タブレット PC レビュー「Venue 8 Pro」

最終更新日 2023年09月07日

優れた生産性を実現するコンパクトなタブレット PC

2014年に入って、ますますタブレット PC の人気が高まってきています。タブレット PC には、様々なサイズがありますが、画面サイズで言うと主流は7インチ型と10インチ型です。

サイズが小さい方が軽い事もあり、持ち運びがしやすいですが、機能と性能が大きく制限されてしまうため、生産性が落ちてしまうデメリットが生じます。

そのような中、デルでは優れた生産性を実現するコンパクトなタブレット PC が登場しました。それは、画面サイズが8インチ型の Venue 8 Pro です。

Venue 8 Pro の主な仕様
OS Windows 8.1 32ビット
画面サイズ 8インチ型
CPU Atom Z3740D
メインメモリー 2GB シングルチャネル
ストレージ eMMC 64GB
光学ドライブ なし
グラフィックス インテル HD グラフィックス
バッテリー駆動時間 10時間
価格 3万9980円(2014年2月26日時点)
※仕様、価格は 2014年2月26日 時点のものであり、変更される場合があります。
※付属する Office の違い、3G SIMフリー対応非対応の違いで以下ように分けて販売されています。3G SIMフリー対応のモデルは、色がブラックのみとなっています。
・Venue 8 Pro (64G) 3G SIMフリー Office Home&Business付 ブラック(価格4万9980円)
・Venue 8 Pro (64G) Office Home&Business付 ブラック(価格4万1980円)
・Venue 8 Pro (64G) Office Home&Business付 レッド(価格4万1980円)
・Venue 8 Pro (64G) Office Personal付 ブラック(価格3万9980円)
・Venue 8 Pro (64G) Office Personal付 レッド(価格3万9980円)

片手で持ち運びしやすいサイズに詰まった様々な魅力

優れた生産性を実現する液晶ディスプレイ

Venue 8 Pro は、画面サイズが8インチ型の液晶ディスプレイを搭載しており、片手で持ち運べるサイズである事を考慮すれば、十分広く感じる画面の大きさです。ただ、さすがに画面サイズがここまで小さくなってくると、操作がしにくい場面が出てくるのは否定できません。

タッチ操作を前提としたウェブサイトやソフトウェアであれば、指先のタッチ反応が良く精度が高いため、快適な操作ができますが、タブレット PC とは言え OS として Windows を使うなら、マウスやキーボード操作を前提としたウェブサイトやソフトウェアを使用する機会がありますので、ペン型の入力装置スタイラスペンは必須と言って良さそうです。

デルの公式サイトでは、Venue 8 Pro の製品画像や製品特長にスタイラスペンが見られ、おすすめのアクセサリとして紹介されていますが、個人的には Venue 8 Pro を使うならスタイラスペンをぜひ用意して併用したいです。

Venue 8 Pro が搭載する液晶ディスプレイは、IPS 方式を採用しており、視野角の広さに優れています。画面を斜めから見ても十分綺麗に見えるため、数人が周囲に集まって同時に画面を見る事も可能です。

解像度は 1280×800 であり、8インチ型の画面サイズのタブレット PC で見れば標準的な解像度です。さらに解像度が高い方が、表示領域を広くできますが、アイコンや文字等のサイズがさらに小さくなってしまう事を考えると、1280×800 で丁度良く感じます。また、特に粗さは感じる事は無く、動画や画像を見ても十分鮮明な画質です。

前面と背面にはそれぞれカメラがあり、鮮明な画質が得られる液晶ディスプレイと併用して、前面のカメラでビデオチャットや背面のカメラで写真撮影等ができます。

Venue 8 Pro 正面
Venue 8 Pro 正面

持ちやすく高級感あるデザイン

Venue 8 Pro には色がブラックのモデルと、レッドのモデルがあり、今回使用したのは色がレッドのモデルです。背面全体にわたって深みのある赤色で覆われており、金属のような質感と相まって高級感があります。

また、指紋のように同心円状の溝があり、滑れにくさを感じ持ちやすいです。持ち上げると剛性感があり、たわむような感触はしません。これなら、安心して外出先に持ち運べます。
Venue 8 Pro 背面
Venue 8 Pro 背面

薄さと重さ

Venue 8 Pro の薄さは 9mm で、重さは 395g です。片手で操作しやすい薄さと重さで、外出先にも気軽に持って行きやすくなっています。

以下のように約 200 ページの単行本を並べてみましたが、それよりも半分くらいでかなり薄く、バッグにすっきり入る薄さです。

Venue 8 Pro 薄さ
Venue 8 Pro 薄さ

Office が付いてても安い

Venue 8 Pro は、Microsoft 社の Office Personal 2013 が標準で付属していながら、価格が3万9980円です。ショップによって価格は異なりますが、付属ありかなしを選べる場合、付属ありだと価格が約2万円上がりますので、Venue 8 Pro の価格には驚きです。

約2万円を引いた価格が Office なしの Venue 8 Pro の価格かもしれませんが、他のメーカーの Venue 8 Pro と同等な機能と性能で Office なしの製品の価格を見ると考えいにくいです。もしかしたら、メーカーがモデルに標準で Office を付属させるなら Microsoft 社は安く売ってくれるのかもしれません。(あくまで私の想像です。)

ちなみに、Venue 8 Pro には、Office Home and Business 2013 が付属するモデルもあり、こちらは価格が4万1980円となります。2000円上がるだけですので、使用用途に応じて選ぶ必要があっても、それほど価格が上昇しません。また、Office Home and Business 2013 が付属して、さらに 3G SIMフリー 対応のモデルもあり、こちらの価格は4万9980円です。(今回使用したモデルは、3G SIMフリー非対応)

Bluetooth 対応でノートパソコンのような生産性を実現

Venue 8 Pro は、他の周辺機器とワイヤレス接続が可能となる Bluetooth に対応しています。Bluetooth 対応のマウスとキーボードがあればノートパソコンのように使えますし、Bluetooth 対応のスピーカー等を用意すれば使い方の幅が広がります。

Miracast 対応で外部ディスプレイへ出力

Venue 8 Pro は、ワイヤレスで外部ディスプレイへの出力が可能となる Miracast に対応しています。Miracast 対応のディスプレイがあれば、映像や画像、プレゼンテーション等を外部ディスプレイで再生できます。

ワイヤレスのせいかコンマ何秒かの遅れは出ますが、大画面の外部ディスプレイで作業する事も可能となり、マウスやキーボードも併用すれば、ノートパソコンやデスクトップパソコンのような生産性を実現できます。

充実したオプション

Venue 8 Pro には、さらに使いやすくなるオプションがそろっています。上記で一度触れましたが、オプションとして用意されているスタイラスペンがあれば、指でのタッチ操作がしにくい場面で活躍しますし、他に手書きメモをデジタルメモに変換するといった使い方が可能となります。

オプションには、ワイヤレスで使用できる超薄型キーボードもあり、2つ折りタブレットケースとしても使用できるようになっています。また、カバーは Venue 8 Pro のスタンドとしても使用できるようになっており、ノートパソコンのような生産性を実現できます。スタイラスホルダー付きですので、スタイラスペンを使わない時はホルダーに収納しておけば、スタイラスペンの紛失のリスクを減らせそうです。

主要 PC パーツ構成

CPU

Venue 8 Pro が搭載する CPU は、インテル社の Atom Z3740D です。Atom Z3740D の主な仕様は、コア数4、スレッド数4、動作周波数 1.33GHz、ターボ・ブースト利用時の最大周波数 1.83GHz となります。

主にタブレット PC 向けの CPU であり、デスクトップパソコンやノートパソコン向けの CPU と比べると性能は低いですが、低消費電力、低発熱に優れています。

メインメモリー

Venue 8 Pro が搭載するメインメモリーの容量は 2GB です。多数のソフトウェアを同時起動したり、メインメモリー容量を大きく使用するソフトウェアを起動すると、容量 2GB では厳しいですが、Venue 8 Pro のような小型タブレット PC は、そのような使い方に向いたパソコンではないため、容量 2GB もあれば十分です。

ストレージ

Venue 8 Pro が搭載するストレージは、eMMC で容量は 64GB です。eMMC を搭載するパソコンは見慣れませんが、eMMC は SSD と同様にフラッシュメモリーを応用した記憶媒体です。SSD と比べるとデータ転送速度が劣りますが、消費電力の低さやサイズの小ささで優れており、Venue 8 Pro のような小型パソコンに合う記憶媒体です。

容量 64GB は少ない印象を受けますが、マイクロ SD カードに対応したメモリーカードスロットがありますので、簡単にストレージ容量を拡張できます。

光学ドライブ

Venue 8 Pro は、他のタブレット PC と同様に光学ドライブを搭載していません。

グラフィックス

Venue 8 Pro が使用するビデオチップは、CPU の Atom Z3740D の統合ビデオチップ「インテル HD グラフィックス」です。Atom Z3740D は、Atom Z3000 シリーズに含まれる製品であり、その前シリーズの Atom Z2000 シリーズでは、イマジネーションテクノロジーズ社の PowerVR グラフィックス を搭載していました。

Atom Z3740D では、Atom Z3000 シリーズより搭載される事になったインテル HD グラフィックスによって、大幅なグラフィックス性能の向上が実現しています。

外部インターフェース

上面(縦置きの場合)

上面には、ヘッドフォン出力/マイク入力兼用端子があります。他に Windows ボタンがあります。

Venue 8 Pro 上面(縦置きの場合)
Venue 8 Pro 上面(縦置きの場合)

下面(縦置きの場合)

下面には外部インターフェースは無く、スピーカーがあります。

Venue 8 Pro 下面(縦置きの場合)
Venue 8 Pro 下面(縦置きの場合)

左側面(縦置きの場合)

左側面には、外部インターフェースは無く、他に何もありません。

Venue 8 Pro 左側面(縦置きの場合)
Venue 8 Pro 左側面(縦置きの場合)

右側面(縦置きの場合)

右側面には、マイクロ USB、メモリーカードスロット(マイクロ SD カード対応)があります。他に電源ボタン、音声ボリューム調整ボタン、マイクがあります。マイクロ USB があるので、USB 接続可能な周辺機器が使えますが、AC アダプタと接続する場合にも使います。

Venue 8 Pro 右側面(縦置きの場合)
Venue 8 Pro 右側面(縦置きの場合)

Venue 8 Pro の実力

Atom 搭載タブレット PC に対する印象が変わった

インテル社の CPU である Atom を搭載するパソコンは、2008年頃の低価格ミニノートパソコンで大きく知名度が上がった記憶がありますが、値段相応の性能であったという記憶もあります。

あれから何年か経ち、Atom を搭載するタブレット PC が登場し続け、CPU の進化を感じましたが、他のメーカーの CPU を搭載する様々なタブレット端末と比べると出遅れ感があり、Atom 搭載タブレット PC で Windows を快適に使用するのは難しい印象を持っていました

しかし、今回大きく性能が向上した Atom を搭載する Venue 8 Pro を使用して、かなり印象が変わりました。ウェブブラウザやオフィスソフトウェア等、パソコンに高い負荷がかからない使い方であれば十分快適に使用できる性能であり、あらゆるゲームタイトルをプレイして確認した訳ではありませんが、気軽にプレイできるブラウザゲームも快適にプレイできます。

ただし、一部のゲームタイトルで複雑な描画処理が発生しているようなシーンでは、やや表示にもたつくのが見られましたが、ゲームのプレイに支障をきたすほどではありません。

CPU に高い負荷がかかる動作再生でも心配無用の高いパフォーマンスを発揮し、フルハイビジョンの動画でもスムーズに再生できる性能です。

それほど期間を経ていない一世代前の Atom を搭載するタブレット PC を使った事があるユーザーでも、Atom を搭載するタブレット PC に対する見方が間違いなく変わる性能だと思います。

Miracast があれば映像出力端子なしでも良い

Miracast は、OS の Android を搭載するスマートフォンやタブレット端末で普及が進みつつあります。Windows では Windows 8.1 から Miracast に対応した事もあり、Windows を搭載するタブレット PC ではまだ馴染みがありませんが、今回 Venue 8 Pro を使って、Windows では初めて Miracast を使用しましたが十分実用的です。

ワイヤレスのせいか、Venue 8 Pro の画面と Miracast による出力画面を比較すると、コンマ何秒かの遅れが見られますが、わずかな遅れが問題とならなければ十分便利に使えます。動画を再生しても実に滑らかに綺麗に表示できますので、動画や画像等のコンテンツを広い画面で複数の人が集まって視聴できます。

また、自宅では外部ディスプレイを使って作業すれば、生産性を上げる事もできます。Venue 8 Pro で Miracast を使う前までは、ミニ HDMI 等の映像出力端子が欲しいと思うかもしれないと予想してましたが、今回 Miracast 使ってみて映像出力端子が無くても Miracast が使えれば十分実用的に外部ディスプレイへ出力できる事を実感しました。

バッテリー駆動時間

Venue 8 Pro のバッテリー駆動時間は、仕様上10時間となっており、かなり長い時間にわたって電源コンセントが無い環境で使用できるようになっています。ただ、あくまで仕様上でのバッテリー駆動時間ですので、実際に使った場合のバッテリー駆動時間は約7割程度に見積もっておく必要があります。

今回は、Venue 8 Pro で動画配信サイト YouTube を利用して実際のバッテリー駆動時間を測定してみたところ、7時間21分となりました。10時間の約73%となりましたが、動画再生の際は、CPU に高い負荷がかかり消費電力が高くなりますので、CPU にあまり高い負荷がかからないテキスト主体のウェブサイトの閲覧や簡易なソフトウェアの使用であれば、もっとバッテリー駆動時間が延びると思われます。

総評

コストパフォーマンスに優れたタブレット PC

Venue 8 Pro は画面サイズが8インチ型のタブレット PC ですが、このあたりのサイズとなると個人的には価格のインパクトが重要になってくると思います。同程度のサイズで見渡すと、機能や性能が違いますので単純に比較できないのは承知ですが、他に OS として iOS や Android を搭載する様々なタブレット端末があり、低価格のモデルがよく見られます。そのような中で、Windows を使えるという利点に加えて価格で勝負できれば Windows が使えるタブレット PC を選ぶユーザーが増えてくると思います。

そこで注目したいのが今回使用した Venue 8 Pro であり、Office が付いていながら価格が3万9980円と十分インパクトがあります。外出先への持ち運びのしやすさに関わってくる薄さや軽さ、バッテリー駆動時間に、低価格を実現するために犠牲になっているような印象は特に無く、タブレット PC らしくモバイル性にも優れています。

コンパクトなタブレット PC でも Windows を快適に使える時代へ

Venue 8 Pro と同じくらいの大きさのコンパクトなタブレット PC は、過去にも登場してきましたが、コンパクトな筐体では実現できる性能には限界があり、Windows を快適に使える性能を手に入れるためには、もっとサイズが大きいタブレット PC やノートパソコンを選ぶのが妥当でした。

今回 Venue 8 Pro を使用してみて、コンパクトなタブレット PC でも、Windows が快適に使える時代が来たと実感しています。もっと性能が高い大型のタブレット PC やノートパソコンと比べると、どうしても性能の差は感じますが、Venue 8 Pro の性能の満足度は高いです。

本来はデスクトップパソコンやノートパソコンでやるのが向いている動画編集や画像編集、3D グラフィックスを多用する PC ゲームのプレイ等、Windows でできる事を何でも快適にこなせる性能はまだありませんが、タブレット PC に向いた使用用途であれば十分快適です。

Venue 8 Pro 販売店

今回使用した Venue 8 Pro は、デルの直販ショップで販売されています。付属する Office の違い、3G SIMフリー対応非対応の違いで、以下のようにモデルが分かれています。国内では SIM フリー対応モデルがあまり普及していませんが、デルでは 3G SIM フリー対応のモデルも用意しており、屋外で 3G 通信は利用したい方は、ぜひ Venue 8 Pro に注目しておきたいです。

・Venue 8 Pro (64G) 3G SIMフリー Office Home&Business付 ブラック(価格4万9980円)
・Venue 8 Pro (64G) Office Home&Business付 ブラック(価格4万1980円)
・Venue 8 Pro (64G) Office Home&Business付 レッド(価格4万1980円)
・Venue 8 Pro (64G) Office Personal付 ブラック(価格3万9980円)
・Venue 8 Pro (64G) Office Personal付 レッド(価格3万9980円)
DELL
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