HDDの選び方

最終更新日 2023年09月07日

HDDとは

基礎

HDDとはHard Disk Drive(ハードディスクドライブ)の略であり、コンピューターがデータの記録に使用するストレージの一種です。内部に円盤状の金属製部品がありディスクと呼びます。ディスク上に磁性体が塗布されており、磁気を利用してデータを記録します。動作時はディスクが回転し、ディスク上をヘッドと呼ぶ部品が動きディスクに対しデータを読み書きします。

HDDの後継となるSSDと比べると、データ読み書き速度が遅い、衝撃・振動に弱い、以上のデメリットがありますが、容量あたりの価格が安い、データ保持期間が長い、以上のメリットがあり、まだまだ廃れず様々な用途で使用されています。

データ保持期間

HDDのデータ保持期間は理論上100年以上です。これを聞くとデータを長期保存する用途に適していそうですが限度があります。あくまでも理論上であり、実際には外部環境の磁界や温度・湿度変化等によって磁気が弱まりデータ保持期間が短くなります。HDD内部にある機械的に動作する部品の寿命も考慮が必要です。使用せずに放置するとしても100年も経過する前に経年劣化により寿命を迎えています。

データ長期保存の使用にHDDを推奨できますが、正常に動作しデータにアクセスできるのか定期的に確認する、HDDが故障しデータが消失しても困らないように別のストレージにバックアップが必要です。

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HDDとSSDの違い

HDDの種類

内蔵HDD、外付けHDD

大まかに分けるとHDDには、内蔵HDDと外付けHDDがあります。昔はインターフェースの規格の最大速度が内蔵HDDの方が速かったですが、今では外付けHDDでも速いです。容量あたりの価格が内蔵HDDの方が安かったですが、今では外付けHDDも安いです。内蔵HDDはパソコン内部に搭載しますので、パソコン外に設置スペースが不要のメリットがありますが、外付けHDDでもサイズが小さいので大したメリットではありません。昔は外付けHDDと比べると様々な点で内蔵HDDが大きく勝っていたので選ぶとよかったですが、今では外付けHDDでもよいです。

内蔵HDDを搭載するにはパソコンにドライブベイが空いている必要があり、取り付け作業は難しくはありませんが、外付けHDDと比べたら大変です。内蔵HDDである必要がなければ、外付けHDDを選ぶとよいです。外付けHDDだと接続の取り付けと取り外しが簡単ですので、様々なパソコン等で使いやすいです。

SSHD(Solid State Hybrid Drive)

SSHDとは、大容量HDDと小容量SSDを組み合わせ、よく利用するデータをSSDに保存し高速化するストレージです。容量あたりの価格の安さと性能の高さを両立したストレージです。

性能重視であればSSDがよいですが、容量あたりの価格が高いです。その安さを重視であればHDDがよいですが、性能が低いです。SSHDであれば容量の大部分がHDDなので容量あたりの価格が安く、SSDをキャッシュとして使用し性能が向上するのでコストパフォーマンスが高いです。

まだSSDの価格が高かった頃はSSHDが主流ストレージになる可能性があるほどでしたが、SSDの低価格化が急速に進みSSHDが中途半端な立ち位置になり普及せず廃れてきています。HDDが必要であり少しでも性能が高い方がよければ選ぶのもありでしたが、あまり選択肢がなく、今ではHDDかSSDを選ぶとよいです。

車載用HDD

パソコン向けではない車載用HDDがあります。真夏の暑い場所や海抜高度が高く気圧が低い場所等、過酷な環境でも安定して動作するように作られています。衝撃や振動に強いですが、パソコン向けHDDの中で衝撃や振動に強いHDDを過酷な環境での使用向けにカスタマイズしています。過酷な環境で使用するなら車載用HDDがよいですが、他のPCパーツも過酷な環境に対して耐久性が高い必要があります。

外付けHDDの種類

据え置き型、ポータブル型

一般的には、据え置き型はポータブル型よりもアクセス速度が速いです。据え置き型はポータブル型よりもディスク回転速度が速い製品が多いためです。ポータブル型である必要がない場合、据え置き型を選ぶとよいです。

ディスク回転速度が同じでも据え置き型の方が速い傾向があります。一般的に据え置き型は電源コンセントが供給する電力で動作するので、消費電力が大きい高性能コントローラーを使用するためです。外部インターフェースを使用してデータ転送するためにデータ変換等の処理を行いますが、この性能も外付けHDDのアクセス速度に影響します。

ポータブルHDD

ポータブルHDDとは

ポータブルHDD(ポータブル型)とは外付けHDDの一種であり、小さくて軽く持ち運びしやすいので、屋外に持ち出し使用する場合に選ぶとよいです。USBバスパワーで動作するため、電源コンセントに接続する必要がありません。

屋外に持ち出す場合

屋外に持ち出す場合、紛失・盗難の可能性が高くなりますので、データ暗号化等のセキュリティ機能がある製品を選ぶとよいです。強い衝撃・振動が加わる可能性も高くなりますので、耐衝撃性を謳う製品を選ぶとよいです。

衝撃や振動がある場所で使用する場合

外付けHDDは使用中に本体を動かしてはいけません。動かすと最悪故障します。特にデータ読み書き中に注意が必要です。多少動かす程度であれば大丈夫ですが、荷物の中に入れながら持ち歩き使用する等、衝撃や振動が発生している状況で使用するのがよくありません。

これはポータブルHDDでも例外ではありません。持ち歩きながら使う、走行中の車内で使用する等の場合、ポータブルSSDを選ぶとよいです。ポータブルHDDでも簡単に故障しませんが、適した使い方ではありません。

テレビ録画用の外付けHDD

一般的にテレビ録画用の外付けHDDには、テレビやレコーダーとの組み合わせで動作確認が取れている、テレビやレコーダーと相性問題が発生しにくい、冷却性能に優れ長時間録画できる信頼性がある、静音性が高い、低振動性に優れる、低消費電力に優れる、デザインにおいてテレビ録画用途に適するように設計されている、SeeQVault(シーキューボルト)に対応している、取扱説明書(マニュアル)がテレビに接続して使う方法について記載している、パソコン用ソフトウェアが付属しない、以上の特徴があります。テレビ録画用でもこれら全ての特徴があるとは限りません。

テレビやレコーダーに接続し使用する場合、パソコン用でも使用できますが、動作確認が取れているテレビ録画用の方が、HDDを認識しない、正常に録画できない等のトラブルが発生するリスクが小さいので、テレビ録画用を選ぶとよいです。テレビ録画用でもパソコンに接続して使用可能です。

外付けHDDに録画した著作権保護対象のテレビ番組は、録画に使用したテレビとレコーダーと併用して再生可能です。録画に使用するテレビとレコーダーがSeeQVaultに対応し、さらに外付けHDDもSeeQVaultに対応していると、SeeQVault対応の別テレビでも再生可能です。SeeQVaultが必要であれば、テレビ録画用を選ぶとよいです。

外付けHDDをパソコンでもテレビ録画でも使用する

外付けHDDをパソコンでもテレビ録画でも使用する場合、共用できませんので複数の外付けHDDが必要です。パーティション分割して使い分けるのも無理です。

テレビ・レコーダーと併用して使用する場合、テレビ録画専用のフォーマットが行われるので、パソコンに限らず他の機器でも使用できなくなります。他の機器に接続しても認識しなかったり、認識するが自動的にフォーマットされデータが消失してしまう場合もあります。

パソコンと併用して使用する場合、後にテレビ・レコーダーに接続すると自動的にテレビ録画専用のフォーマットが行われデータが消えてしまう恐れがあるので注意が必要です。

ディスクアレイ

ディスクアレイとは多数のHDD(数十台や数百台)、データ読み書きの処理時間を短くする効果があるキャッシュメモリー、多数のHDDを制御して管理するコントローラー、RAIDにより大容量、高速、高信頼性を実現したサーバー用外付けHDDです。HDDが故障しても交換しやすいように設計されています。家庭で使用する個人が選ぶものではありません。

外付けケースと内蔵HDD

完成品の外付けHDDを選ぶのではなく、外付けケースと内蔵HDDを選び、外付けケースに内蔵HDDを搭載して使用する方法もあります。

余っている内蔵HDDがある場合、外付けケースのみ選べばよく、組み合わせると外付けHDDになります。

パソコンの内蔵HDD以外が故障したとき、内蔵HDDを取り外し外付けケースに取り付け、他のパソコンに接続しデータを読み込む等の使い方があります。

外付けケースは内蔵HDDの取り付けや取り外し作業がしやすいように作られており、完成品の外付けHDDを選ぶよりも容量あたりの価格が安くなる場合があります。

昔のファミコンやスーパーファミコンのカセットの抜き差しのように使用できる外付けケースもあります。

外付けケースには、1台のみ搭載可能な小型の製品や、10台以上搭載可能な大型の製品もありますが、搭載したい台数に合わせて選ぶとよいです。

小型である必要がない場合、搭載可能な内蔵HDDのサイズが2.5インチと3.5インチの両方に対応しているとよいです。

インターフェースの選び方は、外付けHDDを選ぶ場合と同じです。

ドライブベイに搭載するHDDのサイズ

2.5インチ、3.5インチ

HDDのサイズに2.5インチと3.5インチがありますが、搭載できるサイズを選ぶ必要があります。

2.5インチのHDDは、高さ(厚さ)に7mmと9.5mmがありますが、搭載できる高さ(厚さ)を選ぶ必要があります。高さ(厚さ)が9.5mmのHDDを搭載できない場合、高さ(厚さ)が7mmのHDDを選ぶ必要があります。高さ(厚さ)が9.5mmのHDDを搭載できるのかわからない場合、高さ(厚さ)が7mmのHDDを選び、9.5mmを搭載可能だとわかり2.5mm分のスペースが空いた場合、スペーサーを使用するとよいです。

高さ(厚さ)を増し大容量化と高性能化を実現する計画

HDDの大容量化と高性能化を実現するために本体サイズの高さ(厚さ)を増す計画がありました。SSDへ移行が進んでいますが、コストを抑えて大容量のデータを保存するのであればHDDが有利なので、また計画が浮上して実現する可能性があります。もし高さ(厚さ)が増したHDDが登場した場合、パソコンによっては搭載できませんので選ぶときに注意が必要です。

高さ(厚さ)が増すとディスク(プラッター)の枚数を増やせます。枚数が多いほど容量が大きくできます。各ディスクへの並列アクセス数を増やせ性能が上がります。枚数が多いほど消費電力と発熱が大きくなる、部品数が多くなり信頼性が低くなる、以上のデメリットがありますが、実現を阻むほどではありません。

ドライブベイに搭載するHDDの基板

基板の装着向き

HDDの基板が基板上のチップが見えない向きで装着されていると、衝撃等でチップが壊れるのを防ぐ、電磁波による電磁干渉を低減できる、以上のメリットがあります。チップの熱を放熱しにくいデメリットがありますが、筐体に熱を伝えて放熱する仕組みを採用するのであまり気にする必要がありません。

チップが見える向きの場合、衝撃等でチップが壊れやすいデメリットがありますが、PCケース内部に搭載すれば基板が晒されないのであまり気にする必要がありません。チップの熱を放熱しやすく冷却しやすいメリットがあります。

基板の装着向きの違いで、故障率、寿命、電磁干渉による動作への影響に大きな差がないので、基板の装着向きを気にせずに選ぶとよいです。

ドライブベイに搭載するHDDのインターフェース

ドライブベイに搭載するHDDのインターフェースの規格はSATAです。

SATAが登場する前はATA(IDE、Parallel ATA)でしたが、廃れてSATAになりました。

HDDもマザーボードもSATA端子はSerial ATA 6.0 Gbpsへの対応が普及しています。

もし両者の規格が違っても互換性がありますので動作しますが、データ転送速度が遅い方で動作します。

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SATA(Serial ATA)

外付けHDDのインターフェース

USB、Thunderbolt

外付けHDDのインターフェースの規格はUSB、Thunderboltが主流です。パソコン等にUSBが普及しており様々なパソコン等と接続できるのでUSBがよいです。Thunderboltはデータ転送の最大速度が速いですが、HDDにとって速すぎます。外付けHDDを使うパソコン等にThunderbolt端子がある等、必要に応じてThunderboltを選ぶとよいです。Thunderboltだとデイジーチェーン対応可能ですので、利用したい場合はデイジーチェーンに対応なのかも確認し選ぶとよいです。

USB

USBのデータ転送の最大速度は規格によって違います。昔はHDDにとって遅かったですが、今では新しい規格だと十分な最大速度があります。USB 3.2 Gen 1x1(USB 3.1 Gen1、USB 3.0)を選べば十分です。外付けHDDを接続するパソコン等のUSB端子と規格が違っていても互換性があるので動作し、最大速度が遅い方で動作します。

USB端子にType-Cが登場し、外付けHDDにType-BとType-Cが混在し、パソコン等のUSB端子にType-AとType-Cが混在しています。Type-A(パソコン等)とType-B(外付けHDD)か、Type-C同士(パソコンと外付けHDD)の組み合わせで接続し使用するのが基本です。変換アダプター(変換ケーブル)を使用すると、Type-A(パソコン等)とType-C(外付けHDD)、Type-C(パソコン等)とType-B(外付けHDD)でも接続し使用できます。

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USBの規格

USB Type-Cに移行せずMicro USB Type-Bが主流の理由

USB Type-Cが登場後しばらく経っても、ポータブルHDDではMicro USB Type-Bが主流です。Micro USB Type-BでもUSB 3.1 Gen 2(最大速度10Gbps)に対応可能でありHDDにとって最大速度が十分なためです。最大速度に限ればUSB Type-Cに移行するメリットがありません。USB Type-Cだと表と裏を意識せずに使用できるメリットがあり、様々な機器がUSB Type-Cで統一されるとUSBケーブルの端子形状の違いを気にする必要がなくなるメリットもあります。これらのメリットを考慮したメーカー側がUSB Type-Cへの移行を進め完全普及する可能性があります(2017/08/30時点)。

Thunderbolt

Thunderboltのデータ転送の最大速度は規格によって違いますが、HDDにとってはThunderbolt 1の最大速度でも十分なくらいです。

外付けHDDを接続するパソコン等のThunderbolt端子と規格が違っていても、互換性がありますので動作しますが、最大速度が遅い方で動作します。

Thunderbolt 3の端子形状はUSB Type-C、前はMini DisplayPortですが、変換アダプター(変換ケーブル)を使用すると接続できます。

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Thunderboltの規格

HDDのプラッター

プラッターの枚数

HDD内部にはプラッターと呼ぶ部品があり、データをプラッター上に記録します。プラッター枚数が少ないほど、HDDの消費電力が低い、発熱が小さい、振動が減り振動音も減る、部品数が少なくなり故障率が低下する、以上のメリットがあります。ただし、実際にはプラッター枚数だけで決まるほど単純なものではありません。そのため、HDDを選ぶときにプラッターの枚数の確認が不要です。

プラッターの記録密度

プラッターの記録密度が大きいほど、データ読み書き速度が速いです。データ読み書き速度のために記録密度重視でHDDを選ぶよりはSSDを選ぶとよいです。

HDDの軸受

流体軸受が普及

昔はHDDのモーターの軸受がボール・ベアリングでしたが、今では流体軸受が普及しています。ボール・ベアリングを選ぼうとしても廃れています。仮に選べるとしても、衝撃に弱い、振動が発生しやすい、オイルが揮発し切れる、以上のデメリットがあるので推奨できません。

流体軸受には、衝撃に強い、振動が発生しにくい、オイルが揮発せず切れない、以上のメリットがあります。低温だとオイルの粘性が上がりモーターへの負担が大きくなり故障率が上がるデメリットがありますが、適正温度で使用すれば問題ありません。

HDDの記録方式

SMR

記録方式がSMR(Shingled Magnetic Recording)だと記録密度が向上し、容量あたりの価格が安いメリットがあります。ただし、データ書き換えが必要な書き込みが多いと、書き込み速度が低下するデメリットがあります。特にランダムライト速度が低下します。シーケンシャルライト速度はあまり低下しません。昔はランダムライトが多く発生する用途ではSMRを避けるとよかったですが、今ではあまり気にする必要がありません。

SMRのデメリットが大きな問題となり、HDDメーカーが改善する技術を導入したので解決済みです。簡単に言うと、書き込みデータをSMRではない領域に記録し、その領域に一定以上のデータを記録後、まとめてSMRの領域へ書き込みます。SMRの領域で頻繁な書き換えが発生しなくなるので速度低下しません。書き込み負荷が高くSMRではない領域が一杯になってしまうと速度低下しますが、一般的な用途ではまずありません。

HDDの容量

容量あたりの価格が安くなったHDD

昔は容量あたりの価格の安さを重視し、よく売れていて普及している容量のHDDを選ぶとよかったですが、HDDの低価格化と大容量化が進みましたので、容量あたりの価格の安さを気にせずに、必要な容量があるHDDを選ぶとよいです。

速度

容量が大きいほどデータ読み書き速度が速い傾向があります。正確には全体の容量ではなく、ディスク(プラッター)1枚あたりの容量が大きいほど速い傾向があります。ディスク1枚あたりの容量が大きいほど記録密度が高く、ディスク上のヘッドが移動する距離が短く済み、1回転あたりに読み書きできるデータ量が多く、データ読み書きにかかる時間が短くなるためです。記録密度が高いほど速いとも言えます。ランダムアクセスよりもシーケンシャルアクセスの方が、記録密度が高いメリットが大きいです。記録密度が2倍になると理論上はシーケンシャルアクセス速度も2倍です。実際には2倍になりませんが、1.5倍程度は速くなります。

全体容量が大きいとディスク1枚あたりの容量が大きい傾向があるので、全体容量が大きいほど速い傾向があります。あくまでも傾向であり、全体容量以外もデータ読み書き速度に影響します。昔は速度重視の場合は余るほどでも大容量HDDを選ぶとよかったですが、今ではSSDを選ぶ方がよいです。

ディスク容量の倍数ではない理由

ディスク(プラッター)容量が250GBだが全体容量が400GB等、全体容量がプラッター容量の倍数ではない場合があります。パソコンやHDDレコーダー等のメーカーは、自社製品に搭載するHDDの容量を決めてHDDメーカーに発注しており、その通りにHDDメーカーが製造します。例えば、400GBのHDDが欲しいという注文が来たら400GBのHDDを製造します。製造に使用するディスク容量が決まっていますので、倍数にならない場合が出てきます。

倍数ではない場合、ディスクの線記録密度を低くして面記録密度を調整している場合があります。線記録密度が高いほど速度に有利のため、線記録密度が低い場所では速度が低いです。体感できるほどの速度低下がありませんので、調整があるHDDでもあまり気にする必要がありません。

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HDDのキャッシュ

性能を重視する場合、キャッシュ容量が大きいHDDを選ぶとよいですが、昔と比べて全体的にキャッシュ容量が大きくなっており、一般的にはキャッシュ容量を気にせずにHDDを選んでもよいです。

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HDDの性能

進歩していない速度

HDDは様々な技術によりデータ読み書き速度が向上してきました。速度を向上させる方法が回転数を上げることくらいになり、その方法も限界を迎えました。これ以上回転数を上げると遠心力により壊れてしまう物理的な限界(15,000rpm程度)に達したためです。2000年くらいに達しており、それから10年後の2010年くらいになっても速度がほとんど進歩していません。さらに10年後の2020年も同様です。

SSDの選択

速度重視の場合は回転数が大きいとよいですが、一般的なパソコン向けだと回転数が大きい方でも7,200rpmが選択の目安になり、15,000rpmを選び使用するとしても大幅に速度が向上するわけではありません。HDDである必要がなければSSDを選ぶとよいです。

シーケンシャルアクセスもSSDが速い

昔は一般的にシーケンシャルアクセスはHDD、ランダムアクセスはSSDが速かったが、今ではシーケンシャルアクセスもSSDが速いです。シーケンシャルアクセスのみ速度重視でもSSDがよいです。HDDだと回転数が15,000rpm、インターフェースがボトルネックにならないとしても、シーケンシャルアクセス速度は約300MB/sが限度です(2015/07/23時点)。SSDなら約600MB/sでも出ますし、さらに向上しています。

HDDの回転数

7200rpm、5400rpm

3.5インチのHDDはデスクトップパソコン用であり、消費電力、発熱が大きくても問題になる可能性が低いため、7200rpmが多いです。

2.5インチのHDDはノートパソコン用であり、消費電力、発熱が小さい方が望ましいため、5400rpmが多いです。

3.5インチのHDDを選ぶなら7200rpmが選択の目安ですが、データ読み書き速度よりは消費電力、発熱量の小ささ、静音性を重視するなら5400rpmを選ぶとよいです。

2.5インチのHDDを選ぶなら5400rpmが選択の目安ですが、データ読み書き速度を重視するなら7200rpmを選ぶとよいです。

内部スペースが狭くて冷却性能が低いノートパソコン等にHDDを搭載する場合、発熱の大きさが問題となりHDDに限らずHDD周辺のPCパーツも熱によって劣化が進み故障するリスクが大きくなりますので、原則的には5400rpmを選ぶとよいです。

10,000rpm

3.5インチの高性能HDDの中には10,000rpmもあり、さらにデータ読み書き速度が上がりますが、SSDには勝てません。

データ読み書き速度を重視してストレージを選ぶ場合、高回転HDDよりSSDを選ぶとよいです。

どうしてもストレージはHDDである必要があり、データ読み書き速度を重視する場合、10,000rpmのHDDを選ぶとよいです。

外付けHDD

サイズが大きい外付けHDDは3.5インチ採用が多いので、7,200rpmが多いです。

サイズが小さいと2.5インチ採用が多いので、5,400rpmが多いです。

データ読み書き速度を重視する場合、7,200rpmを採用しているサイズが大きい外付けHDDを選ぶとよいです。

外に持ち出す等、サイズの小ささを重視する場合、5,400rpmを選ぶことになりますが、データ読み書き速度に妥協しサイズが小さい外付けHDDを選ぶとよいです。

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HDDのNCQ

HDDにNCQ対応が普及していますので、NCQ対応の確認は不要です。

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HDDの平均シークタイム

どのHDDも平均シークタイムが十分短いので、平均シークタイムを気にせずにHDDを選んでもよいです。

平均シークタイムを確認してHDDを選ぼうとしても、仕様等に記載されていない場合が多いです。

HDDのIOPS

IOPSとは

IOPSとはIn/Out Per Secondの略であり、1秒間あたりに処理できるデータ読み書き命令数です。IOPSの値が大きいほど性能が高いです。性能重視であればIOPSが高いHDDを選ぶとよいですが、HDDである必要がなければSSDを選ぶとよいです。HDDと比べるとSSDのIOPSが圧倒的に大きいです。

IOPSを参考に選ぶ場合、HDDの性能にとって重要な回転数(RPM)、平均シークタイムの確認が不要です。どのHDDも平均シークタイムが十分短いので、回転数(RPM)を参考に選んでもよいです。これらの理由はIOPSの求め方を見るとわかります。

IOPSの求め方

IOPSを求めるには、1回のデータ読み書き命令の処理にかかる応答時間を求めます。命令を受け取り、読み書きするデータの転送が終わるまでの時間です。以下の式で応答時間を求めます。

・応答時間=命令解読等処理時間+平均シークタイム+平均ディスク回転待ち時間+データ転送時間

命令解読等処理時間とは、HDDが命令を受け取り解読等の処理にかかる時間です。平均シークタイムとは、ヘッドがデータ読み書きする位置に到達するまでの平均時間です。平均ディスク回転待ち時間とは、回転しているディスク上にあるデータ読み書きを行う位置が、ヘッドの位置に到達するまでの平均時間です。毎回1回転必要になるとは限らず必要な回転数が様々ですが、平均的に見るとディスクが半回転にかかる時間です。データ転送時間とは、読み書きするデータ量をデータ転送速度で割った値です。

IOPSを以下の式で求めます。

・IOPS=1/応答時間

命令解読等処理時間とデータ転送時間が他と比べて無視できるほど小さいいので、以下の式に簡易化できます。

・IOPS=1/(平均シークタイム+平均ディスク回転待ち時間)

1回転する時間を、60秒/{1分間あたりの回転数(RPM)}で求められます。さらに2で割れば半回転する時間なので30/RPMです。

・IOPS=1/{平均シークタイム+(30/RPM)}

HDDは平均シークタイム値が小さいほど、RPM値が大きいほど性能が高いですが、IOPSを求める式よりわかります。どのHDDも平均シークタイム値が同程度なので、ほぼRPMによって決まります。

RoHS指令

RoHS指令とは

RoHS指令とは、欧州連合(EU)が規定した指令です。機器での有害物質使用を制限する指令です。RoHSの読み方はローズかロースです。地球環境のために誕生した指令です。

RoHS指令準拠

HDDの中にRoHS指令準拠の製品があります。RoHS指令に従い製造時に有害物質を使用していません。非準拠でもユーザーに有害性がないので問題ありません。

メーカー

どのメーカーも同じ

昔はHDDのメーカーが乱立していましたが、今では少なくなりました。2010年頃にはHGST(Hitachi Global Storage Technologies)、Samsung、Seagate、Western Digitalの4メーカーになったほどです。

乱立していた頃は、メーカーによって優劣点が結構違いました。今でも厳密にはメーカーによって違いがありますが、今では違いがないと言えるほどです。HDDは技術進歩が進み成熟し差別化が難しくなり、他メーカーより大きく優れたHDDを開発するのができなくなったためです。特にメーカーにこだわりがなければ、どのメーカーでもよいです。

Seagate製HDDの故障率が高かった理由

昔の話ですが、Seagate製HDDの故障率が高いという情報が広まりました。某データセンターが使用中の大量のHDDの故障率を調べた結果より判明した事実です。今ではSeagate製HDDの故障率を気にする必要がありません(2021/12/01時点)。

当初はデータセンターでの使用に適していないSeagate製コンシューマー向けHDDがあったのが理由とされましたが、この理由は間違いです。正しくは、某データセンターが使用していたSeagate製HDDの一部に故障率が高い製品があったためです。他の製品と比べて故障率が約2倍近くありました。総合的に見るとSeagate製HDD全体の故障率を押し上げるほどでした。故障率が高い製品を除けば、Seagate製HDDはコンシューマー向けもエンタープライズ向けも故障率がほとんど同じです。

東芝製HDDの評判がよい理由

昔の話ですが、他のメーカーと比べて東芝製HDDが故障しにくく、故障してもデータ復旧に成功する可能性が高かったです。HDDの部品の中で特にヘッドが故障しやすいですが、東芝製HDDのヘッドの耐久性が高かったので故障率が低かったです。その名残で今でも評判がよいです。2010年頃までは東芝製HDDが優れていると言えましたが、他のメーカーが追随し故障率やデータ復旧成功率の差がほとんどなくなりましたので、今では言えません。

リマーク品

昔はHDDメーカーが乱立しており、安物のHDDに偽造シールを貼り付け高価なHDDに見せかける等、様々なリマーク品が存在しました。今ではまず存在しません。一部の大手メーカーしか残っておらず、仮にリマーク品が存在してもしっかりとした大手メーカーのHDDです。

保証期間

保証期間が長いほどよいですが、その分のコストが価格に反映されるため長い方がよいとは限りません。短くても1年はありますが、初期不良による故障率が高い時期が数ヶ月程度なので1年もあれば十分です。その後は故障率が低い時期が続きますが、それでも故障時に保証対応を求めたい場合、1年より長いHDDを選ぶとよいです。

保証期間が長いほど寿命が長そうですが、あまり当てになりません。保証期間を長くするほどコストが上昇するので、コストも考慮して決めています。保証期間を長くするとしても、余裕を持たせるため寿命が保証期間より長いです。寿命を決める要因には使用時間や使用環境の違いがあります。HDDは技術が成熟しており、ほとんど同じ使い方をしていればあまり寿命に違いがありません。

価格

為替相場

HDDの価格は為替相場の影響を受けやすいです。海外から輸入しており、円安になると価格が高くなり、円高になると安くなります。ある程度は日本国内に在庫があるので直ちに影響がありませんが、在庫が少なくなると影響が出てきます。HDDはPCパーツの中で比較的よく消費されるので、短期間で在庫が少なくなります。


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