HDDの寿命

最終更新日 2023年09月07日

HDDの寿命とは

基礎

HDDの寿命とは、HDDが故障せずに動作する期間です。ジュミョウと読みます。

これは曖昧な定義であり、この定義だと例えば1台のHDDを使用し始めて初期不良で約1か月で故障したらHDDの寿命が約1か月と言えてしまいます。これでは一般的なHDDの寿命とは言えません。一般的なHDDの寿命と言えるようにするために、多数のHDDを使用し始めて故障率が上昇するまでの期間をHDDの寿命とする、または故障率が上昇かつ半数以上が故障するまでの期間をHDDの寿命とします。

精密部品の寿命

HDD内部ではモーターによりディスクが回転しており、ヘッドがディスク上で浮いており、ヘッドとディスクの隙間が数ナノメートルです。非常に精密な動作が求められる部品であり劣化が早く寿命が短そうですが、少なくとも5年は寿命を迎えないように設計されています。

初期不良、偶発故障

仮に寿命の目安が5年だとしても、実際には5年で寿命を迎えて故障するとは限りません。新品のHDDかつ使い始めたばかりでも、初期不良により故障する場合があります。初期不良の心配がなくなった後でも、寿命を迎える前に偶発的に故障する場合があります。

寿命の目安に近づいたら故障に備え、データを失わないようにバックアップを計画している場合、その計画の修正が必要です。いつ故障するかわかりませんので、使用開始直後からバックアップが必要です。データが失ってもよいのであればバックアップが不要です。

HDDの寿命の目安

劣化による寿命の目安

昔はHDDの劣化が早く2〜3年程度で寿命を迎える場合がありましたが、今では少なくとも5年の寿命があるように設計されています。24時間365日稼働しても5年以上は大丈夫です。今でも寿命が2〜3年等、寿命が短い話を見聞きしますが、昔のイメージが残っているためと思われます。

HDDの寿命が2万6,000〜3万5,000時間等は昔の話の可能性あり

一般的にHDDの寿命が2万6,000〜3万5,000時間等と見聞きします。時間に多少の違いがある目安が他にもありますが、大体このくらいの情報が多いです。まず言えることは、今となってはHDDの寿命が短すぎます。仮に長い方の3万5,000時間とすると、24時間365日連続稼働させると約4年間しかありません。

昔からシステム開発を行う企業に勤め、24時間365日連続稼働かつHDDを使用するシステムの開発も行ってきた経験がありますが、例えば2010年頃という昔でも、約4年経過しても故障するHDDが一部のみでした。2000年頃等、さらに昔であれば今よりHDDの寿命が短かったので、一般的にHDDの寿命が2万6,000〜3万5,000時間等としてもおかしくはありません。この寿命の目安は、昔の話が根拠になっている可能性があります。

HDDの寿命が5年〜50年は本当か?

長期保管に向く光ディスク、ただし「直射日光」「高温多湿」「汚れや傷」は大敵 | 日経クロステック(xTECH)(2023/05/25公開記事) によると、HDDの寿命が5年〜50年です。メーカー公称値や各種調査等を基にしたそうですが、詳細が不明です。

HDDの寿命が50年もあると聞くと疑問に思う人が多いと思います。個人的な経験上では、保管していたHDD搭載パソコンが20年後や30年後でも動作したことを確認済みです。恐らく50年前に発売のHDDを保管しており、そのHDDが動作したことを根拠にHDDの寿命が5年〜50年とした可能性があります。日常的に使用するHDDの場合、寿命が50年もあるとは考えにくいです。

クラウドストレージ事業者が提供するHDDの寿命の目安は参考にならない

クラウドストレージ事業者によっては使用したHDDを基に寿命の目安を提供していますが、パソコンでHDDを使用する場合と比べると使用するモデル、使用環境等が異なるので参考になりません。クラウドストレージでは寿命が長いHDDを使用し、HDDにとって理想的な温度や湿度で使用しますが、24時間365日連続稼働です。一般的に24時間365日連続稼働はしないパソコンと比べてHDDの寿命が短いです。パソコンでも24時間365日連続稼働するなら参考にはなりますが、使用するモデル、使用環境等が異なるので、HDDの寿命がクラウドストレージの場合と同じになるとは限りません。

HDDの寿命と使用環境

衝撃・振動

HDDの寿命は使用環境によって異なる場合があります。例えば衝撃・振動を受ける機会が多いと寿命が縮みます。頻繁に持ち運び使用するHDD搭載モバイルノートパソコンのHDDは寿命が短い傾向がありますが、衝撃・振動が原因です。衝撃・振動によりヘッドがディスクに接触し傷が付き、早期に故障する可能性が高まります。

電源がオフのときはヘッドがディスク上から退避していますので、そのときに衝撃・振動があっても接触しません。昔は電源がオフでも退避しないHDDや、突然電源オフになると退避しないHDDがありましたが、今ではありません。

ディスクに傷が付いても直ちに故障するとは限りません。傷が付いた箇所はデータ読み書き不能になり、その箇所は使用しないよう自動的に処理します。

温度

使用環境の温度も寿命に影響を及ぼしますが、0〜60度の範囲内であれば寿命があまり変わりません。過酷な低温環境や高温環境向けに-30〜90度の範囲内であれば寿命があまり変わらないHDDもあります。

寿命にあまり影響しない温度範囲内でも、低温や高温だと性能が低下する場合があります。低温(高温)だと内部部品の金属の体積が減り(増え)、ヘッドがディスク上の指定位置に到達する精度が落ち、データ読み書きエラーが発生し再度読み書きを試みる処理の発生が増えるためです。一定回数以上試みても読み書きできなかった場合、読み書きが完了しません。

負荷

HDDに高い負荷がかかると寿命が縮みそうですが縮みません。例えば動画・画像編集でHDDに高い負荷がかかっても寿命が縮みません。

昔にHDDに高い負荷がかかるデフラグをすると寿命が縮む等の話を見聞きしたが、実際に寿命が縮んだ証拠が出ていません。今ではデータセンター等、負荷に関して過酷な環境で使用されたHDDの寿命に関する情報が集まり、高い負荷によって寿命が縮まない証拠が出ています。

ソフトウェアによるHDD寿命予測

HDDの寿命をソフトウェアを利用して予測可能と見聞きしますが、現時点では不可能です(2021/11/26時点)。

HDDが寿命を迎える時期を数ヶ月の範囲で予測できるとしても画期的ですが、もし本当に可能であればHDDの寿命を予測できるソフトウェアが普及しているはずです。少ないですが私が勤めたことがある複数の企業では、HDDの寿命を予測できるソフトウェアを導入していると見聞きしたことがありません。各国でデータセンターを運営し大量のHDDを使用している企業の人に聞いてみたところ、HDDの寿命を予測するソフトウェアを開発しようと研究してきたが、開発に成功していないそうです。

HDDの寿命を予測可能と謳うソフトウェアが存在しますが、このようなソフトウェアを利用して寿命を予測できたという確かな証拠を見聞きしたことがありません。このようなソフトウェアはどれもS.M.A.R.T.情報を利用していますが、そもそもS.M.A.R.T.情報を利用しても寿命を予測できません。

HDDの寿命とMTTF(Mean Time To Failure)

HDDのMTTF(Mean Time To Failure)は寿命と見聞きします。仕様に記載のMTTFが100万時間等、寿命とは思えないほど長いことからわかりますが、MTTFは寿命ではありません。HDDが寿命に達する前までに偶発的に故障する確率を時間で表したものがMTTFです。MTTFが時間単位ですが、MTTFが長いほど故障しにくいと言えます。

例えば100台のHDDを1万時間動作し続け1台が故障した場合、100台×1万時間=100万時間と計算して求めたのがMTTFです。1台のHDDが故障するまでの平均的な動作時間が100万時間という意味です。100台のHDDを1万時間動作し続けると1台故障する、1万台のHDDを100時間動作し続けると1台故障する意味とも言えます。

MTTFは日本語だと平均故障時間や平均故障寿命と呼びます。故障時間とは使用開始してから故障するまでの時間の長さであり、故障寿命も同じ意味です。故障時間(故障寿命)という意味で寿命という用語を利用し、HDDのMTTFについて述べている場合は間違いではありませんが、HDDの寿命と聞くとHDDが摩耗故障期間に入り故障するまでの時間の長さをイメージする人が多いと思われますので誤解を招きやすいです。

HDDの寿命を延ばす方法

衝撃・振動

HDDに衝撃・振動を与えると、故障するか故障しないかの2通りになりそうですが、故障せずに寿命が縮む場合もあります。各部品に衝撃・振動による傷みが蓄積し、寿命短縮の恐れがあります。

例えば衝撃・振動によりヘッドがディスクに接触し、ディスクが損傷する場合があります。損傷次第によっては即故障とは限りません。すぐに故障しなくても損傷が別の損傷の原因になる場合があります。このような損傷があると早期に故障する確率が高まり寿命が縮む場合があります。

持ち運ぶノートパソコンが搭載するHDD、ポータブルHDD等は全く衝撃・振動を与えないのが困難ですが、強い衝撃・振動を与えないように使用するとよいです。

温度

HDDの温度を30〜40度に安定させて使用し続けると寿命が延びます。故障率が下がる効果もあります。データセンター等のHDDが24時間365日動作かつ高い負荷がかかっても、その割には寿命が長く故障率が低い理由は、温度を30〜40度に保つためです。温度が20度以下や50度以上になると寿命が縮むに加えて故障率が上がります。温度変化も同様です。

多くの人が24時間365日動作させ続けないと思われますが、その場合は温度変化が生じるのに妥協し、使用中は30〜40度に安定させるとよいです。HDDの冷却が十分ではないと、HDDの負荷が高まると温度が安定しません。CPUやGPUの発熱の影響を受け温度が安定しない場合もあります。

動作時間

HDDの動作時間が長いほど劣化するので、HDDにアクセスする必要がなければ動作させないようにしておくと寿命が延びます。ただし、電源のON/OFFを繰り返すと寿命が縮みます。1日に何十回も電源ON/OFFを繰り返すような使い方はよくありません。

長期間アクセス不要でも定期的に動作させるとよいです。HDDではディスク上の磁気データが劣化しており読み取りエラーが発生する可能性があると自動的に書き直します。長期間動作させないと読み取りエラーが発生し磁気データが破損する可能性が高まります。どのくらい長期間動作させなくても破損しないのか検証した結果がありません。少なくとも2〜3年は破損の心配がないと思われますが、5〜10年はどうなのか不明です。


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