USB PD充電器の出力

最終更新日 2025年05月20日

USB PD充電器の出力とは

基礎

USB PD充電器の出力とは、USB PD充電器に入力した電力を、USB PD充電器が変換して外部へ電力を送り出すことです。また、その外部へ送り出す電力です。シュツリョクと読みます。他の呼び方に、アウトプットがあります。

USB PD充電器の出力、USB PD

USB PDの最大出力が大きい

USB PD充電器は、最大出力が大きいUSB PDを利用します。USB PDの最大電力が大きいことが、USB PD以外の最大出力と比べるとよくわかります。下表は、USBの各バージョンの最大出力です。

バージョン 最大電流 電圧 最大電力
USB 1.0 0.5A 5V 2.5W
USB 1.1 0.5A 5V 2.5W
USB 2.0 0.5A 5V 2.5W
USB 3.2 Gen 1
(USB 3.1 Gen 1,USB 3.0)
0.9A 5V 4.5W
USB 3.2 Gen 2
(USB 3.1 Gen 2)
0.9A 5V 4.5W
USB 3.2 Gen 2x2 (※) (※) (※)
USB4 Gen 2x2 (※) (※) (※)
USB4 Gen 3x2 (※) (※) (※)
(※) USB Type-C Current 利用(最大電流1.5A、電圧5V、最大電力7.5W、または3A、5V、15W)

下表は、USB Type-C Currentの最大出力です。

規格 最大電流 電圧 最大出力
USB Type-C Current 1.5A 1.5A 5V 7.5W
USB Type-C Current 3A 3A 5V 15W

下表は、USB BCの最大出力です。

規格 最大電流 電圧 最大出力
USB BC 1.5A 5V 7.5W

下表は、USB PDの最大出力です。

規格 最大電流 電圧 最大電力
USB PD SPR 3A/5A 5V/9V/15V/20V 100W
USB PD EPR 3A/5A 5V/9V/15V/20V/
28V/36V/48V
240W

USB PDの動作モード

USB PDの動作モードとは、USB PD利用時に特定の最大電力以下で電力を伝送する状態です。USB PDの動作モードに、60Wモード、100Wモード、240Wモードがあります。例えば60Wモードなら、60W以下で電力を伝送する状態です。

USB PD充電器の最大出力を上回る、かつ最大電力が最も小さい動作モードと、それより小さい動作モードにUSB PD充電器が対応しています。例えばUSB PD充電器の最大出力が80Wの場合、60Wモードと100Wモードに対応しています。

USB PD充電器の動作モードを手動で変更できません。充電対象機器の要求電力が非公表の場合が多いためです。

USB PD充電器の出力、最大出力

100Wや240Wとは限らない

USB PDの規格上の最大出力は、USB PD SPRでは100W、USB PD EPRでは240Wです。USB PD充電器の最大出力は製品によって異なり、100Wや240Wとは限りません。

最大出力が要求電力より大きくても良い

USB PD充電器が最大出力で電力を送り出すとは限りません。USB PD充電器と充電対象機器をUSBケーブルで接続すると、両者が通信を行って決めた最適な電力を送り出します。このため、USB PD充電器の最大出力が、充電対象機器の要求電力より大きくても良いです。

最大出力が不足すると充電不可

USB PD充電器の最大出力が足りないと、充電できない場合があります。USB PD充電器を選ぶ際、最大出力が十分な製品を選ぶ必要があります。できるだけ最大出力が大きい製品を選ぶと、最大出力が不足する可能性が低くなりますが、最大出力が大きいほど、サイズが大きくて重く、価格が高い傾向があります。

USB Type-Aの最大出力

USB PD充電器によってはコネクターのUSB Type-Cに限らず、USB Type-Aもあります。USB Type-AではUSB PDを使用できません。USB Type-AではUSB BCに対応しています。USB BCの最大出力が7.5Wです。最大出力が小さいため、スマートフォン、スマートウォッチ、ワイヤレスイヤホン等、要求電力が小さい機器の充電に使用します。USB BCを使用して充電するには、充電対象機器もUSB BC対応の必要があります。

USB PD充電器によってはUSB Type-AでQuick Chargeにも対応していす。Quick Chargeのバージョンによって最大出力が異なります。Quick Charge 1.0は10W、Quick Charge 2.0は18W、Quick Charge 3.0/3+は36Wです。USB Type-AではQuick Charge 4.0以降に対応できません。Quick Chargeを使用して充電するには、充電対象機器もQuick Charge対応の必要があります。

USB PD充電器の出力、パワールール

最大出力18W、5V/2.4Aはパワールールに準拠していない

USB PDのパワールールでは、最大出力が15Wを超え、27W未満の場合、出力電圧が5V時は最大電流3A、出力電圧が9V時は最大電流「最大出力÷9」Aの実装が必須と規定しています。USB PD充電器の最大出力を18Wとする場合、出力電圧5V時の最大電流は3Aに対応が必須です。もし出力電圧5V時の最大電流が2.4Aだと、USB PDのパワールールに準拠していません。それでも充電できる場合が多いですが、機器によっては安全性重視のためパワールールに準拠していないと充電できない仕様です。USB PD充電器を選ぶ際、最大出力18W、5V/2.4Aの製品を避けるのが無難です。

12V対応、12V非対応

USB PD 1.0のパワールールでは、対応電圧が5V,12V,20Vでした。後に5V,9V,15V,20Vとする変更がありました。実際にUSB PD充電器が対応する電圧が製品によって異なりますが、ここではパワールールの対応電圧と同じとします。

5V,12V,20V対応製品は廃れています。5V,9V,15V,20V対応製品があります。この他に、対応電圧の変更前と変更後を合わせた5V,9V,12V,15V,20V対応製品があります。12Vに注目して言うと、12V非対応製品と12V対応製品があります。USB PD充電器を選ぶ際、12V非対応製品で良いです。充電対象機器が古く12V対応でも、12V以外の電圧を使用するため、12V非対応製品でも充電できます。

USB PD充電器の出力、充電対象機器

充電対象機器の要求電力と同等以上の最大出力が必要

USB PD充電器が、充電対象機器が要求する電力と同等以上の最大出力に対応の必要があります。複数の充電対象機器を同時に充電する場合、それぞれが要求する電力の合計と同等以上の最大出力に対応の必要があります。それぞれのコネクターが対応する最大出力が、充電対象機器が要求する電力と同等以上の必要もあります。

主な充電対象機器の要求電力の目安

下表は、主な充電対象機器の要求電力の目安です。

充電対象機器 要求電力の目安
ノートパソコン 30〜100W
タブレット 25〜45W
スマートフォン 7.5〜30W
スマートウォッチ 4.5〜15W
ワイヤレスイヤホン 4.5〜15W
デジタルカメラ 18〜30W

あくまでも目安のため、目安の範囲外の場合もあります。

USB PD充電器の出力、製品

GaNチップ使用製品なら小さくて軽い

最大出力が大きいUSB PD充電器だと、サイズが大きくて重い傾向があります。最大出力が大きいと発熱も大きく、冷却のための部品が多くなる等の理由があるためです。そこで、Siチップ(シリコンチップ)ではなく、GaNチップ(窒化ガリウムチップ)を使用する製品が良いです。GaNチップはSiチップよりも発熱が小さいです。熱に強く寿命が長いメリットもあります。ただし、GaNチップはSiチップよりもコストが高いため、価格が高いデメリットがあります。

USB PD充電器、USBケーブル

USB PDケーブルが必要

USB PDを利用して電力を伝送するためには、USB PDに対応するUSBケーブルが必要です。USB PD対応USBケーブルをUSB PDケーブルと呼びます。

USB PDケーブル対応最大電力

USB PDケーブルが対応する最大電力に、60W、100W、240Wがあります。これがUSB PD充電器の最大出力より小さいと、伝送できる最大電力がUSB PDケーブル対応最大電力で頭打ちになります。例えば、USB PD充電器の最大出力が100Wだが、使用するのが60W対応USB PDケーブルの場合、伝送できる最大電力が60Wです。

対応最大電力の違いで付けたUSB PDケーブルの名称

対応する最大電力がわかるように、USB PDケーブルに名称を付ける場合があります。

対応最大電力 USB PDケーブルの名称
60W 60Wケーブル
3Aケーブル
100W 100Wケーブル
5Aケーブル
240W 240Wケーブル
EPRケーブル

USB PD充電器の出力、温度

出力電力が大きいほど発熱が大きい

USB PD充電器が出力する電力が大きいほど、発熱が大きくなり温度が高くなります。火傷する恐れがあるほど高温になる場合もあります。本体表面があまり温度が上がらなくても、コネクター部分の温度が高くなる場合もあります。例を挙げますが、某製品は約30Wの出力で本体表面の温度が約50度、別の某製品は約40Wの出力で本体表面の温度が約50度、別の某製品は約35Wの出力で本体表面の温度が約35度、以上です。使用中のUSB PD充電器の近くに、熱に弱い物を置かない、USB PD充電器に触れる際にまずは素早く軽く触れてみる等、高温に気をつけると良いです。ちなみに、充電対象機器、USBケーブルも発熱し温度が高くなるため、これらでも高温に注意が必要です。

出典

ASCII.jp:いま、USB PDの充電器がアツイ! 温度の変化を調べた(2018/02/15更新記事)
ASCII.jp:付属の充電器をUSB PD対応に置き換えて快適なスマートライフを! (1/2)(2019/12/23更新記事)
これだけは知っておきたい、USB充電器の基礎知識 - 充電器の正しい選び方:日経クロステック Active(2024/10/24公開記事)
これだけは知っておきたい、USB充電器の基礎知識 - 充電器の正しい選び方(3ページ目):日経クロステック Active(2024/10/24公開記事)
汎用充電器はパソコン付属品より「小型軽量」、ただし給電性能に注意 | 日経クロステック(xTECH)(2024/11/27公開記事)
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