HDDの故障
最終更新日
2023年09月07日
HDDの故障とは
基礎
HDDの故障とは、HDDが正常に動作しなくなることです。原則的には故障すると正常にデータ読み書きできません。例外的に故障してもデータ読み書き可能の場合もあります。物理的に故障すると直すには修理が必要ですが、データ破損し故障した場合は修理しなくても直せる場合があります。HDDは故障しやすい
コンピューターが搭載するパーツの中で、HDDは故障しやすいです。内部に精密動作する部品が多く、衝撃や振動に弱いためです。衝撃を与えないように使用する、振動が発生しない場所で使用する等の心がけが必要です。昔と比べると今では故障しにくくなっており、HDDが最も故障しやすいとは言えません。故障しやすい部品
HDDに様々な部品がありますが、ヘッドとディスク(プラッター)が故障しやすいです。HDDによってディスク枚数が違いますが、その枚数が多いほどヘッドも多くなり、ヘッドとディスクの数が違うとHDDの故障率に違いが出るほどです。他の部品も故障するので、ヘッドとディスクの数が2倍になれば故障率が2倍にはなりませんが、1.5倍程度になります。昔と比べるとヘッドとディスクが故障しにくくなりましたので、ヘッドとディスクの数が多いHDDでも故障率をあまり気にする必要がありません。ヘッドとディスクが接触しても故障するとは限らない
ヘッドとディスク(プラッター)が一度でも接触すると故障につながるので厳禁と見聞きしますが、実際は接触しても故障するとは限りません。ヘッドがディスク上で浮いていますが、どうしても衝撃や振動で接触する場合があり、メーカーが接触が起きることを前提に設計しています。軽い接触であれば傷が付かない耐久性があります。強い接触があると傷が付き故障します。軽い接触でも同じ箇所に何度も接触があると傷が付き故障します。傷が付いても直ちに故障するとは限りません。傷が付いた箇所はデータ読み書き不能となるが、その箇所を自動的に使用しないようにて正常に動作し続けるのが可能な場合があります。ただし、傷が付いた箇所では読み込みできなくなりデータが破損します。
温度と故障率
異常な低温や高温の環境だと故障率が高まります。温度の条件が厳しくなく0〜60度の範囲内であれば故障率があまり変わりません。過酷な温度環境向けに設計されているHDDだと、-30〜90度の範囲内であれば故障率があまり変わりません。アクセス頻度と故障率
HDDはアクセス頻度が高いほど内部の部品が動作するので、劣化が進み故障しやすいように見えます。実際はアクセス頻度が高くても低くても故障率が同じです。故障率を気にせずにアクセス頻度が高い使い方をしても大丈夫です。HDDの故障の原因
最も多い故障原因が磁気ヘッドとプラッターの接触
データ復旧業者のワイ・イー・データによれば、HDDの故障の原因で最も多いのが磁気ヘッドとプラッターの接触です。割合が、磁気ヘッドとプラッターの接触は17%、磁気ヘッドの故障は14%、読み出しエラーは13%、電子部品の故障は8%、モーターの故障は5%、その他は43%です。出典
・無用な故障の回避がパソコンの寿命を延ばす第一歩(7ページ目) | 日経クロステック(xTECH)(2011/07/28公開記事)
初期不良
初期不良による故障
HDDに限らず他のPCパーツ等にも初期不良による故障があります。使い始め当初は故障率が高いですが、HDDの場合は使用開始後一ヶ月以内の故障率が高いです。1年間に1万台の内100台程度が故障する場合、使用開始後一ヶ月以内に50台程度が故障します。24時間365日稼働し続けた場合の話なので、使用時間によって話が変わります。販売HDDに初期不良が少ない理由
一般的に販売されているHDDの初期不良が少ないです。出荷前の試験で初期不良が発生した製品が取り除かれるためです。それでも完全に取り除けませんので購入後に初期不良が発生します。仮に試験で初期不良を完全に取り除けたとしても、輸送中の衝撃・振動や温湿度の変化で故障していたり早期に故障する初期不良があります。偶発故障
偶発的な故障
使用開始後一ヶ月も過ぎれば初期不良の心配がなくなりますが、寿命を迎えるまでに偶発的に故障する場合があります。衝撃・振動、異常な温度等、HDDに悪影響を与える要因がなくても偶発的に故障する場合があります。偶発故障期間
偶発的に故障する可能性がある期間は少なくとも10年はあります。昔は10年より短かったですが、技術進歩により寿命が延びています。10年を過ぎると寿命を迎え故障率が高まる可能性が高いです。物理障害、論理障害
物理障害とはHDD内部の部品が壊れたこと、論理障害とはHDDに記録されているデータが破損したことを意味します。どちらも正常にデータの読み書きができなくなりますが、論理障害であればフォーマットすると正常にデータ読み書きができるようになります。ただし、フォーマットすると保存データが消去されます。物理障害だとHDDの修理が必要ですが、ユーザー自信が修理を行うのが困難です。
論理障害であればフォーマットする前にデータ復旧ソフトウェアを利用しデータの復旧を試みることができます。物理障害だとユーザー自身がデータ復旧を行うのが困難です。データ復旧サービスを提供している専門業者でもデータの復旧が困難な場合があるほどです。
論理障害であればフォーマットする前にデータ復旧ソフトウェアを利用しデータの復旧を試みることができます。物理障害だとユーザー自身がデータ復旧を行うのが困難です。データ復旧サービスを提供している専門業者でもデータの復旧が困難な場合があるほどです。
不良セクター
不良セクターの原因
衝撃や振動で磁性体剥離が発生し、不良セクターになる場合があります。磁性体剥離とは、ディスク表面に傷が付くことです。データ記録に利用する磁性体が物理的損傷により消失するので、また使用できるようにするという意味での修復はできません。物理的損傷ではなくても、データが破損すると不良セクターになる場合があります。例えば、複数のソフトウェアが同じデータを同時に利用し、かつ同時にデータ書き込みをするとデータの整合性が取れなくなりデータが破損します。複数のソフトウェアがデータを同時利用できないようにする仕組みがありますが、ソフトウェアの不具合ににより同時利用できてしまう場合があります。
不良セクターの確認方法
HDDの不良セクターの有無や個数等を診断するソフトウェアを利用するとよいです。そのようなソフトウェアの一つに「CrystalDiskInfo」があります。スティクション
スティクションとは
スティクションとは、ヘッドがディスクに吸着してしまう物理障害です。ヘッド吸着型ヘッドクラッシュと呼ぶ場合もあります。HDD内部にはディスク(プラッター)と呼ぶデータ記録面があり、ディスク上をヘッドが移動しデータの読み書きを行います。ヘッドとディスクの間には非常に狭い隙間があり接触していませんが、何らかの原因でヘッドがディスクに張り付いてしまう場合があります。湿度が高いとヘッドとプラッターの間に水分が付着し、水の吸着力によりスティクションが発生しやすいです。
スティクション発覚のタイミング
ディスクが回転中であればヘッドが吸着できないので、ディスクが回転し始めるときにスティクションが発覚します。HDD内部を見てみないと断言できませんが、駆動音がせずモーターが回ってない様子だとスティクション発生の可能性が高いです。スティクションの異音
原則的にはスティクションが起きても異音が発生しません。例外的にモーターが回ろうとするが回れずにウッ、ヴッ、ジッ等と異音が発生する場合があります。それでも小さい異音であり、静かな環境で耳がHDDに接触するほど近づけると聞こえる場合があるほどです。スティクションの原因
昔はHDDへの電力供給が突然断たれ正常に電源を切れないと、ヘッドがディスク上の外に退避できずスティクションが発生する場合がありました。今ではそうなってもヘッドを退避可能なので発生しません。ディスク外ではなくディスクの最内周にヘッド退避用の場所を設けているHDDもあります。この場所にはヘッドとディスクの吸着を防ぐオイルによる表面処理があります。このオイルが経年劣化し吸着を防ぐ効果が弱まり、長期間未使用だとスティクションが発生する場合があります。ディスクが高速回転するので、長期間使用すると遠心力によりオイルが外周の方へ移動してしまい、スティクションが発生しやすくなる場合もあります。HDDを長期間保管する場合、定期的に電源を入れて動作させておくのがよい理由の一つが、スティクション発生を防ぐためです。
スティクションの対処法
横方向に衝撃を加えるとヘッドとディスクの吸着が解消する場合がありますが、ヘッドやディスク等が破損する恐れがあるので推奨できません。HDDのデータ復旧を専門とする業者に依頼するのが望ましいです。もし衝撃を与えて解消した場合、スティクションが発生しやすい状態に変わりがないので、別のストレージにデータを移動させるとよいです。次にスティクションが発生した場合、同様に解消できるとは限りません。
ファームウェア障害
ファームウェア障害とは、ファームウェアが破損し正常に動作しなくなることです。ファームウェアがHDDの制御をするので、破損すると正しく制御できずデータ読み書きできません。
ファームウェアは基板のチップとディスクに記録されています。チップの故障、ディスク上のファームウェア記録部分の物理的破損、ファームウェア更新時にエラー発生等が原因で破損する場合があります。
ファームウェアは基板のチップとディスクに記録されています。チップの故障、ディスク上のファームウェア記録部分の物理的破損、ファームウェア更新時にエラー発生等が原因で破損する場合があります。
故障予兆
エラー
HDDでエラーが発生する場合、故障予兆の可能性があります。既に故障状態に該当する場合もあります。エラーが発生すると、データ読み書き速度が異常に遅くなる、OSやアプリケーションの動作速度が異常に遅くなる等の症状が見られます。稀にエラーが発生する場合、故障ではない可能性が高いです。HDDの負荷が高すぎるときや、データ転送に使用中のインターフェースに何らかのトラブルが発生中のときに、HDDでエラーが発生する場合があるためです。エラー確認方法
HDDでエラー発生の有無は、Windowsのイベント・ログを利用すると確認できます。そこでエラー発生を確認した場合、BIOSのHDD診断機能(BIOSによってはない)を利用するか、HDDメーカーが提供する(メーカーによっては提供していない)HDDを診断できるソフトウェアを利用するとよいです。Windowsのチェックディスクを利用する方法もあります。これらでもエラー発生を確認した場合、短期間の内にデータ読み書きできなくなるほどの故障が発生する可能性が高いので、必要なデータを別のストレージへ移行したり、HDDを交換するとよいです。S.M.A.R.T.(スマート)による故障予兆検知
S.M.A.R.T.(スマート)と呼ぶ自己診断機能を利用し、HDDの故障予兆を検知する試みがあります。高い精度で検知できれば便利です。現時点では検知できません(2021/12/01時点)。S.M.A.R.T.を利用するHDD故障予兆検知サービスやソフトウェアを提供しているメーカー等が存在しますが、役に立ちません。もし役立つのであれば、家庭でHDDを使用するユーザーにも普及しているはずですが、役に立ちませんので普及していません。
HDDの異音
キューンキューン
キューンキューンと異音が発生し正常に動作しない場合、故障の可能性があります。ディスク(プラッター)が既定の回転数まで上がらない故障があり、再試行するのでキューンキューンと異音が発生します。故障ではなく電力供給不足の可能性もあります。内蔵HDDでは電源ユニットの故障、搭載HDDが多すぎる等が原因で電力供給が不足する場合があります。外付けHDDではインターフェースが供給する電力が少なすぎる場合があります。他のパソコンで使用すると正常に動作する場合、少なくともHDDの故障ではありません。
アイドル時に突然ジージー
アイドル時に突然ジージーと音が鳴る場合、セクター代替処理を実行中の可能性があります。データ読み書きするとエラーが発生する場合があるセクターを不良セクターとし、そのセクターに記録されているデータを別のセクターへ移動しています。HDDではどうしても不良セクターが発生するものですので、故障の危険性があるとは限りません。頻繁に音が発生している場合は、頻繁にセクター代替処理が実行されている可能性があり、故障する危険性が高いです。アイドル時に猫の鳴き声のような音
アイドル時にヌァーンと猫の鳴き声のような音が発生する場合があります。サーマルキャリブレーション実行時に発生する音であり故障ではありません。HDDによっては猫の鳴き声のようには聞こえない音が発生する場合があります。サーマルキャリブレーションとは、熱によって微小に変化するディスクに合わせてヘッドが動作するように補正する処理です。ディスクの変化が微小でもヘッドが精密動作するため、定期的にサーマルキャリブレーションが必要です。カッコン
カッコンと異音が発生する場合、ヘッドがストッパーに当たっている可能性が高いです。ストッパーに当たるところまで可動できますが、通常は当たりません。何らかの原因で当たるとカッコンと異音が発生します。HDDによって音が違い、カタカタ、カチカチ、カンカン、コツコツ等と聞こえる場合もあります。ヘッドが故障等の可能性がありますが、ファームウェア障害が原因の場合が多いです。ファームウェアに障害が発生しヘッドを正常に制御できなくなり、ストッパーに当たる場合があります。
ピロピロ
ピロピロと電子音のような音がする場合、ヘッドがディスクに接触しており故障の可能性があります。高速回転するディスクに針のようなヘッドの先が接触することで独特な異音が発生します。接触具合によってはカリカリ、ガリガリ、キュルキュルと異音が発生する場合もあります。使用し続けるとディスクの物理的破損が進み復旧不可能のデータが増えていきます。直ちに使用を中止し、データ復旧業者に依頼するとよいです。依頼しないがデータを読み込める場合、すぐに他のストレージへ移動するとよいです。
使用環境
稼働中に動かしても故障しない
HDDを稼働中に動かすと故障すると見聞きしますが、故障しません。HDD搭載デスクトップパソコンや外付けHDD等を動かすとき、電源を切った後に行うとよいと見聞きしますが、そこまでする必要がありません。HDDは稼働中に動かされることを前提に設計されています。衝撃や振動で故障する場合がありますが、机の上から落としても故障する場合が少なく、動かした程度で故障するわけがありません。ちょっとやそっとの衝撃で稼働中のHDDが故障しませんので、普通に動かす程度なら故障しません。もはや衝撃と言えるほど素早く動かし始めたり動かし終える場合、故障する可能性が出てきます。
動作中の衝撃による故障
HDD動作中に衝撃を与えると故障する場合があります。高速回転するディスク上をヘッドが動いており、衝撃によりヘッドがディスクに接触し傷が付くと故障する場合があります。特に天板に衝撃を与えると接触しやすいです。衝撃が強いほど故障する可能性が高いです。極端な話ですが、HDDが粉々になるほどの衝撃を与えたら確実に故障します。HDDが衝撃に弱いと言っても、HDDに衝撃対策があるので簡単には故障しません。100%故障を防げるわけではありませんが、何も衝撃対策がないよりは圧倒的に故障しにくくなります。例えば、衝撃を検知した瞬間に素早くヘッドがディスク外に退避します。HDDによってはディスク最内周に退避しますが、ディスク外に退避と比べると耐衝撃性が劣ります。HDD搭載ノートパソコンを机の上から床へ落としてしまったり、床に設置したHDD搭載デスクトップパソコンに足をぶつけてしまったり等、これくらいの衝撃であれば故障する可能性が低いです。
衝撃を受けたHDDが早期故障する理由
HDDが衝撃を受けるとヘッドとディスク(プラッター)が接触し、磁性体剥離が発生する場合があります。発生時点で故障する場合もあれば、直ちに故障しない場合もあります。もし磁性体剥離が発生した場合、ヘッドが損傷しており他の箇所でも磁性体剥離が発生し、HDDが早期故障する恐れがあります。早期故障と言っても1〜2週間や1〜2か月経過後に磁性体剥離の影響が出て故障する場合もあれば、1〜2年経過後に故障する場合もあります。当初はヘッドが損傷していなくても、剥離した磁性体が高速回転するディスク表面にあり、それと衝突しヘッドが損傷する場合があります。磁性体剥離が発生すると不良セクターになるので、不良セクターの有無や数を確認し増加傾向が見られる場合、磁性体剥離発生の可能性が高いです。エラーが発生しやすくなるので、エラー発生数の確認でもよいです。
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