ディスプレイの視野角

最終更新日 2023年09月07日

ディスプレイの視野角とは

基礎

ディスプレイの視野角とは、画面を真正面から見る場合を基準として、真正面からどれだけずれても明るさや色が大きく変わらずに見えるかを示す角度です。シヤカクと読みます。

水平方向の視野角と垂直方向の視野角

視野角は水平方向と垂直方向に分かれており、それぞれ正常に見える範囲を扇形で表せますが、その扇形の中心角が視野角です。その視野角を真正面で分割して、水平方向の視野角は左右の視野角、垂直方向の視野角は上下の視野角に分けることもできます。例えば、以下はディスプレイを真上から見た様子ですが、水平方向の視野角は140度だと、左右の視野角は70度になります。

視野角
ディスプレイの仕様には、水平方向の視野角と垂直方向の視野角が記載されていますが、左右の視野角と上下の視野角が記載されている場合もあります。

画面を真正面から見るとしても視野角が重要

画面を真正面から見るなら視野角を気にする必要がなさそうです。しかし、画面内の全ての場所を真正面から見るのが不可能です。画面中央付近を真正面から見るなら、それ以外、例えば四隅が真正面からではありません。画面サイズが大きいほど、四隅が真正面からずれます。視野角が狭いと四隅の明るさや色が変わります。そのため、画面を真正面から見るとしても視野角が重要であり、画面サイズが大きいほど視野角の重要性が高いです。

ディスプレイの視野角の基準

視野角の基準が統一されていない

視野角の範囲内でも斜めから見ると暗くなったり色が変わったりすることがありますが、ある基準を満たしていれば正常に見えるとして視野角が決まっています。視野角の範囲内であれば、画面を真正面から見た場合と全く同じに見えるわけではありません。例えば、明るさに関する基準の場合、真正面からずれていき、ある明るさ以上を満たしているなら正常に見えるとし、視野角が決まります。このような視野角を決めるために利用する基準に限らず、測定環境、測定条件、測定機器がメーカーによって違いますので、視野角を決める基準が統一されていません。

コントラスト比を基準とするメーカーが多いが比率が統一されていない

コントラスト比を基準とするメーカーが多いですが、10:1以上を満たすを基準とするメーカーもあれば、5:1以上とするメーカーもあり、基準が統一されていません。10:1以上とするメーカーが多いです。仮に統一されていても基準となるコントラスト比が非常に低く、もし10:1であれば真正面と比べると見え方に大きな違いがあります。多くのディスプレイの視野角が180度に近いですが、このように基準が緩いためです。

色の反転、暗転の度合いがモデルによって違う

コントラスト比を基準としている場合、色の反転、暗転の度合いを基準に含めていません。そのため、コントラスト比を基準とし、かつ視野角が同じディスプレイを比較すると、色の反転、暗転の度合いがモデルによって違います。

視野角の比較が無意味

異なるメーカーのディスプレイ同士で仕様上の視野角を比較するのはあまり意味がなく、視野角を参考にするのもあまり意味がありません。本当に斜めからもよく見えるのかは、実際に見てみないとわかりません。

液晶ディスプレイの視野角

液晶パネル作動方式によって視野角が違う

液晶ディスプレイの視野角が、液晶パネルの作動方式によって違います。作動方式には、TN(Twisted Nematic)方式、VA(Virtical Alignment)方式、IPS(In Place Switching)方式があります。視野角が優れている順に並べるとIPS方式、VA方式、TN方式です。IPS方式とVA方式が同じくらい優れています。

液晶パネル作動方式の視野角の特性

もう少し細かく液晶パネルの各作動方式の視野角の特性を見ると下記表の通りです。

液晶パネル
作動方式
視野角の特性
TN方式 ・上下左右方向の視野角が最も狭い
・斜め方向の視野角が最も広い
VA方式 ・上下左右方向の視野角がTNより広くIPSより狭い
・斜め方向の視野角がTNより狭くIPSより広い
IPS方式 ・上下左右方向の視野角が最も広い
・斜め方向の視野角が最も狭い

方向によっても視野角の特性が異なるため、IPS方式が全方向に視野角が優れているわけではありません。全体的に見ればIPS方式が最も視野角に優れており、その次に優れているのがVA方式、最も劣るのがTN方式です。

視野角の改善

コントラスト比を10:1以上に確保できる範囲の角度を視野角とします。昔と比べると視野角が改善しており、一般的にTN方式は左右80度以上と上下50度以上、VA方式とIPS方式は左右上下90度近いです(2007/10/10時点)。

色味変化や階調反転が基準の視野角

色味変化や階調反転を基準とした視野角も知りたいところです。この基準での一般的な視野角の角度がありませんが、IPS方式が最も優れています。VA方式がIPS方式と同じくらい優れています。TN方式が他よりも劣っています。

視野角重視ならIPS方式やVA方式

コントラスト比に限らず色味変化や階調反転を基準とした視野角も考慮すると、視野角の広さを重視するならIPS方式やVA方式が良いです。TN方式でも画面をほぼ正面から見る使い方であれば問題ありません。

視野角と用途

覗き見の防止

覗き見を防止するなら視野角が60度程度の狭さが必要です。その条件に該当するディスプレイがありますが、覗き見防止フィルターを内蔵しています。フィルターなしでは該当するディスプレイがありません。内蔵していないディスプレイでも、外付けの覗き見防止フィルターを取り付ける方法があります。

出典

視野角 - 意味・説明・解説 : ASCII.jpデジタル用語辞典(2008/04/16更新記事)
視野角(しやかく)とは? 意味・読み方・使い方をわかりやすく解説 - goo国語辞書
ASCII.jp:ワンランク上のSXGA液晶選び (2/5)(2002/08/10更新記事)
ASCII.jp:ワンランク上のSXGA液晶選び (3/5)(2002/08/10更新記事)
コントラスト比、視野角、応答速度液晶ディスプレイのスペックについて知る | 日経クロステック(xTECH)(2007/10/10公開記事)


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