USB PD

最終更新日 2024年12月17日

USB PDとは

基礎

USB PDとはUniversal Serial Bus Power Deliveryの略で、USB経由での電力供給に関する規格です。ユーエスビー・ピーディーと読みます。USBパワーデリバリーと呼ぶ場合もあります。

策定年

2015年にUSB 3.1の追加仕様としてUSB PDが策定されました。

USBの規格とは独立した規格

USB PDはUSBの規格とは独立した規格です。USBの規格にはUSB4,USB 3.x,USB 2.0等があります。USBの規格からUSB PDに対応か判断できません。例えばUSB 3.2に対応でもUSB PDに対応とは限りません。

ソース、シンク

電力を供給する側の機器をソース、電力が供給される側をシンクと呼びます。ソースとシンクを接続すると両者の間で通信を行い、供給する電力の電圧や電流を決めます。これらが決まると電力の供給が始まります。機器によってはソースとシンクを切り替えることができます。

デュアルロール

USB PDのデュアルロールとは、ソースにもシンクにもなれる機能です。USB PD対応機器がデュアルロールに対応とは限りません。例えば、ソースにはなれないがシンクにはなれるノートパソコン、ソースにはなれるがシンクにはなれないデスクトップパソコンが存在します。

USB PDとUSBバスパワー

USB PDとUSBバスパワーが併存

USB PD登場後もUSBバスパワーが廃れることがなく併存します。USBバスパワーの最大供給電力がUSB PDよりも小さいですが、消費電力が小さい周辺機器のキーボード、マウス、外付けストレージ等では十分です。

供給できる最大電力がUSB規格によって違う

USBバスパワーが供給できる最大電力がUSB規格によって違います。

規格 最大電流 電圧 最大電力
USB 1.1 500mA 5V 2.5W
USB 2.0
USB 3.0
USB 3.1
USB 3.2
900mA 4.5W
USB4 - - -

USB4にUSBバスパワーがありません。USB4ではUSB Type-C Currentの利用が前提のためです。USB Type-C Currentでは供給できる最大電力が15Wです。

USB PDの電力

規格上の最大電力

USB PD登場当初では、規格上の最大電力が100W(20V×5A)です。複数の電圧5V、9V、15V、20Vに対応です。最大電流が5Aに対応です。後にUSB PD EPRが登場し、最大電力が100Wから240Wに向上しました。従来の最大電力100WをUSB PD SPRと呼びます。

機器の最大電力

USB PD機器が対応する最大電力が100Wや240Wとは限りません。例えば充電器(ACアダプター)、モバイルバッテリー等がUSB PDに対応でも、最大電力が100Wとは限りません。

USB PD、コネクター

USB Type-Cのみ

USB PDを利用できるコネクターはUSB Type-Cのみです。当初はUSB Type-AとUSB Type-Bでも利用可能でした。その後に仕様変更があり、USB Type-Cのみになりました。

Lightningは例外

片方がUSB Type-C、もう片方がLightningのケーブルがありUSB PDを利用可能ですが、これは例外です。USB PDの規格ではUSB PDを利用可能なコネクターとしてLightningを規定していません。将来において、USB PDを利用可能な新しいコネクターが追加される可能性があります(2021/10/14時点)。

MagSafe 3も例外

アップル独自のコネクターのMagSafe 3でもUSB PDに対応の場合があります。

数珠つなぎ

数珠つなぎ(デイジーチェーン)で複数の機器に電力供給できます。例えば、USB PD対応ディスプレイにUSB PD対応ACアダプターを接続します。さらにUSB PD対応ディスプレイにUSB PD対応ノートパソコンを接続します。ディスプレイを経由して電力供給できます。USB PDで供給可能な電力に上限があるので、数珠つなぎしても電力不足になり電力供給できない場合があります。

USB PD機器

USB PD機器に粗悪品がある問題

USB PD機器の中には粗悪品があります。粗悪品を使用すると最悪故障や火災につながるリスクがあります。USB PD機器には、USB PD対応ACアダプターやUSB PD対応モバイルバッテリー等があります。片方が粗悪品でも、もう片方に保護回路や安全回路があれば故障等を防げますが、100%防げるとは限りません。

Certified USB Charger

Certified USB Chargerのロゴが付いたUSB PD機器は、USB PDの仕様を満たし正しく動作するので安全性が高いです。ロゴを付けるには認証の取得が必要であり取得にコストがかかりますので、ロゴ付きUSB PD機器ばかりではありません。ロゴがないUSB PD機器でも信頼できるメーカーだと安全性が高いです。

USB PDとUSB PD EPR

100Wから240Wに向上

USB PD EPRとはUSB Power Delivery Extended Power Rangeの略で、最大供給電力が100Wから240Wに向上したUSB PDです。240Wまで向上したので、例えば消費電力が大きいゲーミングノートパソコンやクリエイターノートパソコン等に対する電力供給も実現できます。

USB PD SPR

USB PD SPRとはUSB Power Delivery Standard Power Rangeの略で、従来の最大供給電力が100WまでのUSB PDです。

USB PD、ロゴマーク

レセプタクルのロゴマーク

USB-IFの認証を取得したUSB PD機器のレセプタクルの近くに、電池の絵を描いたロゴマークがあります。電池の絵の内部に、対応するUSBのバージョンを示す表記があります。3本に枝分かれしている絵のみがあればUSB 2.0対応、それに加えて「SS」もあればUSB 3.0対応、さらに「10」もあればUSB 3.1対応です。

後にロゴマークの変更がありました。電池の絵の内部に、対応する最大データ転送速度を示す表記があります。例えば「40Gbps」があれば、40Gbps対応です。ちなみに、USB 2.0の最大データ転送速度が480Mbpsですが、480Mbps対応の場合は古いロゴマークのままであり、3本に枝分かれしている絵があります。

USB PDケーブルのプラグのロゴマーク

USB-IFの認証を取得したUSB PDケーブルのプラグに、対応する最大電力を表記したロゴマークがあります。「60W」と表記があれば60W対応です。「240W」なら240W対応です。

パッケージのロゴマーク

USB-IFの認証を取得したUSB PD機器等のパッケージに、対応する最大電力を表記したロゴマークがあります。「60W」と表記があれば60W対応です。「240W」なら240W対応です。

ロゴマークなしの場合あり

USB-IFの認証を取得したUSB PD機器等にロゴマークがあるとは限りません。USB-IFの認証を取得していないUSB機器等に、ロゴマークがありません。USB機器等の仕様からUSB PD対応か非対応、USB PD対応なら対応する最大電力、以上がわかる場合がありますが、わからない場合もあります。

出典

ユーエスビーピーディー(USB PD)[USB Power Delivery]の意味 - goo国語辞書
USBパワーデリバリー | 時事用語事典 | 情報・知識&オピニオン imidas - イミダス(2018/03公開記事)
2018年にはもはや主流に?USB Type-C驚きの実力(2ページ目) | 日経クロステック(xTECH)(2017/11/08公開記事)
データ通信・給電・ディスプレイ出力の相乗りで分かりにくいUSB、最新規格を整理(2ページ目) | 日経クロステック(xTECH)(2021/12/09公開記事)
Thunderbolt 4とUSB4はどこまで同じ?周辺機器との組み合わせはより複雑に(4ページ目) | 日経クロステック(xTECH)(2022/12/16公開記事)
失敗しない「USBケーブル」の選び方 形状から通信規格まで徹底解説!(4/5 ページ) - ITmedia Mobile(2023/02/17公開記事)


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