フラッシュメモリーの書き換え可能回数

最終更新日 2023年09月08日

基礎

フラッシュメモリーの書き換え可能回数とは、フラッシュメモリーのメモリーセルに対するデータ記録回数の上限です。カキカエカノウカイスウと読みます。

用語

フラッシュメモリーのメモリーセルとは、フラッシュメモリーを構成している要素です。記憶セル、セルと呼ぶ場合もあります。

フラッシュメモリーに書き換え可能回数がある理由

フラッシュメモリーでは浮遊ゲートに電子を出し入れしてデータを記憶します。例えば、浮遊ゲートに電子量がある場合は0、ない場合は1とし、1ビットのデータを記憶します。

浮遊ゲートでは絶縁体の中に電子を閉じ込めます。量子力学のトンネル効果により電子が絶縁体を通り抜けるので、浮遊ゲートに対し電子の出し入れができます。電圧が高いほど電子が絶縁体を通り抜けやすくなるので、データ書き換えのために浮遊ゲートに対し電子の出し入れを行うとき、浮遊ゲートに高電圧をかけます。このときに浮遊ゲートの絶縁体が劣化します。

データ書き換えを行うほど、浮遊ゲートの絶縁体が劣化します。浮遊ゲートの絶縁体が劣化するほど、電圧をかけていなくても電子が絶縁体を通り抜けやすくなります。短期間で多くの電子が絶縁体を通り抜けてしまうほど絶縁体が劣化すると、浮遊ゲートの寿命です。上記の特性がフラッシュメモリーにあるため、フラッシュメモリーに書き換え可能回数があります。

出典
・なぜ消えるのか、劣化するのか（2ページ目） | 日経クロステック（xTECH）(2009/11/19公開記事)

MLCの書き換え可能回数

フラッシュメモリーがMLCの場合、書き換え可能回数が5千〜1万回です。

出典
・気になる「自然蒸発」と「セル寿命」 | 日経クロステック（xTECH）(2009/11/18公開記事)

微細化が進むと書き換え可能回数が減少

フラッシュメモリーのプロセスルールの微細化が進み、書き換え可能回数が減る可能性があります。 気になる「自然蒸発」と「セル寿命」（3ページ目） | 日経クロステック（xTECH）(2009/11/18公開記事) によると、フラッシュメモリーがMLCの場合、プロセスルールと書き換え可能回数の予想が下記の通りです。2009年の42nmまでは予想ではありません。

微細化が進むと書き換え可能回数が減少する理由

フラッシュメモリーのプロセスルールの微細化が進むと、浮遊ゲートに入る電子量が小さくなります。そうなると値を識別する電子量のしきい値のマージンが狭まり、浮遊ゲートに入れる電子量を細かく調整するために電圧をかける回数が増えます。1回のデータ書き換えで劣化する度合いが大きくなり、書き換え可能回数が少なくなります。

出典
・なぜ消えるのか、劣化するのか（3ページ目） | 日経クロステック（xTECH）(2009/11/19公開記事)

微細化によるデータ書き換え可能回数の減少を容量増加で緩和

フラッシュメモリーのプロセスルールの微細化が進み、データ書き換え可能回数が減少するデメリットが生じても、フラッシュメモリーの容量が増えればデメリットを緩和できます。例えばデータ書き換え可能回数が1万回かつ容量が1GBのフラッシュメモリーと、データ書き換え可能回数が千回かつ容量が10GBのフラッシュメモリーがあるとします。寿命を迎えるまでに書き込めるデータ量を、単純にデータ書き換え可能回数×容量とすると、前者は1万回×1GB、後者は千回×10GBとなり同じです。この例ではデータ書き換え可能回数が1/10になっても容量が10倍になれば寿命が同じです。

出典
・なぜ消えるのか、劣化するのか（10ページ目） | 日経クロステック（xTECH）(2009/11/19公開記事)

実際に書き換え可能回数に達しても故障しない

実際にフラッシュメモリーの書き換え回数が書き換え可能回数に達しても、寿命で故障することがまずありません。フラッシュメモリーの品質の違い等が原因で、実際に寿命で故障する書き換え可能回数にばらつきがあるため、表向きの書き換え可能回数には余裕を持たせています。実際に寿命で故障する書き換え可能回数は、一般的には表向きの書き換え可能回数の2倍くらいです。

出典
・気になる「自然蒸発」と「セル寿命」（6ページ目） | 日経クロステック（xTECH）(2009/11/18公開記事)

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