Tiger Lake(第11世代インテルCore)
最終更新日
2023年09月07日
Tiger Lakeとは
基礎
Tiger Lakeとは、インテルのCPUの開発コードネームの一種です。タイガー・レイクと読みます。Ice Lakeの後継です。発売年
2020年にTiger LakeのCPUの発売が始まりました。マイクロアーキテクチャー
Tiger LakeのマイクロアーキテクチャーはWillow Coveです。ウィローコーヴと読みます。Sunny Coveの後継です。Sunny CoveはIce Lakeのマイクロアーキテクチャーです。プロセスルール
Tiger Lakeのプロセスルールは10nm SuperFinです。SuperFinの詳細は触れずに言うと改良版を意味します。14nmでは+(プラス)を使用し、例えば14nm+は14nmの改良版を意味します。10nmではSuperFinの仕様に変更があり、10nm SuperFinは10nmの改良版です。インテルがプロセスルールの命名規則を変更しましたが、10nm SuperFinは変更なしです。10nm Enhanced SuperFinがIntel 7に変更等、他では変更ありです。
シリーズ
Tiger Lake-B | ・Bシリーズ ・デスクトップパソコン向け製品 ・SシリーズのパッケージをBGAにした製品 |
---|---|
Tiger Lake-H45 | ・H45シリーズ ・高性能モバイルパソコン向け製品 ・設定可能な最大TDPが45W(Core i9-11980HKは65W) |
Tiger Lake-H35 | ・H35シリーズ ・高性能モバイルパソコン向け製品 ・設定可能な最大TDPが35W |
Tiger Lake-UP3 | ・UP3シリーズ ・薄型・軽量・小型モバイルパソコン向け製品 ・設定可能なTDPの範囲が28〜12W(Pentium Gold 7505、Celeron 6305は15W固定) |
Tiger Lake-UP4 | ・UP4シリーズ ・ファンレスノートパソコン、2in1 PC、タブレット向け製品 ・設定可能なTDPの範囲が15〜7W |
Tiger Lake-H45とTiger Lake-H35をまとめてTiger Lake-Hと呼ぶ場合があります。
ブランド
Tiger LakeのブランドにCore i9、Core i7、Core i5、Core i3、Pentium Gold、Celeronがあります。インテルCoreプロセッサー・ファミリーの世代
Tiger LakeのインテルCoreプロセッサー・ファミリーの世代が第11世代です。PCI Express
Tiger LakeはPCI Express 4.0に対応です。Thunderbolt
Tiger LakeはThunderbolt 4に対応です。Tiger LakeとIce Lakeの違い
プロセスルール
プロセスルールがTiger Lakeでは10nm SuperFin、Ice Lakeでは10nmです。性能
プロセスルールの改良によりクロック周波数が向上しています。CPU内蔵グラフィックス
CPU内蔵グラフィックスがTiger LakeではIntel Iris Xe Graphicsです。製品によってはIntel UHD Graphicsです。Ice LakeではIntel Iris Plus Graphicsです。製品によってはIntel UHD Graphicsです。Tiger LakeのCPU内蔵グラフィックス
インテルIris Xeグラフィックス採用により性能向上
Tiger LakeではCPU内蔵グラフィックスにインテルIris Xeグラフィックスを採用し、性能が大幅に向上しました。インテルの第12世代のCPU内蔵グラフィックス
インテルIris Xeグラフィックスとは、インテルの第12世代のCPU内蔵グラフィックスです。マイクロアーキテクチャーにXe-LPを採用しています。Xe-LPとは、Xeのマイクロアーキテクチャーの一種で、CPU内蔵グラフィックスやエントリーモデル向けです。Xeとは、GPUアーキテクチャーの開発コードネームです。Xeのマイクロアーキテクチャーの中では性能が低い方ですが、それでも先代のCPU内蔵グラフィックスよりも大幅な性能向上を実現しています。性能比較
Core i7-1185G7のインテルIris Xeグラフィックス、先代に該当するCore i7-1065G7のインテルIris Plusグラフィックス、両者を比較すると、前者の性能が後者の約2倍です。競合GPUと比較すると、Core i7-1185G7のインテルIris XeグラフィックスがRyzen 7 4800UのRadeon Graphicsよりも性能が高く、dGPUのGeForce MX350と性能が同じくらいです。コラム
Tiger Lake-Bとは
Tiger Lake-BはBシリーズです。Bシリーズとは、SシリーズのパッケージをBGAにした製品です。Sシリーズとは、デスクトップパソコン向け製品であり、パッケージがLGAです。Tiger LakeにはSシリーズのTiger Lake-Sが存在しません。デスクトップパソコン向け製品をSシリーズでは発売せずBシリーズでは発売したと言えます。BシリーズのTiger Lake-Bは、デスクトップパソコンの一体型や、デスクトップパソコン向け製品を搭載する据え置きノートパソコン向けです。
Tiger Lake-UP3、Tiger Lake-UP4の違い
Tiger Lake-UP3、Tiger Lake-UP4はCPUのパッケージの大きさ、TDPの設定できる値が異なります。CPUのパッケージとは、マザーボードに取り付けておらずCPUクーラーを取り付けていない状態のCPU単体のことです。半導体パッケージと呼ぶ場合もあります。CPUのパッケージの大きさがTiger Lake-UP3は46.5mm×25mm、Tiger Lake-UP4は26.5mm×18.5mmです。TDPの設定できる値がTiger Lake-UP3は12〜28W、Tiger Lake-UP4は7〜15Wです。従来はIce Lake-U等のUシリーズ、Ice Lake-Y等のYシリーズで分類してきましたが、Tiger Lake-UP3が従来のUシリーズ、Tiger Lake-UP4が従来のYシリーズに該当します。Uシリーズとは、薄型・軽量・小型モバイルパソコン向け製品です。Yシリーズとは、ファンレスノートパソコン、2in1 PC、タブレット向け製品です。
Tiger Lake-H35、Tiger Lake-H45の違い
Tiger Lake-H35、Tiger Lake-H45は設定可能な最大TDPが異なります。Tiger Lake-H35は35Wまで、Tiger Lake-H45は45Wまで設定可能です。IPU搭載製品、IPU非搭載製品
Tiger LakeにはIPU搭載製品、IPU非搭載製品があります。IPUとはImaging Processing Unitの略で、動画・画像処理を行うコプロセッサーです。コプロセッサーとは、CPUが内蔵する特定の処理を行う装置です。プロセッサー・ナンバーが同じでもIPU搭載製品、IPU非搭載製品の両者が存在する場合があります。例えばCore i7-1165G7が該当します。IPU搭載とわかりやすいようにプロセッサー・ナンバーの末尾にIPUを付ける場合があり、例えばCore i7 1165G7 IPUとします。
Tiger Lake-UP3とIce Lake-Uをベンチマークで性能比較
Cinebench R23
Tiger Lake-UP3、Ice Lake-U、両者をベンチマークのCinebench R23で性能比較しました。入手しCinebench R23の実行までできた製品のみ掲載するので比較に使用する製品が少ないです。Tiger Lake-UP3
製品 | コア/ スレッド |
Cinebench R23 | |
---|---|---|---|
Single Score | Multi Score | ||
Core i7-1165G7 | 4/8 | 1441 | 4687 |
Ice Lake-U
製品 | コア/ スレッド |
Cinebench R23 | |
---|---|---|---|
Single Score | Multi Score | ||
Core i7-1065G7 | 4/8 | 1173 | 4076 |
Core i7-1165G7はCore i7-1065G7の後継です。クロック周波数が向上した効果がシングルスコアとマルチスコアによく出ています。シングルスレッド性能が約20%、マルチスレッド性能が約10%上がったとわかります。
Tiger Lake-HとComet Lake-Hをベンチマークで性能比較
Cinebench R23
Tiger Lake-H、Comet Lake-H、両者をベンチマークのCinebench R23で性能比較しました。入手しCinebench R23の実行までできた製品のみ比較に使用します。Tiger LakeはIce Lakeの後継ですが、Ice LakeにHシリーズがないのでTiger Lake-HはComet Lake-Hの後継です。Comet LakeはIce Lakeの先代です。Tiger Lake-H
製品 | コア/ スレッド |
ベース/ ターボ(GHz) |
Cinebench R23 | |
---|---|---|---|---|
Single | Multi | |||
Core i9-11980HK | 8/16 | 3.3/5.0 | 1585 | 13037 |
Core i9-11900H | 8/16 | 2.5/4.9 | 1555 | 13073 |
Core i7-11800H | 8/16 | 2.3/4.6 | 1504 | 11467 |
Core i7-11375H | 4/8 | 3.3/5.0 | 1594 | 6627 |
Core i7-11370H | 4/8 | 3.3/4.8 | 1509 | 5746 |
Core i5-11400H | 6/12 | 2.7/4.5 | 1439 | 9394 |
Core i5-11300H | 4/8 | 3.1/4.4 | 1388 | 5186 |
Comet Lake-H
製品 | コア/ スレッド |
ベース/ ターボ(GHz) |
Cinebench R23 | |
---|---|---|---|---|
Single | Multi | |||
Core i7-10870H | 8/16 | 2.2/5.0 | 1207 | 9558 |
Core i7-10750H | 6/12 | 2.6/5.0 | 1176 | 7621 |
Comet Lake-Hの製品が少ないのであまり比較できないが、Core i7-11800HとCore i7-10870Hを比較するとシングルスコアもマルチスコアも約20%向上しています。Tiger Lake-HはComet Lake-Hと比べてマイクロアーキテクチャーを刷新しており性能が上がったとわかります。
出典
・CPU内蔵GPUの大幅強化が目立つ、2021年のPCグラフィックス大予測 | 日経クロステック(xTECH)(2020/11/05公開記事)
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