USB Type-Cケーブルの選び方

最終更新日 2023年09月07日

USB Type-Cケーブルの選び方

基礎

USB Type-Cケーブルの選び方とは、多くのUSB Type-Cケーブルの中から目的や基準や条件にかなうものを選択する方法です。エラビカタと読みます。

USB Type-Cケーブルの選び方が難しい理由

USB Type-Cケーブルの選び方が難しいです。対応する最大データ転送速度や、対応するUSB PDの最大電力や、DisplayPort Alternate Modeに対応か否か等が、製品によって異なるためです。

全規格対応かつ認証品

USB Type-Cケーブルには全ての規格に対応の製品があります。実際は規格に従っていないリスクも考慮し、全規格対応かつ認証品を選ぶと万全です。しかし、価格が高いです。用途によっては良くありません。例えば、スマートフォンの充電のみに使うなら、全規格対応かつ認証品ではなくても良いです。

確認が必要な仕様

USB Type-Cケーブルを選ぶ際に、確認が必要な仕様がユーザーによって異なりますが、対応する最大データ転送速度、対応するUSB PDの最大電力、対応するAlternate Modeの種類、以上の仕様の確認が必要です。使用目的が限られている場合、確認が必要な仕様が減ります。例えば、外付けSSDで使う場合、対応する最大データ転送速度を確認します。USB PD充電器で使う場合、対応するUSB PDの最大電力を確認します。

USB Type-Cケーブルの最大データ転送速度

名称に最大データ転送速度を含む場合あり

USB Type-Cケーブルの名称に、対応する最大データ転送速度を含める場合があります。このような名称の場合、対応する最大データ転送速度がわかりやすいです。

USB Type-Cケーブル
の種類
最大データ
転送速度
USB 480Mbps Type-Cケーブル 480Mbps
USB 5Gbps Type-Cケーブル 5Gbps
USB 10Gbps Type-Cケーブル 10Gbps
USB 20Gbps Type-Cケーブル 20Gbps
USB 40Gbps Type-Cケーブル 40Gbps
USB 80Gbps Type-Cケーブル 80Gbps

必要な速度と同等以上を選ぶ

必要な最大データ転送速度と同等以上に対応のUSB Type-Cケーブルを選びます。例えば20Gbpsが必要なら、20Gbps以上に対応のUSB Type-Cケーブルを選びます。20Gbps未満に対応のUSB Type-Cケーブル、例えばUSB 480Mbps Type-Cケーブルだと、20Gbps対応USB機器を使うとしても、最大データ転送速度が480Mbpsになります。

Thunderbolt 4ケーブル

USBは規格の複雑化が進んでおり、USB Type-Cケーブルを選ぶのが難しくなっています。

あらゆる用途に使用できるUSB Type-Cケーブルを選びたい場合、Thunderbolt 4ケーブルを選ぶとよいです。(2021/09/05時点)

Thunderbolt 4ケーブルは端子にUSB Type-Cを採用しており、USB4対応USB Type-Cケーブルが対応可能な全てのものに対応しています。

USB4対応USB Type-Cケーブルを選ぶ場合、対応している最大速度等の確認が必要ですが、Thunderbolt 4ケーブルであれば確認が不要です。

USB4より前の古いUSB規格、Thunderbolt 4より古いThunderbolt規格にも対応できます。

Thunderbolt 4ケーブルを選ぶと決めた場合、仕様等で何に対応しているのか確認が不要で、Thunderbolt 4ケーブルであることを確認して選べばよいです。

ただし、Thunderbolt 4ケーブルはコストがかかるので価格が高く、硬くて太いデメリットがあります。

USB PDを利用した充電のみに使用する等、特定の用途に使用するのでThunderbolt 4ケーブルではなくてもよく価格が安いケーブルを選びたい場合、Thunderbolt 4ケーブル以外を選ぶとよいです。

USB Type-Cケーブル、USB機器

USB機器の仕様確認

USB Type-Cケーブルを選ぶ前に、USB機器の仕様の確認が必要です。適切なUSB Type-Cケーブルを選ぶために必要な作業です。

USB機器のコネクター

USB Type-Cケーブルを接続するUSB機器のコネクターがUSB Type-Cかどうか確認します。USB Type-C以外のコネクターの場合、このコネクターに合わせてUSB Type-Cケーブル以外のUSBケーブルを選びます。

USB機器のUSBバージョン

USB機器が対応するUSBバージョンを確認します。例えば、USB 3.x対応の場合、USB 3.x Type-Cケーブルを選びます。上位バージョン対応のUSB Type-Cケーブルを、下位バージョン対応のUSB Type-Cケーブルとしも使用できるため、USB4 Type-Cケーブルを選ぶでも良いです。ただし、USB4 Type-Cケーブルにアクティブタイプとパッシブタイプがあり、アクティブタイプはUSB 3.x Type-Cケーブルとしては使用できません。パッシブタイプはUSB 3.x Type-Cケーブルとしても使用できます。また、基本的に上位バージョンほどUSB Type-Cケーブルの価格が高いです。

USB機器のUSB PD

USB機器がUSB PD対応であり、USB PDを使用して電力を伝送する場合、USB機器が対応する最大電力を確認します。例えば、80W対応の場合、100W以上に対応のUSB Type-Cケーブルを選びます。

USB機器のDisplayPort Alternate Mode

USB機器がDisplayPort Alternate Mode対応かどうか確認します。DisplayPort Alternate Mode対応であり、かつ映像出力する場合、DisplayPort Alternate Modeに対応するUSB Type-Cケーブルを選びます。

USB機器同士の距離

USB Type-Cケーブルで接続するUSB機器同士の距離を確認します。この距離でも接続できる長さのUSB Type-Cケーブルを選びます。

USB Type-Cケーブルのコネクター

必要に応じてUSB Type-C変換ケーブルを選ぶ

USB Type-Cケーブルのコネクターの両方がUSB Type-Cです。必要に応じて片方はUSB Type-C、もう片方はUSB Type-C以外のコネクターのUSB Type-C変換ケーブルを選びます。例えばパソコンのUSB Type-C、USBメモリーのUSB Type-A、両者を接続する場合、 USB Type-C to USB Type-A変換ケーブル を選びます。

片方はUSB Type-C以外のUSBコネクター

片方はUSB Type-C、もう片方はUSB Type-C以外のUSBコネクター、以上に該当するUSB Type-C変換ケーブルを選ぶ場合、USBコネクターの種類を間違えないように選びます。例えば、パソコンのUSB Type-C、周辺機器のUSB Type-B、両者を接続するために使う場合、片方はUSB Type-C、もう片方はUSB Type-Bの USB Type-C to USB Type-B変換ケーブル を選びます。必要に応じて対応するUSBのバージョンも確認して選びます。片方はUSB Type-Cではないため、USB 3.2 Gen 2以前に対応できます。USB 3.2 Gen 2x2以降に対応できません。

USB Type-C変換ケーブルの種類

下記は、USB Type-Cから別のコネクターに変換するケーブルの種類です。主な種類に限ります。

USB Type-C to USB Type-A変換ケーブル
USB Type-C to USB Type-B変換ケーブル
USB Type-C to USB Micro-B変換ケーブル
USB Type-C to DisplayPort変換ケーブル
USB Type-C to HDMI変換ケーブル
USB Type-C to Lightning変換ケーブル

USB Type-CケーブルのUSBバージョン

USB 2.0

USB Type-CケーブルがUSB 3.x以降に対応とは限りません。USB 2.0に対応の場合があります。USB 2.0に対応するUSB Type-Cケーブルを、 USB 2.0 Type-Cケーブル と呼ぶ場合があります。

eMarker

簡単に言うとeMarkerとはUSB Type-Cケーブルに関する情報が記録されているICチップであり、例えばUSB Type-CケーブルがUSB PDに対応しているか、対応している場合は電流を何Aまで流せるか等の情報が記録されています。

USB Type-Cケーブルの外見を確認しても、eMarkerの有無がわかりません。

規格

USB 3.1

USB Type-Cケーブルは、USB 3.1 Gen 1に対応の製品もあれば、USB 3.1 Gen 2に対応の製品もあります。

そのため、USB 3.1対応Type-Cケーブルは、USB 3.1 Gen 2に対応とは限りません。

USB 3.1 Gen 1の最大速度は5Gbps、USB 3.1 Gen 2の最大速度は10Gbpsです。

USB 3.2

USB 3.2はGen(世代)やレーン数によって最大速度が違い、USB 3.2 Gen 1x1(5Gbps)、USB 3.2 Gen 1x2(10Gbps)、USB 3.2 Gen 2x1(10Gbps)、USB 3.2 Gen 2x2(20Gbps)があります。

x1やx2がレーン数ですが、USB Type-CケーブルだとUSB 3.2の2レーンオペレーション(Two-lane operation)に対応できます。

USB Type-Cケーブルではないと2レーンに対応できませんので、2レーンによる最大速度でデータ通信する場合、USB Type-Cケーブルが必要です。

USB Type-Cよりも新しいUSB端子が登場した場合、USB Type-C以外のUSB端子でもUSB 3.2の2レーンに対応できる可能性がありますが、今のところUSB Type-Cのみです。(2021/09/03時点)

USB 3.1 Gen 2(10Gbps)に対応の製品は、USB 3.2 Gen 2x2(20Gbps)にも対応できます。

USB4

USB4を利用するには、USB4対応のUSB Type-Cケーブルを選ぶ必要があります。

最大速度が20GbpsとなるUSB4 Gen 3x1、最大速度が40GbpsとなるUSB4 Gen 3x2で、USB4対応USB Type-Cケーブルが必要です。

USB4対応USB Type-Cケーブルの端子部分には、数字の20か40が印字されており、対応している最大速度(20Gbpsか40Gbps)を示します。

USB 3.2 Gen 2x1対応の製品は、USB4 Gen 2x1、USB4 Gen 2x2にも対応できます。

Thunderbolt

Thunderbolt 3

Thunderboltにはバージョンがあり、2015年に登場したThunderbolt 3から端子にUSB Type-Cを採用しました。

USB Type-Cケーブルは、Thunderbolt 3対応とは限りません。

USB Type-CケーブルがThunderbolt 3対応か非対応ではなく、一般的にはThunderbolt 3ケーブルとUSB Type-Cケーブルが別物として扱います。

Thunderbolt 3ケーブルはUSB Type-Cケーブルとしても使用できますが、USB Type-CケーブルはThunderbolt 3ケーブルとしては使用できません。

Thunderbolt 3ケーブルの端子部分には、稲妻マークと数字の3が印字されています。

Thunderbolt 4

Thunderbolt 3の後継となるThunderbolt 4が登場しましたが、Thunderbolt 4でも端子にUSB Type-Cを採用しています。

Thunderbolt 3と同じように、一般的にはThunderbolt 4ケーブルとUSB Type-Cケーブルが別物として扱います。

Thunderbolt 4ケーブルの端子部分には、稲妻マークと数字の4が印字されています。

Thunderbolt 4ケーブルは、USB Type-Cケーブルが対応可能なもの全てに対応しています。(2021/08/10時点)

最大速度40Gbps対応、USB PD対応かつ最大20V/5A(100W)対応、DisplayPort Alternate Mode対応かつ最大解像度4K×2、8K×1対応です。

USB Type-CケーブルではUSB4対応でも、最大速度40Gbps対応とは限らず20Gbps対応の場合があり、USB PD対応だが最大20V/5A(100W)対応とは限らず最大20V/3A(60W)対応の場合があり、DisplayPort Alternate Mode対応だが最大解像度4K×2、8K×1対応とは限りません。

USB Type-Cケーブル、Alternate Mode

対応

DisplayPort Alternate Mode等を利用するには、Alternate Mode対応USB Type-Cケーブルを選ぶ必要があります。

例えば、DisplayPort Alternate Modeを利用するには、DisplayPort Alternate Mode対応USB Type-Cケーブルを選ぶ必要があります。

USB Type-Cケーブルは、DisplayPort Alternate Modeに対応しているとは限りません。

ちなみに、パソコン等が搭載しているUSB Type-Cも、DisplayPort Alternate Modeに対応しているとは限りません。

eMarker

USB Type-CケーブルがAlternate Modeに対応するにはeMarkerの実装が必要であり、eMarkerにAlternate Modeに対応しているか示す情報が記録されており、eMarkerが実装されていてもAlternate Modeに対応しているとは限りません。

USB 2.0 Type-CケーブルはAlternate Mode非対応

USB Type-CケーブルがAlternate Modeに対応するには、USB 3.x以降に対応が必要です。USB 2.0対応だとAlternate Modeに対応できません。USB 3.x以降に対応のUSB Type-Cケーブルには、USB 3.x以降用の信号線がありますが、この信号線をAlternate Modeで使用するためです。

必要に応じてUSB4対応を選ぶ

Alternate Mode対応に限らずUSB4対応も必要の場合、USB4対応のUSB Type-Cケーブルを選びます。Alternate Mode対応は必要だがUSB4対応は不要なら、USB 3.x対応でも良いです。

USB Type-Cケーブル、USB PD

USB PD非対応のUSB Type-Cケーブル

USB Type-Cケーブルは必ずUSB PD対応です。しかし、USB PD非対応としているUSB Type-Cケーブルもあります。メーカーが動作検証しておらず、USB PD非対応扱いとしているためです。それでもUSB PDを利用する電力伝送に使えますが、安全性重視ならUSB PD対応としているUSB Type-Cケーブルを選ぶと良いです。

対応最大電力の違いで付けた名称

対応するUSB PDの最大電力がわかるように、USB Type-Cケーブルに名称を付ける場合があります。

対応最大電力 USB Type-Cケーブルの名称
60W
(20V/3A)
60Wケーブル
3Aケーブル
100W
(20V/5A)
100Wケーブル
5Aケーブル
240W
(48V/5A)
240Wケーブル
EPRケーブル

ボトルネックにならないように選ぶ

USB PDを利用し60W超えの電力を伝送するには、100Wケーブルや240Wケーブルが必要です。100W超えの電力を伝送するには、240Wケーブルが必要です。例えば、60W超えの電力を出力できる機器でも、60Wケーブルを使うとボトルネックになり、最大出力が60Wまでになります。例えば、USB PD充電器の最大出力が100W、ノートパソコンの要求電力が100Wとします。60Wケーブルを使うと、最大出力が60Wまでになります。

USB PD利用のみならUSB 2.0対応で良い

USB PDを利用する電力伝送のためにUSB Type-Cケーブルを選ぶなら、最大データ転送速度が480Mbps対応で良いです。USBのバージョンだとUSB 2.0対応です。対応する最大データ転送速度が速いほど、価格が高い傾向があるためです。480Mbps対応だと遅く、価格が安いです。

USBケーブルの長さ

USB Type-Cケーブル最大長の目安

下表は、各バージョンの USB Type-Cケーブル の最大長の目安です。目安のため、目安より長くても規格に従っていないとなりません。

バージョン 最大速度 ケーブル最大長
USB 2.0 480Mbps 4m
USB 3.x Gen 1x1 5Gbps 2m
USB 3.x Gen 2x1 10Gbps 1m
USB 3.x Gen 2x2 20Gbps
USB4 Gen 2x2 20Gbps 2m
USB4 Gen 3x2
40Gbps 0.8m
USB4 Gen 4x2 80Gbps

最大長の目安以下が無難

ほとんどのUSB Type-Cケーブルの長さが、最大長の目安以下です。最大長の目安を超える長さのUSB Type-Cケーブルもありますが、本来の最大データ転送速度を発揮しない可能性が出てくるため、最大長の目安以下のUSB Type-Cケーブルを選ぶのが無難です。

出典

【特集】ケーブル選びに失敗しないための「USB Type-C」基礎知識 - PC Watch(2017/08/11公開記事)
失敗しない「USBケーブル」の選び方 形状から通信規格まで徹底解説!(5/5 ページ) - ITmedia Mobile(2023/02/17公開記事)
Type-Cケーブル選びは激ムズ、「速度が出ない」「映像出力ができない」で混乱 | 日経クロステック(xTECH)(2023/04/10公開記事)
Type-Cケーブル選びは激ムズ、「速度が出ない」「映像出力ができない」で混乱(2ページ目) | 日経クロステック(xTECH)(2023/04/10公開記事)
Type-Cケーブル選びは激ムズ、「速度が出ない」「映像出力ができない」で混乱(3ページ目) | 日経クロステック(xTECH)(2023/04/10公開記事)


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