NAND型フラッシュメモリーのMLC

最終更新日 2023年09月07日

NAND型フラッシュメモリーのMLCとは

基礎

NAND型フラッシュメモリーのMLCとはMulti Level Cellの略で、NAND型フラッシュメモリーを構成する、かつ2ビット以上のデータを記憶するメモリーセルです。エムエルシーと読みます。マルチレベルセルと呼ぶ場合もあります。

SLCでは1ビットのデータを記憶します。メモリーセルに電荷があるかないかで1ビットのデータを表します。MLCでは電荷量の基準を増やし、2ビット以上のデータを表します。

MLCは2ビット

MLCは2ビット以上ではなく2ビットのデータを記憶するメモリーセルと定義する場合もあります。その場合、3ビットのデータを記憶するメモリーセルはTLC、4ビットのデータを記憶するメモリーセルはQLC等と定義します。

MLCのメリット、デメリット

SLCと比べるとMLCには、大容量化しやすい、容量あたりの価格が安い、以上のメリットがあります。メモリーセルに注入する電荷量の要求精度が高い、データ書き込み速度が遅い、耐久性が低い、以上のデメリットがあります。

ここではMLCを2ビットのデータを記憶するメモリーセルと定義します。MLCがSLCよりも大容量化しやすい、容量あたりの価格が安い理由が、メモリーセル当たり2ビットのデータを記憶できるためです。SLCでは1ビットです。一般的にデータ読み込み速度がSLCは約25MB/s、MLCは約20〜25MB/sです。一般的にデータ書き込み速度がSLCは約20MB/s、MLCは約10MB/sです。データ読み込み速度は同じくらいですが、データ書き込み速度はMLCが遅いです。一般的にデータ書き換え可能回数がSLCは約10万回、MLCは約1万回です。

出典
SSD徹底解剖 2/2 | SSD徹底解剖 | DOS/V POWER REPORT(2009年3月号)

MLCのメモリーセル

浮遊ゲート内の電子量を4段階にして2ビットのデータを記憶

MLCのメモリーセルでは、浮遊ゲート内の電子量に4段階の基準を設けて2ビットのデータ(00,01,10,11)を記憶します。どのデータかはソース(電極)からドレイン(電極)に流れる電子量で識別しますが、この電子量が浮遊ゲート内の電子量によって変わります。

  制御ゲート  
  絶縁体  
    (-)(-)(-)(-)(-)(-)(-)(-)(-)
浮遊ゲート
   
     
ソース
(電極)
流れる電子量がゼロ ドレイン
(電極)
  シリコン基板  
(※)(-)は電子を表す

全ての電子が浮遊ゲートにある場合、ソース(電極)からドレイン(電極)に流れる電子量がゼロです。この状態を01とします。

  制御ゲート  
  絶縁体  
    (-)(-)(-)(-)(-)(-)
浮遊ゲート
   
     
ソース
(電極)
(-)(-)(-)
→流れる電子量が小→
ドレイン
(電極)
  シリコン基板  
(※)(-)は電子を表す

2/3の電子が浮遊ゲート、1/3の電子がシリコン基板にある場合、ソース(電極)からドレイン(電極)に流れる電子量が小です。この状態を00とします。

  制御ゲート  
  絶縁体  
    (-)(-)(-)
浮遊ゲート
   
     
ソース
(電極)
(-)(-)(-)(-)(-)(-)
→流れる電子量が中→
ドレイン
(電極)
  シリコン基板  
(※)(-)は電子を表す

1/3の電子が浮遊ゲート、2/3の電子がシリコン基板にある場合、ソース(電極)からドレイン(電極)に流れる電子量が中です。この状態を10とします。

  制御ゲート  
  絶縁体  
    浮遊ゲート    
     
ソース
(電極)
(-)(-)(-)(-)(-)(-)(-)(-)(-)
→流れる電子量が大→
ドレイン
(電極)
  シリコン基板  
(※)(-)は電子を表す

全ての電子がシリコン基板にある場合、ソース(電極)からドレイン(電極)に流れる電子量が大です。この状態を11とします。

出典
【USBメモリー編】放置厳禁!データの“自然蒸発”に要注意(3ページ目) | 日経クロステック(xTECH)(2010/05/25公開記事)


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