ディスプレイの色域
最終更新日
2023年09月07日
色域とは
基礎
色域とは、ディスプレイが表現できる色の全範囲です。シキイキと読みます。他の呼び方に、ガモット、ガマット、ギャマがあります。色空間
色域とは色空間が表せる色の範囲です。色空間とは、物の位置を座標と呼ぶ複数の数値を組み合わせて表すのと同様に、色を複数の数値を組み合わせて表す方法です。カラースペースと呼ぶ場合もあります。自然界には色が無限に存在しますが、ディスプレイが表現できる色の範囲が有限であり色を数値で表します。代表的な色空間にRGBがあります。R(赤色)、G(緑色)、B(青色)、それぞれ3つの数値を組み合わせて色を表します。例えば全ての数値が0の場合は黒色を表します。色空間の規格
色空間の規格によって決まる色域
色域は色空間の規格によって決まります。ディスプレイは対応する色空間の規格によって色域、すなわち表現できる色の範囲が決まります。色空間の規格には、主にsRGB、Adobe RGBがあります。sRGB
IEC(国際電気標準会議)が策定した色空間の国際規格です。ディスプレイに限らず多くの機器がsRGBに対応しています。Adobe RGBと比べると表現できる色の範囲が狭いですが、一般的な用途に限れば十分です。Adobe RGB
Adobe Systemsが策定した色空間の規格です。Adobe Systemsの動画・画像編集ソフトウェア等、色の表現が重要なソフトウェアが世界中で広く普及していますが、これらはAdobe RGBに対応しています。Adobe RGBはsRGBよりコストがかかるのでディスプレイの価格が高い傾向がありますが、昔と比べたら随分と低価格化が進み手軽に購入できる価格になりました。sRGBよりもAdobe RGBの方が色域が広いので、動画・画像編集等ではAdobe RGB対応ディスプレイがよさそうですが、色域の広さよりも色域を統一させる、すなわち色空間の規格を統一させるのが重要です。
Adobe RGB非対応かつsRGB対応製品が主流
一般的にディスプレイはAdobe RGB対応が不要のため、Adobe RGB非対応かつsRGB対応製品が多いです。動画・画像編集用途だとAdobe RGBの必要性が出てきますが、それでもAdobe RGBが必須ではありません。動画・画像編集向けディスプレイでも、Adobe RGB非対応かつsRGB対応製品があります。デスクトップパソコンの一体型、ノートパソコン、タブレット、これらが内蔵するディスプレイはAdobe RGB非対応かつsRGB対応が主流です。Adobe RGBにも対応する製品も見られますが、需要があまりないせいか少ないです。外付けディスプレイだとAdobe RGB対応かつsRGB対応製品が多いです。
比とカバー率
色空間の色域と実際の色域
ディスプレイが某色空間の規格に対応でも、その色空間の色域と実際にディスプレイが表現できる色の範囲が一致するとは限りません。どの程度一致しているのかを比かカバー率で示します。カバー率の方が高くするのが難しく、比の方が高くしやすくユーザーに何となくよい印象を与えやすいせいか、昔は比で示すのが主流でした。今ではカバー率で示すのが主流です。比
比とは、色空間の色域とディスプレイが表現できる色の範囲、両者の広さの比を示します。これでは両者がどの程度一致しているのかは曖昧です。例えばAdobe RGB比100%の場合、Adobe RGBの色域とディスプレイが表現できる色の範囲、両者の広さが同じを示しているだけです。ディスプレイがAdobe RGBの色域の範囲内にある全ての色を表現できるとは言えません。カバー率
カバー率とは、ディスプレイが表現できる色の範囲が、どれだけ色空間の色域をカバーしているのかを示します。例えばAdobe RGBカバー率98%であれば、Adobe RGBの色域の範囲内にある98%の色をディスプレイが表現できます。昔は仕様等にカバー率ではなく比を利用した記載があっても、意味としてはカバー率の場合が少なくなかったです。紛らわしいので昔と比べたら今ではカバー率を利用した記載が普及しています。
色空間の統一
色空間を統一させるとは
色空間を統一させるとは、ディスプレイに限らず使用する機器の色空間を合わせることです。他人と動画や画像をやり取りする場合、他人が使用する機器の色空間も関わります。色空間が異なる
色域はディスプレイに限らず他の色を扱う機器も関係があります。例えばプリンターやデジタルカメラも色空間の規格に対応します。これらの機器を使用する場合、色空間が変わると色の見え方が異なります。色は複数の数値を組み合わせて表しますが、色空間が変わると同じ数値の組み合わせのままでも色が変わるためです。例えばデジタルカメラでAdobe RGBに設定し撮影した画像をディスプレイでsRGBに設定して見ると、デジタルカメラ本来の色の見え方と異なります。ディスプレイでsRGBに設定し確認した画像をプリンターでAdobe RGBに設定し印刷すると、ディスプレイと印刷物で色の見え方が異なります。
色の見え方が異なると言っても一見した程度なら同じように見え、よく見ると色の見え方が違うのが分かる程度です。しかし、正確な色の見え方が求められる画像編集等の用途では、わずかな色の見え方が問題になってきます。
sRGBとAdobe RGBの間で色空間が変わると、以下のように色の見え方が変わります。
sRGB→Adobe RGB | ・色が全体的に濃くなり彩度が高くなる(色が鮮やかになる) |
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Adobe RGB→sRGB | ・色が全体的に薄くなり彩度が低くなる(色がくすむ) |
色空間が異なっても色域がほぼ同じ
色空間が異なっても色域がほぼ同じであれば、色の見え方もほぼ同じです。例えば、ITU-R BT.709(Rec.709)と呼ぶ放送規格は、テレビ番組やDVD映画等の多くの動画コンテンツに採用されています。正確には色空間の規格ではないが、他の色空間の規格の色域と比較する場合は、色空間の規格として扱う場合があります。ITU-R BT.709の色域は、sRGBの色域とほぼ同じです。ITU-R BT.709が採用された動画をsRGBに設定したディスプレイで見れば、色の見え方があまり変わらずほぼ同じです。カラーマネージメント
ディスプレイがsRGB非対応Adobe RGB対応でも、カラーマネージメント対応ソフトウェアを利用すれば、sRGB画像を正しい色で表示できます。カラーマネージメント非対応だと本来より色が鮮やかになり正しい色で表示できません。カラーマネージメントで何とかするよりも、sRGB対応ディスプレイの方が正しい色で表示できるのでsRGB対応がよいです。
色域と用途
ウェブサイト閲覧
ウェブサイトの色空間はsRGBが標準です。ウェブサイト制作側は、sRGB対応ディスプレイでの閲覧を前提にしウェブサイトを作成しています。ウェブサイト制作側が見てもらいたいとする色が表示されるようにウェブサイトを閲覧したい場合、ディスプレイがsRGB対応がよいです。例えばウェブサイトにデジタルカメラで撮影したsRGB画像等が掲載されており、正しい色で閲覧したい場合です。色が多少違って見えてもよければ、ディスプレイがsRGB非対応でもよいです。ウェブサイトの閲覧に利用するブラウザーがカラーマネージメント対応の場合、色の違いを小さくできるのでディスプレイがsRGB非対応でも完璧とまでは言えませんが解決できます。出典
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