アルミ電解コンデンサとは?

最終更新日 2019年10月11日

アルミ電解コンデンサの構造

アルミ電解コンデンサの構造を簡単に言うと、陽極アルミニウム電極と陰極アルミニウム電極の間に電解紙(セパレータ紙)を挟み、両者の電極の間には電解液を浸した構造です。陽極アルミニウム電極の表面には酸化皮膜があり、この酸化皮膜が誘電体です。

陽極アルミニウム電極
酸化皮膜(誘電体)
電解液(真の陰極)
電解液を含む電解紙(セパレータ紙)
陰極アルミニウム電極 (見かけの陰極)

電解液がないと、電解紙は絶縁体なので酸化皮膜と一緒に誘電体となりますが、電解紙の比誘電率は低く静電容量が小さくなります。電解液を浸すことにより酸化皮膜を誘電体とするコンデンサとなり静電容量が大きくなります。

陰極アルミニウム電極よりも電解液の方が陰極としての役割を担うので、陰極アルミニウム電極は見かけの陰極、電解液は真の陰極と呼ばれます。

電解液ではなく固体電解質を使う導電性高分子アルミ固体電解コンデンサもあります。電解液と固体電解質の両者を使う導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサもあります。

電解紙は電解液を含みますが、電解液の保持、陽極アルミニウム電極箔と陰極アルミニウム電極箔の接触を防止する役目があります。

アルミ電解コンデンサの特徴

コンデンサの種類にはアルミ電解コンデンサ以外にも様々な種類がありますが、アルミ電解コンデンサを他のコンデンサと比べると、一般的には以下の特徴があると言えます。

小型・軽量でありながら静電容量が大きい

コンデンサの静電容量は、電極間距離が小さいほど大きくなりますが、酸化皮膜は極めて薄いです。誘電体は薄くなるほど低い電圧で絶縁が保てなくなる絶縁破壊が起こりますが、酸化皮膜は厚みあたりの耐電圧(絶縁破壊が起きない電圧)が高いので、他の誘電体と比べると比較的薄くできます。

電極表面積が大きいほど静電容量が大きいですが、エッチングと呼ばれる腐食作用を利用した加工により電極の表面を粗くすることで表面積を大きくしています。脳はしわが多いですが、伸ばして広げると見た目よりも表面積が大きいことと似ています。

陽極アルミニウム電極と陰極アルミニウム電極それぞれ薄いアルミニウム箔であり、電解紙は薄い紙です。これらを重ね合わせ巻物のように巻き円筒状としています。

以上により、アルミ電解コンデンサは小型で軽量でありながら静電容量が大きいです。

誘電体の損失(誘電損失)が大きい

コンデンサに正弦波交流電圧をかけると、電流は電圧に対して90度進んだ位相で流れます。これは理論上であり実際のコンデンサは90度よりもδ(デルタ)小さく、90-δ度進んだ位相で流れます。δを損失角と呼びます。損失角は、誘電体の損失(誘電損失)の大きさを示します。

アルミ電解コンデンサは、誘電損失が大きいですが、陽極アルミニウム電極、陰極アルミニウム電極、電解液これらの抵抗や端子部分の抵抗等が要因です。アルミ電解コンデンサに電圧をかけると、誘電体である酸化皮膜にて分極に時間がかかり電流の進みが遅れる要因もあります。

漏れ電流が大きい

コンデンサに電圧をかけると次第に流れる電流が減少し、コンデンサが満充電となると電流は流れなくなります。これは理論上であり実際のコンデンサには一定の小さい電流が流れます。この電流のことを漏れ電流と呼びます。

アルミ電解コンデンサでは、誘電体の酸化皮膜に欠陥部が存在する、不純物等により酸化皮膜の破壊等があり、完全な絶縁体になっておらず漏れ電流が流れます。

インピーダンスが大きい

理論上のコンデンサには抵抗成分やインダクタンス成分はありませんが、実際のコンデンサには抵抗成分やインダクタンス成分があります。アルミ電解コンデンサの場合だと、陽極アルミニウム電極と陰極アルミニウム電極はどちらも抵抗成分やインダクタンス成分があります。他の部分にも、抵抗成分やインダクタンス成分があります。

コンデンサと抵抗、インダクタンスが直列に接続されたモデルで簡易に考えることができますが、これを直列等価回路と呼びます。抵抗部分を等価直列抵抗(ESR)、インダクタンス部分を等価直列インダクタンス(ESL)と呼びます。

ESR と ESL を合わせ電流の流れにくさをインピーダンスで表すことができますが、アルミ電解コンデンサはインピーダンスが大きく、特に ESR が大きいです。ESR が大きいと電流が流れた時に発生する熱量も大きいです。

温度特性が悪い

アルミ電解コンデンサの特性である静電容量、誘電体の損失、漏れ電流、インピーダンスは、温度による変化が大きいです。低温では電解液の抵抗増加により静電容量が大きく減少し、誘電体の損失やインピーダンスは増加します。漏れ電流は、温度が高いほど大きいです。

周波数特性が悪い

アルミ電解コンデンサの特性である静電容量は、周波数による変化が大きく、周波数が高いほど静電容量は減少します。

周波数が高いほどインピーダンスが低くなれば高周波の回路でも使えます。アルミ電解コンデンサは周波数が高くなるにつれインピーダンスは低くなりますが、一定の周波数に達したら周波数が高くなるほどインピーダンスも高くなります。

寿命が短い

あらゆるものに寿命はありますが、アルミ電解コンデンサは電解液の蒸発による減少、電解液成分の反応・分解による減少があり、寿命があります。温度が高くなるほど電解液の減少がありますので、温度が高いほど寿命が短くなります。アルミ電解コンデンサは誘電体の損失が大きく、電流が流れた時の発熱も大きいです。

そのため、アルミ電解コンデンサの周囲温度に限らずアルミ電解コンデンサ自体の発熱も寿命に大きく影響します。サイズが大きく電解液の保持量が大きいアルミ電解コンデンサの場合は、電圧をかけると流れる漏れ電流による電解液消費量も寿命に大きく影響します。

極性がある

アルミ電解コンデンサには極性がありますが、酸化皮膜には整流性、すなわち一方向に電流が流れる特性があるからです。陰極アルミニウム電極の方にも酸化皮膜を形成することで、両極性にできます。

極性がある場合は、逆電圧または交流電圧がかからないように注意が必要です。正しい方向とは逆の電圧がかかると電流が流れてしまいます。

両極性の場合は、逆電圧については気にする必要はありませんが、交流電圧にはかからないように注意が必要です。両極性でも交流回路に使うと、リプル電流が過大に流れ異常発熱し危険です。

低コスト

アルミ電解コンデンサの主な特徴を見てきましたが、メリットは小型・軽量でありながら静電容量が大きいくらいです。他の特徴の中にはデメリットと言えるほどではない特徴もありますが、他のコンデンサの種類と比べると優れているとは言えません。

それでもアルミ電解コンデンサは電子機器等において広く使われています。アルミ電解コンデンサにはアルミニウムが使われていますが、アルミニウムは金属の中でコストが安く、他のコンデンサの種類と比べて低コストという特徴もあるからです。

アルミ電解コンデンサ販売ショップ

同じアルミ電解コンデンサでも、定格電圧、静電容量、許容差、寸法、動作温度、寿命、漏れ電流、ESR 等、他にも様々な特性が製品より違います。特性の違いから発生するバリエーションは膨大です。

アルミ電解コンデンサの使用用途、アルミ電解コンデンサに対して要求する性能を考えて、適切な製品を選ぶ必要がありますが、ラインアップは膨大でありニーズに見合った製品を見つけるのは難しいです。

RSコンポーネンツ では、様々な製品を取り扱っていますが、選択した絞り込み条件で製品を検索する機能により条件に合う製品を選びやすいです。他にもタンタルコンデンサ、セラミックコンデンサ等、様々なコンデンサを取り扱っています。

参考

アルミニウム電解コンデンサの概要 - Nichicon