フラッシュメモリーのトンネル酸化膜
最終更新日
2023年09月19日
フラッシュメモリーのトンネル酸化膜とは
基礎
フラッシュメモリーのトンネル酸化膜とは、浮遊ゲートに電子を出し入れするときに電子が通り抜ける絶縁体です。トンネル・サンカマクと読みます。この絶縁体ではトンネル効果により電子が通り抜けます。この絶縁体は酸化物であり、薄い皮のような形状です。そのため、この絶縁体をトンネル酸化膜と呼びます。
用語
浮遊ゲートとは、1ビットまたは複数ビットのデータを格納する部分です。浮遊ゲートの電子の量でデータを識別します。例えば1ビットのデータを格納するとします。浮遊ゲートに電子がない場合は1、ある場合は0です。トンネル効果とは、電子等が本来は通り抜けられないはずの壁を、ある確率で通り抜ける現象です。
フラッシュメモリーのトンネル酸化膜の劣化
データを書き換えるとトンネル酸化膜が劣化する
フラッシュメモリーのデータを書き換えるとき、浮遊ゲートに電子を出し入れします。このときに電子がトンネル酸化膜を通り抜けますが、トンネル酸化膜が劣化します。劣化するほど、データ書き換えを行うとき以外でも電子が通り抜けやすくなります。浮遊ゲートに電子を閉じ込めておけなくなるほどトンネル酸化膜が劣化すると、浮遊ゲートの寿命です。これがあるため、フラッシュメモリーの書き換え回数には限界があります。
浮遊ゲートが寿命を迎えているほどトンネル酸化膜が劣化していなくても、電子が通り抜けてデータが消えてしまうまでの期間が短くなります。これがあるため、フラッシュメモリーからデータを読み込むだけで書き換えを行わない使用を長期間続けたり、長期間放置するとデータが自然に消える場合があります。
出典
・【USBメモリー編】放置厳禁!データの“自然蒸発”に要注意(4ページ目) | 日経クロステック(xTECH)(2010/05/25公開記事)
MLCはSLCよりもトンネル酸化膜が劣化しやすい理由
SLCとはSingle Level Cellの略であり、浮遊ゲートの電子量に2段階の基準を設置し、電子がない状態を1、ある状態を0とし、1ビットのデータを記憶します。MLCとはMulti Level Cellの略であり、浮遊ゲートの電子量に4段階の基準を設置し、電子がない状態を11、かなり少ない状態を10、やや少ない状態を00、充満した状態を01とし、2ビットのデータを記憶します。浮遊ゲートに電子を入れるときに電圧をかけます。電圧をかける回数が、SLCでは最大1回、MLCでは最大3回です。それぞれの基準を満たすところまで段階的に電子を入れる必要があるためです。例えば電子がない状態から充満した状態にする場合、電子がない状態→かなり少ない状態→やや少ない状態→充満した状態に移行するように電圧をかけて浮遊ゲートに電子を入れます。
実際にはSLCでも電子量を正確に調整するために電圧をかけて電子を入れる回数が複数回の場合が多いです。この正確な調整をMLCでも行う場合、さらに電圧をかける回数が多くなります。
厳密に言えばトンネル酸化膜は電圧がかかると劣化します。MLCの方が電圧がかかる回数が多いので、MLCはSLCよりもトンネル酸化膜が劣化しやすいです。
出典
・なぜ消えるのか、劣化するのか(3ページ目) | 日経クロステック(xTECH)(2009/11/19公開記事)
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