、後に CDMA 1X と呼ばれるようになった
(※2)CDMA 1X WIN は、CDMA 1X(CDMA2000 1X)の上位サービスだが、両者まとめて au 3G と呼ばれるようになった
(※3)ソフトバンクがボーダフォンを買収し、ボーダフォン3Gから SoftBank 3G へ名称が変わった

4G(3.5G)

通信事業者 通信サービス
NTTドコモ FOMA ハイスピード
KDDI(au) WIN HighSpeed
ソフトバンク 3Gハイスピード
ULTRA SPEED

4G(3.9G)

通信事業者 通信サービス
NTTドコモ Xi
PREMIUM 4G
KDDI(au) au 4G LTE
ソフトバンク SoftBank 4G
SoftBank 4G LTE
Hybrid 4G LTE

4G(3.5G)や4G(3.9G)は、当初は3.5G、3.9Gの通信サービスでしたが、後に4Gの通信サービスになった事を示します。

4Gになる前の3.5Gや3.9Gの通信サービスは、4Gの技術を先取りし、3Gの通信サービスから発展した通信サービスです。厳密には4Gではなく、3Gと4Gの中間に位置する通信サービスだっため、3.5Gや3.9Gと呼ばれるようになりました。(3.9Gの方が4Gに近い)

後に3.5Gや3.9Gの通信サービスは4Gと呼ばれるようになりましたが、従来通り3.5G、3.9Gに分けて整理した方が、数多く存在する通信サービスを整理しやすいです。以下では、3.5G、3.9Gという分類を使用します。

利用する通信サービスに対応しているか確認して選ぶ

2016年1月1日時点では、比較的新しいモデルなら、多くのモデルが3.9Gの通信サービスと、3.5Gの通信サービスに対応しています。3.9Gの通信サービスの人口カバー率が十分高くなったせいか、3.9Gの通信サービスに対応しているが、3.5Gや3Gの通信サービスには対応していないモデルも出てきています。

3.5Gの通信サービスは、3Gの通信サービスから発展したものであり、3.5Gの通信サービスに対応しているなら3Gの通信サービスも利用できます。例えば、NTTドコモの FOMA ハイスピードに対応しているなら、FOMA も利用できます。

逆に3Gの通信サービスに対応しているが、3.5Gの通信サービスに対応していないモデルは、3.5Gの通信サービスは利用できません。

3.9Gの通信サービスを利用するなら、3.9Gの通信サービスに対応しているモデルを選ぶ必要がありますが、3.5Gや3Gの通信サービスも利用するなら、3.5Gや3Gの通信サービスにも対応しているモデルを選ぶ必要があります。

3.9Gの通信サービスは利用せず、3.5Gや3Gの通信サービスを利用するなら、3.9Gの通信サービスには対応しておらず、3.5Gや3Gの通信サービスに対応しているモデルを選んでも問題ありません。ただし、3.5Gの通信サービスに対応していないと、3.5Gの通信サービスは利用できません。

対応通信規格の選び方

主な通信規格

通信サービスと同様に通信規格も、世代ごとに分かれています。以下は、3Gと4Gに当てはまる主な通信規格です。

3G

通信規格 特徴等
W-CDMA 3Gの通信サービスでは多数派であり、NTTドコモやソフトバンク等の通信サービスが使用
CDMA2000 3Gの通信サービスでは少数派であり、KDDI(au)等の通信サービスが使用

W-CDMA から発展していった複数の通信規格がありますが、それら通信規格も含めて W-CDMA と呼ばれる場合があります。CDMA2000 には複数の通信規格が含まれており、それら通信規格まとめて CDMA2000 と呼ばれています。

W-CDMA から発展していった複数の通信規格と、CDMA2000 に含まれている一部の通信規格が4G(3.5G)に分類されます。以下は、W-CDMA から発展していった通信規格です。

4G(3.5G)

通信規格 特徴等
HSUPA ・W-CDMA から発展した通信規格
・上り方向の通信速度が向上
HSDPA ・W-CDMA から発展した通信規格
・下り方向の通信速度が向上
HSPA ・HSUPA と HSDPA をまとめた通信規格、すなわち HSPA には HSUPA と HSDPA が含まれている
HSPA+ ・HSPA から発展した通信規格
・上り方向と下り方向の通信速度が向上
・HSPA Evolution、eHSPA とも呼ばれる
DC-HSDPA ・HSPA から発展した通信規格
・下り方向の通信速度が向上
・HSPA+ との組み合わせが可能な通信規格であり、組み合わせれば HSPA+ の下り方向の通信速度が DC-HSDPA によりさらに向上する
DC-HSUPA ・HSPA から発展した通信規格
・上り方向の通信速度が向上
・HSPA+ との組み合わせが可能な通信規格であり、組み合わせれば HSPA+ の上り方向の通信速度が DC-HSUPA によりさらに向上する
DC-HSPA ・DC-HSDPA と DC-HSUPA をまとめた通信規格、すなわち DC-HSPA には DC-HSDPA と DC-HSUPA が含まれている
・日本国内の通信サービスでは DC-HSUPA は未使用なため、DC-HSPA は DC-HSDPA を指している場合が多い

スマートフォンの仕様では、W-CDMA から発展していった通信規格に対応しているモデルであっても、W-CDMA に対応していると記載されている場合が多いです。その場合、W-CDMA から発展した通信規格に対応しているかどうかは、モデルのメーカーのウェブサイト等で公表されている詳細な仕様を確認すれば分かります。

以下は、CDMA2000 に含まれている通信規格です。

3G

通信規格 特徴等
CDMA2000 1x ・1つの周波数帯域(電波の通り道のようなもの)を使用する通信規格
CDMA2000 3x ・3つの周波数帯域を使用する通信規格

4G(3.5G)

通信規格 特徴等
CDMA2000 1x EV-DO ・CDMA2000 1x から発展した通信規格
・上り方向と下り方向の通信速度が向上
・CDMA2000 1x EV-DO Rev.0 とも呼ばれる
CDMA2000 1x EV-DO Rev.A ・CDMA2000 1x EV-DO から発展した通信規格
・上り方向と下り方向の通信速度が向上
CDMA2000 1x EV-DO MC-Rev.A ・CDMA2000 1x EV-DO Rev.A から発展した通信規格
・上り方向と下り方向の通信速度が向上
CDMA2000 1x EV-DO Rev.B ・CDMA2000 1x EV-DO Rev.A から発展した通信規格
・上り方向と下り方向の通信速度が向上
・Nx EV-DO とも呼ばれる
CDMA2000 1x EV-DO Advanced ・上り方向と下り方向の通信速度が向上
・スマートネットワーク(混雑中の基地局へ接続中のモバイル端末を、空いている基地局へ接続させ、通信速度の低下を防ぐ技術)に対応

スマートフォンの仕様には、CDMA2000 に含まれている通信規格に対応しているモデルは、CDMA2000 に対応と記載されている場合が多いです。その場合、どの CDMA2000 の通信規格に対応しているかは、モデルのメーカーのウェブサイト等で公表されている詳細な仕様の確認が必要となります。

4G(3.9G)

通信規格 特徴等
LTE FDD-LTE 4G(3.9G)の通信サービスでは多数派であり、NTTドコモやKDDI(au)、ソフトバンク等の通信サービスが使用
TD-LTE 4G(3.9G)の通信サービスでは少数派であり、日本国内の通信サービスでは未使用だったが、2016年にTD-LTEを使用した通信サービスが提供開始予定
AXGP 4G(3.9G)の通信サービスでは少数派であり、ソフトバンク等の通信サービスが使用

日本国内では、FDD-LTE を使用した通信サービスが提供されており、TD-LTE を使用した通信サービスは提供されていないため、一般的には LTE は FDD-LTE を示しています。(2016年1月1日時点)

つまり、LTE 対応であれば FDD-LTE 対応であり、TD-LTE 対応なら TD-LTE 対応と明確に記載されています。TD-LTE 対応を LTE 対応と仕様等に記載されているモデルは、個人的には見たことありません。

AXGP は、TD-LTE とは異なる通信規格ですが、両者は互換性があるため、AXGP は LTE の一種と見なされて、AXGP は TD-LTE と呼ばれる場合もありますが、厳密には AXGP は LTE の一種ではありませんし、AXGP と TD-LTE は異なる通信規格です。

2016年1月1日時点では、日本国内で提供されている通信サービスで使用されている通信規格は、3Gと3.5Gでは W-CDMA(発展した通信規格を含む)が多数派であり、CDMA2000 は少数派です。3.9G では、FDD-LTE が多数派であり、AXGP は少数派です。TD-LTE が使用されている通信サービスはありません。そのため、W-CDMA や FDD-LTE 対応モデルが多く、CDMA2000 や AXGP、TD-LTE 対応モデルは少ないです。

利用する通信サービスの通信規格に対応しているか確認して選ぶ

通信サービスの名称から使用している通信規格が分かる通信サービスは一部であり、基本的に利用する通信サービスの通信規格を調べ、その通信規格に対応しているスマートフォンを選ぶ必要があります。

例えば、NTTドコモの通信サービス Xi は、使用している通信規格を調べると FDD-LTE である事が分かりますので、Xi を利用したいなら FDD-LTE 対応スマートフォンを選ぶ必要があります。