ターボ・ブースト・テクノロジーとは?上限倍率、上限ビン数の見方
最終更新日
2024年01月08日
インテル・ターボ・ブースト・テクノロジーとは
基礎
インテル・ターボ・ブースト・テクノロジーとは、CPUのクロック周波数を動的に高くし処理速度を上げる技術です。略してターボ・ブーストと呼ぶ場合があります。以降では「・」も略してターボブーストと書く場合があります。クロック周波数がベースクロックよりも高くなる
CPUにかかる負荷が低いときはベースクロックで動作し、負荷が高いときはターボブーストが機能しベースクロックよりも高いクロック周波数で動作します。ベースクロックとは、CPUの動作が不安定にならず寿命が短縮しないクロック周波数の上限です。他の呼び方には、基本クロック、定格クロックがあります。ターボブーストが機能するとクロック周波数がベースクロックよりも高くなりますが、動作が不安定にならず寿命が短縮しないと認識してよいです。実際には動作不安定と寿命短縮のリスクが出てきますが、ターボブーストにより高まるクロック周波数の範囲内であれば、そのリスクは無視できるほど小さいです。
ターボブーストとEDAT
ターボブーストはEDATの後継
EDATとはEnhanced Dynamic Acceleration Technologyの略で、負荷が低いコアがアイドル状態のとき、負荷が高いコアを自動的に1段階分オーバークロックする技術です。Core 2 Quad、Core 2 DuoがEDATを搭載です。ターボブーストはEDATの後継です。EDATよりも進歩しておりEDATよりも性能が向上します。ターボブーストとEDATの違い
EDATではコアがアイドル状態になると、他のコアのクロック周波数が向上します。ターボブーストでは全てのコアがアイドル状態ではなくてもクロック周波数が向上します。EDATではオーバークロックが1段階分ですが、ターボブーストでは複数段階分です。ターボブーストと消費電力、発熱
消費電力、発熱を抑える
CPUはクロック周波数が高いほど消費電力、発熱が増えます。負荷が高いときはターボブーストによりクロック周波数を高くし、負荷が低いときはベースクロックで動作することで、全体的に見れば消費電力、発熱を抑えられます。出力電力や温度の限度内でクロック周波数を高くする
ターボブーストによりクロック周波数が高まるので消費電力、発熱が増えます。そのため、CPUに出力する電力が大きすぎになったり、CPUの温度が高くなりすぎたりする恐れがあると考えられます。ターボブーストは出力電力、温度が限度内に収まるように機能するので安全です。例えばベースクロックで動作している時点で温度に余裕がなければ、ターボブーストが機能しません。ターボブーストの上限クロック周波数
ターボブーストにより高くなるクロック周波数に上限がある
ターボブーストでは、CPUの電力、電流、温度が仕様上の上限に満たない状態であれば、CPUへの負荷が高まったときにクロック周波数を高くします。いつまでもどこまでもクロック周波数が高くなるわけではなく、CPUの電力、電流、温度の内、どれか1つでも仕様上の上限を超えたらクロック周波数が高くなりません。CPUの電力、電流、温度が仕様上の上限に満たない状態でも、どこまでもクロック周波数が高くなるわけではなく、ターボブーストが機能する場合の上限クロック周波数があります。ターボブーストにより高くなるクロック周波数は、この上限クロック周波数を超えません。以降では単に上限クロック周波数と書きますが、ターボブーストが機能する場合の上限クロック周波数を指すとします。
ターボブーストの上限倍率、上限ビン数
アクティブコア数によって異なる上限クロック周波数
複数のコアがあるCPUの場合は、基本的にアクティブコア数(動作中のコア数)によって上限クロック周波数が異なります。アクティブコア数が少ないほど上限クロック周波数が高くなり、アクティブコア数が多いほど上限クロック周波数が低くなります。アクティブコア数が1の時、最も上限クロック周波数が高いですが、これがCPUの仕様に書かれている最大クロック周波数です。CPUのクロック周波数は外部クロック×倍率
CPUのクロック周波数は、外部クロック×倍率で決まります。外部クロックとは、CPUが接続しているバスのクロック周波数です。基本的なクロック周波数であり、CPU以外のPCパーツもバスのクロック周波数を利用して動作します。CPUは外部クロックを〜倍にして動作します。上限倍率
上限クロック周波数は、倍率を用いて上限倍率で表される場合があります。上限倍率に外部クロックを掛ければ上限クロック周波数がわかります。例えば外部クロックが100MHzであり上限倍率が47倍なら、上限クロック周波数が4.7GHzです。ビン
ターボブーストによりクロック周波数が外部クロックずつ上がりますが、ビンという単位を用いて表される場合があります。1ビンなら外部クロック×1上がり、2ビンなら外部クロック×2上がります。上限ビン数
上限クロック周波数は、ビンを用いて上限ビン数で表される場合があります。上限ビン数に外部クロックを掛けた値とクロック周波数を足し合わせれば上限クロック周波数がわかります。例えば最大ビン数が10ならクロック周波数に外部クロック×10足し合わせたものが上限クロック周波数です。Core i7-8700Kの上限クロック周波数、上限倍率、上限ビン数
例として、Core i7-8700K(クロック周波数3.7GHz、最大クロック周波数4.7GHz)の上限クロック周波数、上限倍率、上限ビン数を見てみると以下のとおりです。アクティブ コア数 |
上限 クロック 周波数 |
上限 倍率 |
上限 ビン数 |
---|---|---|---|
1 | 4.7GHz | 47倍 | 10 |
2 | 4.6GHz | 46倍 | 9 |
3 | 4.5GHz | 45倍 | 8 |
4 | 4.4GHz | 44倍 | 7 |
5 | 4.4GHz | 44倍 | 7 |
6 | 4.3GHz | 43倍 | 6 |
上限倍率、上限ビン数の表記
Core i7-8700Kの場合で表記しますが、上限倍率は47/46/45/44/44/43のように表される場合が多いです。同様に上限ビン数は、6/7/7/8/9/10のように表される場合が多いです。上限倍率はアクティブコア数が少ない順ですが、上限ビン数だとアクティブコア数が多い順です。ターボブーストとCPU内蔵グラフィックス
Intel HD Graphics with Dynamic Frequency
CPU内蔵グラフィックスにもターボブーストと似た技術があります。Intel HD Graphics with Dynamic Frequencyと呼びます。CPU内蔵グラフィックスのクロック周波数を動的に高くし描画処理速度を上げます。電力、電流、温度の余裕分を分け合う
Intel HD Graphics with Dynamic Frequencyはターボブーストと関わってくる技術です。ターボブーストが発動していない、または発動中としてもCPUの電力、電流、温度に余裕がある場合、負荷に応じてCPU内蔵グラフィックスのクロック周波数を高くします。出典
・インテルR ターボ・ブースト・テクノロジーとは?- インテル
・ASCII.jp:何もかも変わった新CPU!? Core i7 10の疑問 (2/3)(2008/11/22更新記事)
・ASCII.jp:Core i5/3って何が違うの? 新CPUノートの素朴な疑問 (2/5)(2010/01/25更新記事)
・ASCII.jp:何もかも変わった新CPU!? Core i7 10の疑問 (2/3)(2008/11/22更新記事)
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