ディスプレイのリフレッシュレート

最終更新日 2023年09月07日

リフレッシュレートとは

基礎

ディスプレイのリフレッシュレートとは、1秒間当たりに画面全体を更新する回数です。他の呼び方には、垂直走査周波数、垂直同期周波数、垂直スキャンレート、スキャン周波数があります。

リフレッシュレートの単位

リフレッシュレートの単位がHz(ヘルツ)です。例えば60Hzであれば1秒間に60回画面を切り替えます。

リフレッシュレートが高いほど滑らか表示

画面ではパラパラ漫画のように静止画を高速に書き換えて更新します。画面を書き換えている様子を人間の目で認識するのが困難ですが、静止画の枚数が多く動きが激しい映像だとリフレッシュレートの高さによって見え方が変わります。リフレッシュレートが高いほど1秒間当たりに画面を書き換える回数が多くなり、動きが激しい映像を滑らかに表示できます。

リフレッシュレートが重要な用途

あらゆる用途でリフレッシュレートが重要ではありません。フレームレートが高い動画コンテンツやゲーム等の表示にディスプレイを使用する場合に高いリフレッシュレートが適しています。3D映像の視聴にもリフレッシュレートが高いディスプレイが必要です。

フレームレート

フレームレートとは、1秒間あたりの静止画の枚数です。リフレッシュレートが高いディスプレイがあっても、パソコン側がフレームレートが高い映像出力に対応していないと、ディスプレイではリフレッシュレートの高さを活かせません。例えば、ディスプレイのリフレッシュレートが120Hzであっても、パソコンが出力する映像のフレームレートが60fpsであれば、ディスプレイのリフレッシュレートが60Hzの場合と同じです。

設定

ディスプレイのリフレッシュレートが高くても、標準設定で最高になっておらず設定しないと低いまま動作する場合があります。OSも同様です。原則的にはディスプレイ側とOS側の両方で設定作業が必要です。

垂直走査周波数

ディスプレイの仕様には、水平走査周波数(水平同期周波数)と垂直走査周波数(垂直同期周波数)が記載されていますが、垂直走査周波数がリフレッシュレートです。

仕様にリフレッシュレートと記載しているディスプレイもありますが、垂直走査周波数として記載している場合が多いです。

水平走査周波数と垂直走査周波数は、CRTモニターで使用されてきた用語であり、水平走査周波数は画面の左から右へ1本の線を1秒間に何本表示できるかを示し、垂直走査周波数は1画面分の線を1秒間に何回表示できるかを示します。

CRTモニターはブラウン管テレビと同じで画面の左から右へ1本の線を表示することを上から下まで繰り返して1画面を表示しており、水平走査周波数と垂直走査周波数が高いほど、ちらつきが少ないです。

液晶ディスプレイではCRTモニターのように画面を表示しておらず画面全体を同時に表示していますが、画面に表示されるまでは映像データをCRTモニターの表示順序と同様に画面の左上から右下へ処理します。

画面表示に関しては仕組みが変わりましたが、映像データの処理は水平走査周波数と垂直走査周波数の考え方が基本ですので、液晶ディスプレイでも水平走査周波数と垂直走査周波数として仕様に記載されています。

リフレッシュレートの種類

主なリフレッシュレート

以下は、主なリフレッシュレートです。

リフレッシュ
レート
特徴等
60Hz 標準的なリフレッシュレートであり、動きが激しい映像を表示しても十分滑らかに表示され、不満に感じるほどではありません。
120Hz 動画コンテンツの視聴、ゲームのプレイに適しており、3D映像の視聴に対応できます。
144Hz 120Hzよりも高いですが、120Hzとの違いを認識するのが難しいです。
240Hz ここまで高いと120Hzとの滑らかさの違いが認識できます。

30Hz

30Hzだと不十分です。30Hzだと動画、ウィンドウの移動、マウスポインタの移動等がカクカクとコマ落ちするように表示されます。ウィンドウの移動やマウスポインタの移動であればスムーズに表示されなくてもよいでしょうが、動画だと問題です。

60Hz

リフレッシュレートの高さを重視しなければ、60Hzが選択の目安です。インターネット、メール等の日常利用、オフィスソフトウェア等を利用するビジネス用途、動画・画像編集等、あらゆる用途でも60Hzあれば十分です。60Hzを下回るディスプレイは無きに等しく、どれも60Hz以上あります。

120Hz

動画コンテンツの視聴、PC ゲームのプレイに使用し、リフレッシュレートの高さを重視する場合、120Hzが選択の目安です。

240hz

144hzと240hzの違いを体感できる人もいれば体感できない人もいます。人間の目には個人差があるためです。何らかのミスで設定が240Hzではなく144Hzの可能性がありますので、体感できない場合は設定を確認するとよいです。

リフレッシュレートが高いメリット

リフレッシュレートが高いと、画面に表示される動画の動きが滑らかに表示され、動いているものの視認性が高いメリットがあります。動きの激しい映画、スポーツ、ゲーム等が、カクついたりせず残像が見えたりせず滑らかにきれいに見えます。

動画ではなくても、文字表示をスクロールさせても文字がにじまずにはっきりと見えます。文字に限らず、例えば画像の一覧をスクロールさせながら確認したいとき見やすいです。

残像感なくすには応答速度の速さも重要ですが、リフレッシュレートが高いディスプレイは応答速度が速い傾向が見られます。

CRTディスプレイではちらつき減少

リフレッシュレートが高いほど、ちらつきを抑えられるメリットがありますが、CRTディスプレイにあるメリットです。ちらつきをフリッカーと呼びます。高いリフレッシュレートにより、CRTディスプレイでフリッカーがない表示が行えることをフリッカーフリーと呼びます。一般的に70Hz以上あればフリッカーフリーと言えます。フリッカーがないと感じるために、人によっては75Hz以上や85Hz以上等が必要です。

リフレッシュレートがフレームレートより高いメリット

応答速度

リフレッシュレートよりもフレームレートが低くても、ディスプレイはリフレッシュレートが高いほど応答速度が速い傾向が見られますので、リフレッシュレートが過剰性能になっても全く無駄になるわけではありません。

ホールドボケの改善

ディスプレイでは静止画を次々に表示しており、次の静止画を表示するまで前の静止画を表示したままです。このように表示する仕組みをホールド型と呼びます。次の静止画への切り替え表示にかかる時間が完全にゼロ秒にできないので、前の静止画が残ったように見えます。このホールド型が原因で発生する残像をホールドボケ(※1)と呼びます。現実世界もホールド型と言えますが、フレームレートが無限大に大きいので残像が見えにくいです。

ディスプレイにてフレームレートの無限大が不可能ですが、前の静止画と次の静止画を元に静止画を生成して両者の間に表示し、擬似的にフレームレートを高める技術があります。この技術を倍速駆動(※2)と呼びます。この技術によって残像が見えにくくなります。フレームレートに限らずリフレッシュレートも高くする必要があり、例えば60fpsから120fpsにする場合は120Hz必要です。このようにフレームレートを向上させて残像を抑える機能がある場合、リフレッシュレートがフレームレートより高いメリットがあります。

120Hzや240Hz等の液晶テレビがあり、主にテレビ番組、DVD映画、ブルーレイ映画等の視聴に使用するものなので意味がなさそうですが、上記の機能があるのでリフレッシュレートが高いです。

(※1)ディスプレイの画面に限らず現実世界においても、私達は動いているものを見て目で追うとき、自然と動く方向を予測しなら目で追います。現実世界においては動いているものの予測位置に視点が移動すると、予測が外れなければ実際に動いているものの位置と一致します。

ディスプレイの画面では動いているものは完全に滑らかに動いているわけではなく、パラパラ漫画のように静止画が高速に切り替わって表示され動いているように見えます。動いているものの予測位置に視点が移動すると、短時間の間ですが動いているように見えるものは止まったままの状態(静止画)で表示されますので、視点の位置と動いているものの表示位置にずれが発生しボケて見えます。動きが遅いものだったり、動きが速くても移動距離が短ければボケて見えません。現実世界でも動きが速いものだとボケて見える場合があります。

現実世界はフレームレートが無限大に大きく、各コマが完全に滑らかに表示されるようなものなのでボケが発生しづらいですが、動きが速いと残像が見えます。現実世界はフレームレートが無限大でも、人間の目はフレームレート無限大で見られるわけではなく実質フレームレートが有限であり、動きが速いものだとディスプレイの場合と同じように見えるためです。もし人間の目がフレームレート無限大で捉えられるなら、例えば蛍光灯は高速に点滅していますので点灯し続けているように見えるのではなく点滅していると見えます。

(※2)倍速駆動は倍速液晶と呼ぶ場合もあります。ソニーの技術はモーションフローと呼びます。厳密にはモーションフローとはソニーの残像低減技術の総称です。モーションフローの主要な技術が倍速駆動です。ソニーの倍速駆動をモーションフローと呼んだり、その逆でも通じます。撮影時に生じたぼやけを改善するIBリダクション機能もモーションフローに含まれる技術であり、倍速駆動とIBリダクション機能等をまとめてモーションフローと呼びます。

IBリダクション機能について補足です。例えば60fpsで撮影するとき1/60秒間シャッターを開き続けるので、その間に撮影対象が動くとぼやけが発生します。IBリダクション機能なしで倍速駆動しても撮影時のぼやけが残り、くっきりとした映像になりません。IBリダクション機能ありだと撮影時のぼやけが改善し映像がくっきりになります。

24fpsの表示

DVD映画やブルーレイ映画の多くが24fpsですが、60Hzだと60が24で割り切れませんので、1フレームを表示する時間にバラつきが出てきます。2/60秒間表示されるフレームや、3/60秒間表示されるフレームが出てきます。これが原因で映像がぎこちなく見える場合があります。120Hzや240Hzなら24で割り切れますので改善します。

このように24fpsの映像を視聴する場合、リフレッシュレートがフレームレートより高いメリットがあります。ただし、リフレッシュレートが24で割り切れる必要があります。

リフレッシュレートが低いデメリット

フリッカー(ちらつき)

液晶ディスプレイはリフレッシュレートが低いとフリッカー(ちらつき)が発生すると見聞きします。CRTディスプレイでは発生しますが、液晶ディスプレイでは発生しません。液晶ディスプレイではバックライト(光源)の明滅が原因で発生します。液晶ディスプレイによってはフリッカーフリーと呼ぶ機能を搭載する製品がありますが、バックライトが原因のフリッカーを防ぐ機能です。

リフレッシュレートとゲーム

高リフレッシュレート

ゲームではリフレッシュレートの高さが重要です。特にFPS(First Person Shooter)や格闘等、動きが滑らかに表示されないと勝敗に影響するので重要です。120Hz以上は欲しく可能であれば144Hz以上等、さらに高いとよいです。

フレームレート

リフレッシュレートが高くでもゲームのフレームレートが足りないと、滑らかに表示されません。例えば、リフレッシュレートが144Hzでもフレームレートが60fpsだと、実質リフレッシュレートが60Hzです。一般的に高いフレームレートを出すには高性能パソコンが必要です。GPUの性能が最も重要です。ゲームによってはフレームレートに上限があり、例えば上限が60fpsまでの場合、いくら性能が高くても60fpsまでです。

リフレッシュレートが120Hz,144Hz,240Hz、ゲームが60fps

ゲームが60fpsの場合、リフレッシュレートが60Hzあれば十分であり、120Hz,144Hz,240Hz等、60Hz超えだと意味がなさそうです。ディスプレイはリフレッシュレートが高いほど応答速度が速い傾向があるので意味があります。ゲームにとって応答速度も重要であり、速いと残像感が減ります。

家庭用ゲーム機で60Hz超

一部を除き家庭用ゲーム機(PS4、Switch等)ではフレームレートが60fpsまでです(2020/03/31時点)。リフレッシュレートが60Hzを超えると高いリフレッシュレートを活かせずオーバースペックです。それでも無駄ではなくリフレッシュレートが高いほど応答速度が速い傾向があるので、残像感が少なくなるメリットがあります。家庭用ゲーム機のXbox One S、Xbox One Xはフレームレートが120fpsまでです(2020/03/31時点)。60Hzを超えるリフレッシュレートでもその性能を活かせます。

可変リフレッシュレート

可変リフレッシュレートとは

可変リフレッシュレートとは、ディスプレイのリフレッシュレートを制御し、フレームレートの変動に応じてリフレッシュレートを変動させる技術です。英語では、VRR(Variable Refresh Rate)と呼びます。可変リフレッシュレートではないと、映像の表示を一定の周期で更新し、例えば60Hzであれば1秒間に60回更新します。

可変リフレッシュレートのメリット

ゲーム等のフレームレートはリフレッシュレートと常に一致することがまずなく、両者の差が発生すると映像表示に問題が発生します。ここでは60Hzを前提としますが、1/60秒の間に次に表示するフレームの描画処理が終わらないと、途中まで描画したフレームを前のフレームに重ねて表示します。この現象を、ティアリングと呼びます。例えば、フレームの上半分まで描画処理が終わったときに更新があると、上半分には新たに描画したフレーム、下半分には前のフレームが表示されます。動きのない映像だと問題ありませんが、動きがある映像だと上下がずれて見えます。

次に表示するフレームの描画処理が終わるまで前のフレームを表示し続けることも可能ですが、その場合はリフレッシュレートが落ち、2/60秒かかれば30Hzになります。この現象を、スタッタリングと呼びます。可変リフレッシュレートを利用すると、フレームレートに合わせ描画処理が終わったら映像表示を更新しますので、上記の問題を解決できます。

可変リフレッシュレートのデメリット

ディスプレイによっては可変リフレッシュレートを利用すると最大リフレッシュレートが下がります。例えば、最大リフレッシュレートが144Hzだが、可変リフレッシュレート利用時は144Hzより下がる場合があります。下がる製品はFreeSync対応ディスプレイにあり、G-SYNC対応ディスプレイにはありません(2016/10/25時点)。

G-SYNC、FreeSync

NVIDIA、AMDが可変リフレッシュレートを開発し、NVIDIAの技術をG-SYNC、AMDの技術をFreeSyncと呼びます。どちらの技術も利用するには、ディスプレイ側とGPU側、両者が対応している必要があります。可変リフレッシュレートは、リフレッシュレートが高いディスプレイを使用してゲーム映像を表示するときに重要なため、高リフレッシュレート対応ディスプレイ、高性能GPUが主に対応しています。

G-SYNC対応ディスプレイが少なく、FreeSync対応ディスプレイが多いです。G-SYNCに対応するには専用モジュールが必要となりコストがかかるためです。FreeSyncに対応するには専用モジュールが不要でありあまりコストがかかりません。

G-SYNC Compatible

FreeSync対応ディスプレイがG-SYNC Compatible対応だと、G-SYNC対応GPUと併用した場合でも可変リフレッシュレートを利用可能です。G-SYNC Compatible非対応でも利用可能な場合があります。対応と非対応どちらの場合であっても、使用するGPU、ドライバ等に条件があります。条件を満たさないと利用不可です。

G-SYNC対応ディスプレイが不要な存在になりそうですが、必要です。G-SYNC Compatible対応ディスプレイを使用し、可変リフレッシュレートを利用可能な条件を満たしても、ゲームが正常に表示されない、リフレッシュレートが高いと可変にならない等の不具合が発生する場合があるためです。G-SYNC対応GPUを使用する場合、G-SYNC対応ディスプレイと組み合わせるのが確実です。

オーバークロック

保証

ディスプレイのリフレッシュレートをオーバークロックすると、正常に動作しなかったり不具合や故障が発生しても保証対象外になる場合があります。全ての製品を確認しておらず、保証対象になる製品もあるかもしれません。何にせよ、保証対象外になるのを避けたい場合、取扱説明書(マニュアル)を確認したりメーカーに問い合わせるとよいです。

インターフェース

165Hz以上

165Hz以上のリフレッシュレートを利用するにはDisplayPortが必要です(2016/11/01時点)。他にも利用可能なインターフェースが出てくるとDisplayPortのみとは限らなくなります。例えば、HDMIが165Hz以上に対応する可能性があります。

G-SYNC、FreeSync

DisplayPort 1.2a以降はG-SYNCとFreeSyncどちらにも対応可能、HDMI 2.1以降はFreeSyncのみ対応可能です(2019/10/02時点)。実際に対応しているとは限りません。例えば、ディスプレイにDisplayPort 1.2aがあるが、G-SYNCやFreeSyncに対応とは限りません。

DisplayPortの相性問題

G-SYNCは相性問題が出やすいです。G-SYNCはDisplayPortのみ対応可能であり、DisplayPortは相性問題が出やすいためです。DisplayPortはケーブルとの相性問題が出やすいので、発生した場合は別のケーブルに交換すると解決できる可能性があります。

出典

垂直走査周波数 - 意味・説明・解説 : ASCII.jpデジタル用語辞典(2010/04/16更新記事)
リフレッシュレート(refresh rate)とは? 意味・読み方・使い方をわかりやすく解説 - goo国語辞書
リフレッシュレート(refresh rate) 鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」(1998/06/24公開記事)


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