液晶パネルの駆動方式
最終更新日
2023年09月07日
液晶パネルの駆動方式とは
基礎
液晶パネルの駆動方式とは、液晶パネルがバックライトの光の透過量を制御する方式です。液晶ディスプレイ内部には光を発するバックライトがあり、バックライトの光の透過量を制御する液晶パネルがあります。ここでは黒色と白色のみを画面に表示するとして説明すると、黒色を表示するときはバックライトからの光の透過量を無しにし、白色を表示するときはバックライトからの光の透過量を最大にします。駆動方式の種類
光の透過量を制御する方法は、液晶パネルの駆動方式によって違います。主にTN(Twisted Nematic)方式、VA(Virtical Alignment)方式、IPS(In Place Switching)方式があります。駆動方式によって液晶ディスプレイの特性が決まりますので、自分の用途に合った駆動方式に対応しているとよいです。以下は各駆動方式を特性ごとに優れた順序で並べた表です。応答速度の速さ | VA > TN > IPS |
---|---|
コントラスト比の高さ | VA > TN > IPS |
視野角の広さ | IPS > VA > TN |
色再現性の高さ | IPS > VA > TN |
製造コストの安さ | TN > VA > IPS |
上記の表は、ある程度は当てはまりますが参考程度にとどめ、それぞれの特性が優れているのかどうかは仕様等を確認して判断します。液晶ディスプレイの技術は着実に進歩しており、駆動方式の短所を改善する技術を取り入れていれば、他の駆動方式の方が勝っている特性の優劣が逆転する場合もあります。例えば応答速度はIPS方式よりもVA方式の方が優れていますが、応答速度の高速化技術を採用したIPS方式の液晶ディスプレイと、特に応答速度に関して高速化する技術を採用していないVA方式の液晶ディスプレイを比べると、前者の方が応答速度が速い場合があります。
液晶パネルの駆動方式と用途
TN方式
製造コストの安さ以外に一番に優れている点はありませんが、使用に支障をきたすほど劣っていません。視野角が狭く色再現性が低いので画質が低いですが、昔と比べて改善しておりあまり気にする必要がないデメリットです。昔は視野角の狭さによって生じる明るさや色の変化が、目が疲れやすい要因になる場合がありましたが、視野角が改善しているのであまり気にする必要がありません。昔は応答速度は優れるが、視野角と色再現性は大きく劣るのでゲームにあまり適しませんでした。今は改善しているのでゲームに適します。製造コストが安いためTN方式の液晶ディスプレイは価格が安い傾向にあります。できるだけ液晶ディスプレイを安く購入して使いたい場合に向いています。VA方式
応答速度の速さに優れているため、動画コンテンツの視聴、ゲームに使うのに向いています。VA方式は最も劣る特性が無く、全体的に見てバランスがとれています。IPS方式
視野角の広さ、色再現性の高さに優れているため、画面から遠く離れ、斜めの角度から見ても画質が高く綺麗に見えますので、リビングに設置したテレビのように画面から離れて視聴する使い方に向いています。このような使い方では動画コンテンツの視聴に向いており、応答速度の速さが劣る点が気になりますが、応答速度の高速化技術を取り入れたIPS方式の液晶ディスプレイであれば応答速度が十分速いです。色再現性の高さに優れているため、動画編集や画像編集に使うのにも向いています。色再現性を重視する場合は色域も重要です。透過率が低く、目が疲れやすい要因になります。他の駆動方式と比べてバックライトを明るくする必要があり、まぶしさを感じるためです。昔と比べて透過率が改善しており、あまり気にする必要がありません。駆動方式の改善技術
上記の各駆動方式の向いている使い方は、各駆動方式を特性ごとに優れた順序で並べた表を基にしています。駆動方式の短所を改善する技術を取り入れている液晶ディスプレイであれば、他の用途にも適するようになります。例えば、応答速度の高速化技術を採用したIPS方式の液晶ディスプレイであれば、動画コンテンツの視聴やゲームのプレイに使うのにも向くようになります。特にIPS方式の液晶ディスプレイには、応答速度の速さに限らずコントラスト比の高さも改善する技術を取り入れている製品が見られ、さらに製造コストが下がり、あらゆる使用用途に適し、かつ比較的お手ごろな価格で買えるIPS方式の液晶ディスプレイが増えてきています。ゲーミング
応答速度
ゲームには応答速度が速いTNが適します。特に応答速度の速さが重要なゲーム、例えばFPS(First Person Shooter)や格闘等のゲームに適します。応答速度の速さが重要ではなく、グラフィックスの奇麗さが重要ならVAやIPSが適します。TNはVAやIPSと比べてグラフィックスの奇麗さに劣るが、昔と比べて改善しています。TNでもグラフィックスが十分綺麗です。視野角
TNはVAやIPSと比べて視野角が狭いデメリットがあるので、画面正面からではなく斜めから見てゲームする場合は視野角が広いVAやIPSが適します。例えば大人数でゲームをプレイするので画面を斜めから見る人が出てくる場合です。画面正面から見てゲームする場合、視野角が狭いTNでも問題ありません。昔と比べてTNは視野角が改善しています。画面サイズが大きいと画面正面から見ても画面の端の方では見る角度が大きいが、27インチくらいまでなら問題ありません。VA、IPS
ゲームのためにVAかIPSを選ぶ場合どちらがよいのか、その答えはどちらでもよいです。VAかIPSであればよいとして他の仕様を考慮して選び、その結果としてVAかIPSか決まればよいです。ゲームにとって重要な黒の表現、明暗表現、コントラスト比、発色、色再現性、応答速度、視野角、これらの仕様はVAかIPSだけで決まりません。例えばIPSの弱点である応答速度を改善しており、そこらのVA採用ディスプレイより応答速度が速いIPS採用ディスプレイがあります。VAとIPSどちらが優れているのか仕様ごとに異なるが、一般的にメーカーが劣る仕様を改善しているため、VA採用ディスプレイとIPS採用ディスプレイを見比べるとほとんど同じです。IPSの派生
IPSの派生とは
IPSの派生とはIPSを改良した駆動方式です。各メーカーが開発しています。IPSの派生に該当する様々な駆動方式があります。H-IPS
H-IPS(Horizontal IPS)とは、IPSを改良しIPSの弱点であるコントラスト比を高めた駆動方式です。LGエレクトロニクスが開発しました。UH-IPS
UH-IPS(Ultra Horizontal IPS)とはH-IPSを改良した駆動方式です。LGエレクトロニクスが開発しました。H-IPSよりも画素の開口率を最大18%高め、輝度やコントラスト比が改善し向上しています。AH-IPS
AH-IPS(Advanced High Performance IPS)とは、液晶パネルの駆動方式の一つであり、技術進歩によりIPSが進化した駆動方式です。LGエレクトロニクスが開発しました。AH-IPSには、解像度の高さに優れている、元の色を精度高く再現して表示できる、光の透過率に優れているのでバックライトのLEDの光をよく通し低消費電力で明るい画質にできる、周囲が明るい屋外でも高輝度にでき見やすい、以上のメリットがあります。
液晶パネルの駆動方式だけで液晶ディスプレイの仕様が決まるわけではなく、AH-IPSに限らず同じ駆動方式の液晶パネルを採用した液晶ディスプレイであっても製品によって画質等が違います。
ADS
ADS(Advanced super Dimension Switch)とは、液晶パネルの駆動方式の一つです。京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)が開発しました。ADSはIPSよりもコストパフォーマンスが高いです。京東方科技集団はIPSに対しコストパフォーマンスで勝負するためにADSを開発しました。
ADSを採用したディスプレイは価格が安い傾向があります。ADS採用ディスプレイは、価格の安さを重視するがIPSよりも劣るTN採用ディスプレイを選びたくない人向けです。ADSは画質よりも価格の安さを重視する人向け、IPSは価格の安さよりも画質を重視する人向けです。
High-definition display, display, intelligent system, health services, BOE, BOE official website によると、ADSの特徴は以下のとおりです。リンク先ではADSDS(Advanced Super Dimension Switch)ですが、ADSはADSDSの簡易表示と思われます。
・ADSは、より高い光の透過率、輝度、コントラスト比、約180度の視野角を提供し、鮮明な画質を得られます。
・ADSは、低消費電力で環境に優しいです。
・駆動方式のTNやVAでは、液晶分子が垂直に配列されており視野角が狭いです。画面に外力を加えると、液晶分子構造は沈み、画面にヘリンボーンと呼ばれる模様が見られ、元に戻るのが遅いです。画面に触れると水の波紋のような模様が発生し、気になります。ADSでは、液晶分子が水平に配列されており視野角が広いです。画面に外力を加えると、液晶分子構造はわずかに沈むだけで全体的な液晶分子構造は水平のままであり、画面に触れても水の波紋のような模様は発生しません。
・ADSは、光の透過率が低い問題を解決し、広い視野角で高い光の透過率を実現します。
ADSをIPSに差し替えても通じる特徴であり、両者が似ているとわかります。ADSがIPSより優れているなら、IPSよりも何が優れているのかアピールすると思われますので、ADSはIPSと同程度かIPSより劣ると見てよいです。
BOE ADS Technology では、ADSについて発表するために使用するような技術資料を見られますが、TNと比べておりIPSと比べていない点を考慮すると、ADSはIPSよりも優れている点があるわけではないと思われます。
ADSを採用したディスプレイは価格が安い傾向があります。ADS採用ディスプレイは、価格の安さを重視するがIPSよりも劣るTN採用ディスプレイを選びたくない人向けです。ADSは画質よりも価格の安さを重視する人向け、IPSは価格の安さよりも画質を重視する人向けです。
High-definition display, display, intelligent system, health services, BOE, BOE official website によると、ADSの特徴は以下のとおりです。リンク先ではADSDS(Advanced Super Dimension Switch)ですが、ADSはADSDSの簡易表示と思われます。
・ADSは、より高い光の透過率、輝度、コントラスト比、約180度の視野角を提供し、鮮明な画質を得られます。
・ADSは、低消費電力で環境に優しいです。
・駆動方式のTNやVAでは、液晶分子が垂直に配列されており視野角が狭いです。画面に外力を加えると、液晶分子構造は沈み、画面にヘリンボーンと呼ばれる模様が見られ、元に戻るのが遅いです。画面に触れると水の波紋のような模様が発生し、気になります。ADSでは、液晶分子が水平に配列されており視野角が広いです。画面に外力を加えると、液晶分子構造はわずかに沈むだけで全体的な液晶分子構造は水平のままであり、画面に触れても水の波紋のような模様は発生しません。
・ADSは、光の透過率が低い問題を解決し、広い視野角で高い光の透過率を実現します。
ADSをIPSに差し替えても通じる特徴であり、両者が似ているとわかります。ADSがIPSより優れているなら、IPSよりも何が優れているのかアピールすると思われますので、ADSはIPSと同程度かIPSより劣ると見てよいです。
BOE ADS Technology では、ADSについて発表するために使用するような技術資料を見られますが、TNと比べておりIPSと比べていない点を考慮すると、ADSはIPSよりも優れている点があるわけではないと思われます。
PLS
PLS(Plane to Line Switching)はIPSと似ていますが、IPSよりも透過率が高く消費電力が低いです。大雑把なイメージで言うと、液晶パネルには多数の穴があり、その穴の後ろにあるバックライトの光は、穴を通して私達の目にやってきます。透過率が高い、すなわち穴が大きいほど光をよく通しますので、透過率が高いほどバックライトの光量が小さく済み消費電力を抑えられます。
画面に表示したものを見ると、見た目の特性より駆動方式がわかる場合があります。例えば、IPSとTNを比較した場合、IPSはTNよりも視野角が広いので、視野角を確かめるとどちらなのかわかります。PLSとIPSの場合では、両者の見た目があまり変わらず、どちらなのか判断するのが難しいです。
画面に表示したものを見ると、見た目の特性より駆動方式がわかる場合があります。例えば、IPSとTNを比較した場合、IPSはTNよりも視野角が広いので、視野角を確かめるとどちらなのかわかります。PLSとIPSの場合では、両者の見た目があまり変わらず、どちらなのか判断するのが難しいです。
TN、VA、IPSを仕様から見分ける方法
視野角、最大色数、応答速度を確認し、TN方式かVA方式かIPS方式かを見分ける方法がありますが、確実ではありません。
VA方式やIPS方式はフルカラーとは限りませんが、フルカラーの場合が多いです。
疑似フルカラーならTN方式、フルカラーならVA方式かIPS方式の可能性が高いです。
昔と違って今では仕様に中間階調の応答速度は書かれていますが、黒から白(白から黒)の応答速度は仕様に記載されていない場合が多いです。
昔は中間階調の応答速度の方が遅いものでしたが、今ではオーバードライブによって中間階調の応答速度の方が速いものであり、昔から仕様に速い方を記載する傾向が見られましたので、中間階調の応答速度だけ記載されている場合が多いと考えられます。
今では黒から白(白から黒)の応答速度から駆動方式を見分けたくてもできない場合が多いです。
視野角
垂直方向の視野角が上下で違うとTN方式の場合が多いですが、違うとは限りませんので、同じでもTN方式の場合があります。表示色
昔はTN方式かつフルカラーがなく、今ではありますが、それでもTN方式かつフルカラーは少ないです。VA方式やIPS方式はフルカラーとは限りませんが、フルカラーの場合が多いです。
疑似フルカラーならTN方式、フルカラーならVA方式かIPS方式の可能性が高いです。
応答速度
黒から白(白から黒)の応答速度が12ms以下だとTN方式の場合が多いですが、応答速度を向上させており12ms以下でもVA方式やIPS方式の場合があります。昔と違って今では仕様に中間階調の応答速度は書かれていますが、黒から白(白から黒)の応答速度は仕様に記載されていない場合が多いです。
昔は中間階調の応答速度の方が遅いものでしたが、今ではオーバードライブによって中間階調の応答速度の方が速いものであり、昔から仕様に速い方を記載する傾向が見られましたので、中間階調の応答速度だけ記載されている場合が多いと考えられます。
今では黒から白(白から黒)の応答速度から駆動方式を見分けたくてもできない場合が多いです。
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