SATA(Serial ATA)

最終更新日 2023年09月07日

SATA(Serial ATA)

シリアル伝送

SATAはATAの後継です。SATAはシリアル伝送、ATAはパラレル伝送です。シリアル伝送では1本の線を使用し1ビットずつ順番に伝送し、パラレル伝送では複数の線を使用し複数のビットを1度に伝送します。

シリアル伝送はハードウェアが単純な設計で済むのでコストが低いです。1本の線を使用するので他の線に流れる信号に影響を与える問題がなく、ケーブルを長くできます。パラレル伝送はハードウェアが複雑な設計が必要なのでコストが高いです。昔は複数のビットを同時伝送できる点を活かして伝送速度に有利でしたが、今ではシリアル伝送の方が有利です。伝送する信号が他の線の信号に影響を与え乱れる問題があるので、ケーブルを長くできません。ケーブルが長くなるほど影響が大きくなるためです。

パラレル伝送からシリアル伝送へ移行した理由

ATAのまま高速化を進めるとパラレル伝送なのでスキューの影響が問題になります。スキューとは各線で信号が到着するタイミングがバラつく現象です。パラレル伝送では全ての線で完全同時に信号が届くわけではありません。それでも一定時間内に届いた信号を完全同時に届いたと見なせば問題ありません。信号を送る間隔を短くし高速化を進めると、いずれはスキューが原因で高速化の限界を迎えます。信号送信間隔が、各信号が完全同時に届いたと見なす一定時間よりも長い必要があるためです。シリアル伝送では線が1本なのでスキューがなく、どんどん信号送信間隔を短くできます。そのため、ATAの後継となるSATAではシリアル伝送へ移行しました。

規格

SATA(Serial ATA)は、主にストレージ用のインターフェースが採用している規格です。

以下は、SATAの規格の一覧です。

ANSI 規格名
(通称)
よく使われる呼び方 データ
転送速度
Serial ATA 1.5 Gbps
(Ultra SATA/1500)
Serial ATA
S-ATA
Serial ATA 150
1.5 Gbps
Serial ATA 3.0 Gbps
(Ultra SATA/3000)
Serial ATA II
S-ATA2
Serial ATA 300
3.0 Gbps
Serial ATA 6.0 Gbps
(Ultra SATA/6000)
Serial ATA III
S-ATA3
Serial ATA 600
6.0 Gbps

SATAの規格は、ANSI規格名(通称)とは別の呼び方もあります。

その別の呼び方で代表的なものを、「よく使われる呼び方」に記載しています。

ここには記載していない別の呼び方もありますが、どのANSI規格名なのかわかるような呼び方です。

12Gbpsの規格登場なし

さらに高速化し12Gbpsの規格が登場しそうですが登場しません。コントローラーが非常に高価になるためです。6Gbpsより高速化することがありません。

出典
SSDが登場し、SATAの高速化が続く(3ページ目) | 日経クロステック(xTECH)(2020/03/26公開記事)

規格の互換性

マザーボードとストレージ間でSATAの規格が違っても、互換性がありますので動作しますが、データ転送速度が遅い方になります。

マザーボード ストレージ データ
転送速度
Serial ATA 1.5 Gbps Serial ATA 1.5 Gbps 1.5 Gbps
Serial ATA 3.0 Gbps 1.5 Gbps
Serial ATA 6.0 Gbps 1.5 Gbps
Serial ATA 3.0 Gbps Serial ATA 1.5 Gbps 1.5 Gbps
Serial ATA 3.0 Gbps 3.0 Gbps
Serial ATA 6.0 Gbps 3.0 Gbps
Serial ATA 6.0 Gbps Serial ATA 1.5 Gbps 1.5 Gbps
Serial ATA 3.0 Gbps 3.0 Gbps
Serial ATA 6.0 Gbps 6.0 Gbps

ホットスワップ

SATA2からホットスワップに対応しました。規格として対応しますが、ハードウェアやソフトウェアは対応が必須ではありません。ホットスワップを利用するには、マザーボード、ストレージ、OS、ドライバが対応している必要があります。ホットスワップを利用するには、IDEモードではなくAHCIモードにする必要があります。ホットスワップ利用可能なパソコンでは、電源を入れたままの状態で内蔵ストレージの接続や取り外しができます。

SATAコネクター

上下2段におけるノイズの影響の違い

マザーボードのSATAコネクターが上下2段の場合があります。下段の方が配線が短くノイズの影響を受けにくいです。それでも大きな違いがないため、どちらを使用してもよいです。

SATAケーブル

SATAケーブルの互換性

SATAケーブルに互換性があるので、原則的には対応規格が違っても使用可能です。例外的にケーブルの方が規格が古いと正常にデータ伝送できない場合があり、その場合は新しい規格に対応のケーブルを使用します。最大速度が速いほどケーブルはノイズの影響を受けにくくする等の対策が必要であり、ケーブルの対応規格が古いと対策が不足する場合があります。例えば、SATA3接続にSATA2対応ケーブルを使用すると、ケーブルがSATA3の最大速度でデータ伝送できるほどの対策がなく正常にデータ伝送できない場合があります。そうなるとOSがフリーズする、突然ストレージを認識しなくなる等のトラブルが発生します。ケーブルの対応規格が古くても、新しい規格に対応できるほど対策が優れていれば正常にデータ伝送できます。

シールド付きSATAケーブル

シールド付きSATAケーブルはノイズを低減する効果があります。通常のケーブルではノイズの影響を受けて正常にデータ伝送できないほどの使用環境で使用するものです。一般的なパソコンでは必要になる場合がまずありません。インターフェースの規格によってはノイズの影響でエラーが発生したら最大速度を落としてエラー発生を防ぐ機能がありますが、SATAにはありません。通常のケーブルで正常にデータ伝送可能であれば、シールド付きSATAケーブルを使用しても最大速度に違いが出ません。シールド付きのSATAケーブルは端子部分のサイズが大きく、ケーブルの剛性が強く取り回しがあまりよくないので、必要がなければ通常のケーブルがよいです。

L字型SATAケーブル

一般的なSATAケーブルはストレート型です。L字型もあり、コネクターの差し込む方向とは直角方向にケーブルが伸びます。上・下・横、どの方向に伸びるのかは製品によって違います。ストレート型はL字型と比べると出っ張りが大きいです。この出っ張りが物理的干渉し問題になる場合はL字型を使用するとよいです。L字型の方が物理的干渉が発生しやすい場合があり、その場合はストレート型を使用するとよいです。

ロック付きSATAケーブル

SATAケーブルはパソコン内部で使用するケーブルです。ケーブルに何かが引っかかり抜けてしまうトラブルを想定せずに設計されています。そのため、SATAケーブルが抜けやすいです。動かさないと抜けませんが、衝撃や振動で抜けてしまう場合があります。パソコンメーカーによっては接着剤やテープを使用して固定するほどです。SATA登場当初はコネクターの形状が統一されていなかったので、抜けやすい場合が多かったです。ロック付き(ラッチ付き、ロックラッチ付き)SATAケーブルだと非常に抜けにくいです。

SATAケーブルの色

SATAケーブルには様々な色がありますが、見分けやすくるために使用するユーザー向けです。規格による色分けではありません。ストレージとマザーボードを色分けしてSATAケーブルで接続すると、どのストレージと接続しているのか一目で見分けられます。

SATAケーブル長とストレージ速度

SATAケーブルが長くてもストレージ速度に影響を与えません。PCケース内部では2〜3mも長くしませんが、これほど長くなってもストレージ速度が変わりません。5mを超えてくると正常に伝送できなくなる可能性が高まります。そうなるとデータ読み書きエラー、ストレージを認識しなくなる等のトラブルが発生します。

SATAケーブルの劣化

SATAケーブルは劣化します。劣化が進むと腐食、断線等が発生し、正常にデータ伝送できない場合があります。OSがフリーズする等の症状が発生した場合、ストレージ等に故障が発生している可能性がありますが、SATAケーブルの劣化が原因の可能性も考え交換してみるとよいです。

Mini SATA(Mini Serial ATA)

Mini SATA(Mini Serial ATA)とは

Mini SATA(Mini Serial ATA)とは、SATAの端子を小型化したインターフェースの規格です。mSATAと呼ぶ場合もあります。ケーブルを使用せずに接続します。端子形状の規格であり、データ通信に利用する規格はSATAと同じです。以下は、Mini SATAの規格の一覧です。

規格名
(通称)
よく使われる呼び方 データ
転送速度
Serial ATA 3.0 Gbps
(Ultra SATA/3000)
Serial ATA II
S-ATA2
Serial ATA 300
3.0 Gbps
Serial ATA 6.0 Gbps
(Ultra SATA/6000)
Serial ATA III
S-ATA3
Serial ATA 600
6.0 Gbps

Serial ATA 1.5 GbpsとSerial ATA 3.0 Gbpsが存在していた頃にMini SATAが登場しましたので、Serial ATA 1.5 Gbps対応Mini SATA端子が存在しません。

Mini PCI Express

Mini SATAはMini PCI Expressとピン数、サイズ、端子形状が同じですが、データ通信の規格が違いますので互換性がありません。Mini SATA対応スロットではMini PCI Express対応製品が動作しません。Mini PCI Express対応スロットではMini SATA対応製品が動作しません。マザーボードによってはスロットがMini SATAとMini PCI Express両者に対応しています。規格に互換性があるわけではなく、マザーボード側で両方に対応できるように作られています。

マザーボードのmSATAスロットはSATA2対応が多い理由

マザーボードのmSATAスロットは、当初ISRT(Intel Smart Response Technology)向けでした。ISRTとはHDD保存データの中から利用頻度が高いデータをSSDに保存しておき高速化する機能です。この機能のためであればSATA2の最大速度で十分です。SATA3対応mSATA SSDをSATA2対応mSATAスロットに接続すると本来の性能を発揮できませんが、HDDと比べると高速です。

SATA Express(Serial ATA Express)

SATA Express(Serial ATA Express)は、マザーボードの拡張スロットと拡張カードのインターフェースが採用しているPCI Expressのデータ転送技術を、SATAに取り入れたインターフェースの規格です。

SATAよりもデータ転送速度が速いです。

SATAと同じようにケーブルを使用して接続します。

SATA Expressポートは、SATA Express専用ポート1つとSATAポート2つが並んでおり、SATAポートと互換性があります。

SATA Express対応ストレージを接続するときは3つ分のポートを使用し、SATA対応ストレージを接続するときは1つのSATAポートを使用し2台接続できますので、物理的に排他仕様となります。

SATA Express対応ストレージのみ接続可能なSATA Expressポートもあり、その場合はSATAポートと互換性がありません。

以下は、SATA Expressの規格の一覧です。

内部
インターフェース
規格名
(通称)
レーン数 データ
転送速度
Serial ATA Serial ATA 6.0 Gbps
(Ultra SATA/6000)
- 6.0 Gbps
PCI Express PCI Express 2.0
(Gen2)
2レーン(x2) 10.0 Gbps
PCI Express 3.0
(Gen3)
2レーン(x2) 20.0 Gbps

SATA ExpressポートがSATAポートと互換性を確保している場合、SATAポートの規格はSerial ATA 6.0 Gbpsです。

Serial ATA 6.0 Gbpsが存在していた頃にSATA Expressが登場しましたので、Serial ATA 6.0 Gbpsに対応していないことがありません。

SATA ExpressポートがPCI Express 3.0対応とは限らずPCI Express 2.0対応の場合があります。

SATA Expressポートが2レーン対応とは限らず1レーン対応の場合があります。

パソコン全体で割り当てられるレーン数の合計は、CPU、マザーボードによって決まってきますが、PCI Express 3.0のレーンは主に拡張スロットへ優先的に割り当てられるため、SATA ExpressにはPCI Express 2.0のレーンが割り当てられることが多く、SATA ExpressポートはPCI Express 2.0対応が主流です。

AHCI

AHCIとは

AHCIとはAdvanced Host Controller Interfaceの略であり、SATAが利用するネイティブ・インターフェースです。AHCIではプロトコル等を定義しています。ネイティブとはハードウェアに近いという意味です。SATAというインターフェースはハードウェアですが、AHCIはそのハードウェアに近いインターフェースなのでネイティブ・インターフェースです。SATAに限らず物理的なインターフェース上で通信を行うには、お互いに勝手な方法で通信しようとしては通信できません。通信に関する決まりを作り、それに従って通信する必要があります。このような決まりをプロトコルと呼びます。

利用要件

SATAコントローラー、OS、ドライバの全てがAHCIに対応が必要です。


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