Pentium M
最終更新日
2023年09月07日
Pentium Mとは
基礎
Pentium Mとは、インテルのCPUのブランドの一種です。ペンティアム・エムと読みます。ノートパソコン向けであり、消費電力が低く発熱が小さいです。クロック周波数を高めるよりも処理効率を高めることを実現し性能が向上しています。
従来ではデスクトップパソコン向けCPUから開発が始まり、後にデスクトップパソコン向けCPUを改良したノートパソコン向けCPUの開発が始まります。Pentium Mでは最初からノートパソコン向けCPUとして開発が始まりました。この開発順がインテルでは初です。
Pentium MはPentium IIIの後継
Pentium MはPentium IIIの後継です。厳密にはモバイルPentium IIIですが、Pentium IIIにモバイルPentium IIIを含むとします。Pentium IIIの後継はPentium 4のように見えますが、Pentium 4は設計を刷新しており、設計を考慮するとPentium 4はPentium IIIの後継ではありません。発売年
Pentium Mの発売年は2003年です。マイクロアーキテクチャー
インテルはPentium Mのマイクロアーキテクチャーの名称を公表していません。開発コードネームと同じくBaniasと呼ぶ場合が多いです。開発コードネームがDothanのPentium MではマイクロアーキテクチャーがDothanになりそうですが、開発コードネームがBaniasのPentium Mからマイクロアーキテクチャーが変わっていないのでBaniasのままです。開発コードネーム
Pentium Mの開発コードネームにはBanias、Dothanがあります。DothanはBaniasの後継です。Pentium Mのクロックゲーティング
未使用回路へのクロック信号供給を止める
インテルのCPUではPentium Mがクロックゲーティング初採用です。クロックゲーティングとは、使用しない回路へのクロック信号の供給を停止し、消費電力を抑える機能です。CPUが演算を行うとき、一部の回路を使用しない場合があります。使用しない回路にクロック信号を供給しても無駄に電力を消費します。クロックゲーティングが供給を停止し消費電力を抑えます。
Pentium Mのマイクロオプスフュージョン
組み合わせが多いマイクロオプを統合
Pentium Mはマイクロオプスフュージョンを初採用です。マイクロオプスフュージョンとは、組み合わせが多いマイクロオプを統合する技術です。マイクロオプとは、複雑なx86命令をCPU内部で扱いやすくするために分解した単純な内部命令です。組み合わせが多いマイクロオプの例
例えば「レジスターAの値とキャッシュメモリーBの値を足し算しレジスターAに書き込む」x86命令があるとします。「キャッシュメモリーBの値をレジスターBに書き込む」、「レジスターAの値とレジスターBの値を足し算しレジスターAに書き込む」、以上2つのマイクロオプに分解します。キャッシュメモリーからレジスターに値を読み込むマイクロオプ、その値を使用して演算を行うマイクロオプ、この2つの組み合わせが多いです。マイクロオプスフュージョンなし
マイクロオプスフュージョンなしの場合、2つのマイクロオプをスケジューラーユニットに転送し、スケジューラーユニットが効率高く実行できるようにマイクロオプの並び替えを行います。上記の組み合わせ例では、キャッシュメモリーからレジスターに値を読み込むマイクロオプを先に実行する必要があるため、分解して並び替える必要がありません。x86命令からマイクロオプへの変換は必要なため、このままでは2つのマイクロオプを生成することは避けられません。マイクロオプスフュージョンあり
マイクロオプスフュージョンありの場合、上記の組み合わせが多い2つのマイクロオプを統合し、スケジューラーユニットに転送します。スケジューラーユニットで扱うマイクロオプの数が減り、その分で別のマイクロオプを扱えるため、スケジューラーユニットの効率が高くなります。コラム
デスクトップ向けPentium Mの開発がなかった理由
Pentium Mは消費電力を抑えながら大幅な性能向上を果たしました。比較するモデルによってはPentium 4よりもクロック周波数が大幅に低いPentium Mの方が高性能な場合があるほどでした。そのため、Pentium Mのデスクトップパソコン向けモデルを開発すればよかったと思えます。しかし、Pentium 4では64ビットに対応する等、様々な技術進歩があり、Pentium 4の代わりとするPentium Mを出すなら、Pentium MでもPentium 4の技術進歩が必要だったため開発しませんでした。長期間かければ開発できますが、Pentium 4の代わりとするなら短期間で開発する必要があります。Pentium Mのデスクトップパソコン向けモデルの開発に長期間かかってしまったらマイクロアーキテクチャーが古く時代遅れになります。
出典
・Pentium M - 意味・説明・解説 : ASCII.jpデジタル用語辞典(2010/04/16更新記事)
・PentiumからCore iまで、基本設計の変遷をたどる(5ページ目) | 日経クロステック(xTECH)(2020/03/26公開記事)
・PentiumからCore iまで、基本設計の変遷をたどる(6ページ目) | 日経クロステック(xTECH)(2020/03/26公開記事)
・PentiumからCore iまで、基本設計の変遷をたどる(5ページ目) | 日経クロステック(xTECH)(2020/03/26公開記事)
・PentiumからCore iまで、基本設計の変遷をたどる(6ページ目) | 日経クロステック(xTECH)(2020/03/26公開記事)
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