マザーボードのVRM

最終更新日 2022年01月13日

マザーボードのVRMとは

基礎

マザーボードのVRMとは、Voltage Regulator Moduleの略でありCPU用の電源回路です。単体のPCパーツの電源ユニットがマザーボードに電力供給しますが、その電圧は3.3V、5V、12Vです。CPUはこれらよりも低い電圧1.5V以下で動作しますので、VRMがCPUに適する電圧に変換します。

CPUは一定の電圧で動作しますが、負荷によって消費電力が変動し電圧が一定なので電流が変動します。VRMには電流が変動しても電圧を一定にしてCPUに電力を供給する役割もあります。

VRMはスイッチングレギュレータと呼ぶ回路が基本となっており、スイッチング回路のON/OFFする時間の比を変えて電圧を一定にします。ON/OFFする時間の比の制御には、PWM(Pulse Width Modulation)を利用しています。

変換効率

インテルの主力CPUがPentium 4の頃では、一般的に変換効率が80%程度でした。Core 2の頃では一般的に60%程度でした。Core 2ではCPUの動作電圧が変動する仕様になったので、高い変換効率の実現に高いコストがかかったためです。高いコストをかけたマザーボードでは90%程度が見られました。その後はコスト削減が進み、今では一般的に80%程度です(2022/01/12時点)。マザーボードによっては90%を超えています。

VRMのフェーズ

フェーズとは

フェーズとは、VRM内のスイッチング回路を指します。

シングルフェーズ

フェーズが1つであるシングルフェーズだと、特にCPUの消費電力が大きいと変換効率を高めるのが難しく、フェーズに関わる部品からの発熱が大きい問題があります。

マルチフェーズ

VRMではマルチフェーズを採用しており、複数のスイッチング回路があります。

各スイッチング回路の供給電力を小さくし、複数のスイッチング回路が並列接続して動作し、大きな電力を供給します。

フェーズ数が多いほど、各フェーズでスイッチング回路をONにする時間が短くて済むので、各フェーズから供給する電力を小さくできます。

各フェーズの供給電力が同じの場合、フェーズ数が多いほど大きな電力を供給できます。

マルチフェーズのメリット、デメリット

マルチフェーズだと変換効率が高い、各フェーズから供給する電力を小さくでき発熱を抑えられる、フェーズに関わる部品同士の距離を離すことで放熱性が高くなる、CPUへの大きな電力供給に対応できる、CPUの消費電力の変動に応じて電流を調整する能力が高く電圧の変動幅を抑えられCPUに供給する電力の安定性が高い、以上のメリットがあります。

マルチフェーズだとフェーズ数が多いのでフェーズに関わる部品の数も多くなり、コストが高くなるデメリットがあります。

CPUの消費電力が低いときは、マルチフェーズだと変換効率が低くなり、マザーボードの消費電力が高くなるデメリットもあります。

フェーズ数と消費電力

一般的には、CPUが高負荷時ではフェーズ数が多いほど変換効率が高いので消費電力が低く、CPUが低負荷時ではフェーズ数が多いほど変換効率が低いので消費電力が高いです。CPU低負荷時では、フェーズ数が多いほど電源回路の規模が大きく多数のオンボードデバイスがある分により消費電力が増える影響が大きくなるためです。

フェーズ数以外の仕様がほぼ同じ製品同士で比較すると、CPUが高負荷時でも低負荷時でもフェーズ数が多い方が消費電力が低い場合があります。CPUが低負荷時でもフェーズ数が多い方が消費電力が低い場合がある理由は、フェーズ数を制御し低負荷時ではフェーズ数を小さくする、高負荷時ではフェーズ数を大きくする機能があるためです。このような機能の一つにGIGABYTEが開発したDES(Dynamic Energy Saver)があります。車が速度に応じてギア比を変えて走ると燃費がよくなるみたいに、VRMがCPUの負荷に応じてフェーズ数を変えると省エネになります。

フェーズ数とオーバークロック

CPUをオーバークロックすると消費電力が増えるのでフェーズ数が多いとよいです。フェーズ数が多いほど大きな電力を供給できるためです。オーバークロックに使用するならフェーズ数の多さが選択の目安ですが、1フェーズあたりの供給電力を大きくし少ないフェーズ数でもオーバークロックに適する製品があります。フェーズ数に限らずオーバークロック向けの製品か確認して選ぶとよいです。

CPUを〜GHzまでオーバークロックさせたという情報をユーザーから集めてランキングにしたウェブサイトや書籍を見ると、使用した主なPCパーツの情報もユーザーから集めて公開している場合があります。ランキング上位を見ると使用マザーボードがフェーズ数が多い製品とは限りません。フェーズ数が多い32もあれば、少ない6もあります。オーバークロックに使用するマザーボードを選ぶ場合、このようなオーバークロックランキングや、実際にCPUをオーバークロックしてみた結果を掲載しているウェブサイト等を見て、使用した製品を参考にしてみるとよいです。

フェーズ数の表記

仕様や商品情報等にフェーズ数が8+2等と表記の場合があります。フェーズ数が10等、分けずに記載の場合もあります。最初の数字はCPUのコア部分のフェーズ数、最後の数字はCPUのアンコア部分(メモリーコントローラー等)のフェーズ数です。CPUのコア部分とアンコア部分それぞれに必要な電圧が異なるようになり電源回路が別々になったので、8+2等という表記が見られるようになりました。

VRMのヒートシンク

ヒートシンクの有無

VRMにあるスイッチングデバイスをMOSFETと呼びます。MOSFETに電流が流れると内部抵抗により損失が発生し発熱します。消費電力が大きいCPUを使用すると高負荷時に流れる電流が大きく発熱も大きくなります。放熱不足になり異常に温度が高まると正常に動作しません。発熱が大きくなる製品にはVRMにヒートシンクがあります。ヒートシンクがなくても放熱不足にならないと想定されている製品ではヒートシンクなしです。

ヒートシンクのサイズ

ヒートシンクのサイズが製品によって違いますが、サイズが大きいほど冷却性能に有利です。変換効率が低く発熱が大きいのでサイズを大きくしている場合があるので、サイズが大きい方がよいとは限りません。変換効率が高く発熱が小さいのでヒートシンクのサイズを小さくしている場合があります。

VRMとエアフロー

エアフローの必要性

マザーボードのVRMにエアフローがあるとよいです。エアフローがなくてもVRMの温度が高すぎではなければ不要です。エアフローがないとVRMの温度が高くなりすぎてシステムが落ちる場合、エアフローが必要です。

CPUクーラー

VRMにエアフローを当てるには空冷式CPUクーラーを使用します。インテルの主力CPUがCore 2になった頃からVRMの発熱が大きくなったので、リテールクーラー(純正クーラー)がVRMへエアフローが当たるように設計され始めました。リテールクーラーと同じくトップフロー型であればVRMにエアフローが当たるように設計されている製品が多いですが、製品によっては当たりません。サイドフロー型だと当たらない製品が多いですが、傾きを付けてエアフローがマザーボード上に向かうように設計された製品もあります。

他のヒートシンクとヒートパイプで連結

VRM用のヒートシンクと周辺にある他のヒートシンクとヒートパイプで連結したマザーボードもあり、そのようなマザーボードの場合はどこかしらのヒートシンクにエアフローが当たっていればよいです。

VRMの温度

動作温度の上限

VRMの温度が上がりすぎると自動的に動作が停止します。そうなるとパソコンが突然シャットダウンします。動作温度の上限が製品によって違いますが、平均的に見ると100度程度に達すると動作が停止します。動作停止後は冷えて温度が十分下がるまで起動できません。

VRMの温度が原因でシャットダウンする問題は、VRMにファンの風が当たるように冷却性能を強化すると解決できる場合があります。特にVRMにヒートシンクがある場合、ヒートシンクにファンの風が当たると冷却効果が高いです。

突然のシャットダウンがないとしてもVRMの温度が高すぎると劣化が早まり寿命が縮みます。VRMの温度が高いとVRM周辺にあるコンデンサーの温度も高くなり、熱により劣化しやすいコンデンサーの寿命が縮みます。コンデンサーの寿命が縮めばマザーボードの寿命も縮みます。VRMの温度が高すぎにならないように冷却するとよいです。

オーバークロックするとVRMの温度が高くなり、動作温度の上限に達するとシステムが落ちます。VRMの温度が低いと温度の余裕が大きくなるのでオーバークロックに成功しやすいです。


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