SSDに書き込みしまくっても長期間放置しても大丈夫？

最終更新日 2023年09月07日

以前パソコンで画像処理を行うソフトウェアを開発していましたが、画像処理にかかる時間の短縮が大きな課題でした。

ストレージをHDDからSSDにすれば短縮できるためSSDの導入を検討しましたが、フラッシュメモリーの書き換え寿命が懸念材料でした。

開発していたソフトウェアは、デジタルカメラで自動撮影し次々にパソコンに取り込んだ画像データに対し画像処理を行うものでしたので、データ書き込み量が大きく短期間でフラッシュメモリーが寿命を迎えるのではないかと心配でした。

フラッシュメモリーには長期間放置するとデータが消える特性があり、どのくらい放置してもデータが消えないのか、この点も懸念材料でした。

パソコンを納入していたパソコンメーカーのつてでSSDのメーカーから話を聞くことができましたが、これらの懸念材料を気にする必要がないとのことでした。

以下に話をまとめて整理し記載します。

容量が128GBのSSDを使用する場合、データ書き込み量が数百(200〜300)TB(テラバイト)程度までなら、フラッシュメモリーの書き換え寿命を心配する必要がありません。

寿命の目安を使用年数で示すと、1日あたりのデータ書き込み量が100GBに達しても、約5.5〜8.2年は寿命の心配をする必要がありません。

データ書き込み量が数百TBに達しても過度に寿命の心配をする必要がなく、数百TBの2倍に達しても正常に動作する可能性が高いです。

ただし、容量が128GBよりも小さいと、寿命の心配をする目安となるデータ書き込み量も小さくなり、例えば64GBだと数百TBの半分に達するまで寿命の心配をする必要がありません。

寿命が早まる理由は、フラッシュメモリーには大量のセルがあり、容量が小さくなればセルの数が減り、各セルに対するデータ書き込み回数が増え劣化が早まるためです。

ちなみに、セルと呼ぶ微細なところに電子を閉じ込めてデータを保持しており、セルに対するデータ書き込み回数が増えていくほどセルが劣化し、いずれは劣化によりセルが使えなくなります。

劣化により使用不可になったセルの数が一定の割合を超えると、フラッシュメモリーが寿命を迎えます。

容量が128GBよりも増えると、寿命の心配をする目安となるデータ書き込み量も増え、例えば256GBだと数百TBの2倍に達するまで寿命の心配をする必要がありません。

どのくらい放置しても大丈夫なのか、その目安はフラッシュメモリーの劣化具合と保管環境によって決まります。

容量が128GBのSSDなら、データ書き込み量が数百TBに達しているほど劣化が進んでいても、約5年間は放置してもデータが消えず、約10年間放置してもデータが消える可能性が低いです。

あまり劣化していない状態だと、どのくらい放置してもデータが消えないのか予測するのが難しいほどです。

ただし、高温の環境で長期間放置すると短期間でデータが消える可能性が高いので厳禁であり、一般的なパソコンの適切な使用環境の温度の上限35度を超えない場所に保管するのが望ましいです。

記載内容は数多くあるSSDメーカー1社からの話を基にしており、他のSSDメーカーのSSDにも当てはまるとは限りません。

寿命の目安となるデータ書き込み量、データが消える心配をする必要がない放置期間は、SSDメーカーによって違うと思われます。

記載内容は2010年頃の話です。

技術進歩によりフラッシュメモリーの寿命が向上し、放置してもデータが消えない期間が長くなっている可能性がありますが、あまり変わっていない可能性や、寿命の低下や放置してもデータが消えない期間が短くなっている可能性もあります。

2021年に大手メーカーの子会社の従業員から聞いた話です。

顧客に納品してきた様々なSSD採用システムにおいて大量のデータ書き込みが行われていますが、運用開始から5年以上経過後もフラッシュメモリーが書き換え寿命を迎えたことがないそうです。

SSDの故障により交換が発生したことは何度もありましたが、故障の原因を特定するために業者に依頼したところ、フラッシュメモリーの書き換え寿命ではないとわかったそうです。

システムでは耐久性が高いエンタープライズ向けSSDを採用なので、コンシューマー向けSSDにも当てはまるとは限りませんが、SSDに書き込みしまくっても大丈夫とわかるエピソードです。

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